CULTURE 2025.12.26

[Wandering Osaka]#04 daichicrewと巡るTASOGARE COFFEE、ACHROMA、お料理 横目

Photography_Masahiro Yoshimoto, Text_Yuka Muguruma, Edit_Michika Kuriyama, Takuya Nakatani
EYESCREAM編集部

音楽、アート、ファッション、フード、スケボー、グラフィティ、そしてなによりもストリートカルチャー。いつもなにかおもろいことが起こっている、熱気に満ちた大阪の街にフォーカスする連載シリーズ「Wandering Osaka(ワンダリングオオサカ)」の4回目。街を知るには街の重要人物(もしくは街で遊びまくっている人!)に訊くのがイチバン、てことで今回は、大阪・北堀江の名物コーヒーショップ、TASOGARE COFFEEのdaichicrewさんにガイダンスしてもらった。

Recommender of the Month
daichicrew

大阪・北堀江のコーヒーショップ、TASOGARE COFFEE代表。バックパッカーとして世界一周した経験を持ち、これまで68カ国に来訪。Twilight Clubs名義でDJも行っている。国内外のフェスに出店するほか、主催イベントも毎年開催。Instagram:@daichicrew_tsgr

TASOGARE COFFEE


海外のリゾートを訪れたような心地に
日常に余白を生む旅情をまとった空間

幼馴染のダンス仲間と南船場でスタートし、2024年8月に北堀江へ移転リニューアル。木組みの流麗なフォルムが印象的なファサードの向こうには、味わいのある古材や流木を基調に、アフリカを中心に旅先で出合った調度品を配した、異国情緒あふれる空間が広がっている。「僕らは旅が大好きで、そのインプットを落とし込み、自分たちでDIYしてこの空間を作りました」とdaichicrewさん。コーヒーはすべてシングルオリジンで、良質な豆のみを世界各地から厳選し、自家焙煎して提供する。エントランス付近には、建築家の隈研吾と庭園デザイナーの石原和幸が手掛けた「床の間」も設置され、建築好きは必見だ。非日常気分に浸りながらのんびり黄昏れたい。

Recommender’s Comment

「細部まで作り込んだ空間はもちろん、高品質なスペシャリティコーヒーのみを扱うなど、コーヒーのおいしさにもしっかりこだわっています。コーヒーカップやコースターなどもすべてオリジナルです。1階と2階を使った貸し切り営業もできるので、イベントスペースとしてもおすすめですよ!」

豆は常時6種類ほどを週替わりで取り揃え、好みを伝えるとおすすめを教えてくれる。販売も行っているのでギフトにもぴったり。

(左から)インドネシア産の豆を使った、バラのように華やかな余韻を感じられるアメリカーノ800円、ピーチティーを思わせる甘いフレーバーが楽しめる、コロンビア産の豆によるカフェラテ900円。

コーヒーのお供にぴったりな自家製のパン&スイーツがずらり。サンドイッチやエッグベネディクトなどの軽食も用意する。

DJブースを設置した1階のカフェスペース。不定期で音楽イベントなどを実施するため、防音には特に力を入れているそう。

2階は、ゆったりくつろげるソファ席がメイン。コンセント付きのテーブル席もあり、作業スペースとして利用できるのが嬉しい。

店内にある全17基のスピーカーは、優れたサウンドとデザイン性を兼ね備えたオーディオメーカー、Taguchi Craftによるオーダーメイド。音は少し大きめながら、耳に心地よく響くサウンドが楽しめる。

INFORMATION

TASOGARE COFFEE

大阪市西区南堀江1-1611 RE-008 1F
営業時間:10:00 – 19:00、土日祝 9:00 – 18:00 / 休:不定休
Instagram:@tasogare_coffee_jp

ACHROMA


国境もジャンルも軽やかに越えて
ボーダレスに楽しむミックススタイル

「自由にミクスチャーが楽しめるよう、あえてジャンルを限定せずに国内外のブランドをセレクトしています」と店主の金丸大輔さん。土に還る素材や天然染料にこだわるSTORY mfg、ストリートを軸に「都会と自然のコントラスト」を表現するFAF、ウールの可能性を追求した機能的なウエアを展開するPASTOR NOVAなどを扱う。「バックパッカーとして旅をする中で、自然とヒッピースタイルがスタンダードに。天然素材や草木染めを取り入れたアースフレンドリーな服に惹かれます。大好きなSTORY mfgやFAFは、洗練された堀江の街にも、砂漠で行われるバーニングマンにも馴染んでくれるので最高なんです」とdaichicrewさんはにっこり。まだ見ぬインスピレーションを探しに足を運んでみよう。

Recommender’s Comment

「僕らのお店のご近所さんで、服を買おうと意気込んで来るより、金丸さんとお喋りしたくて立ち寄ることが多いですね。実は、今日着ているFAFのカンタキルトベストもこちらで購入しました。数日前に挨拶がてら立ち寄ったらついほしくなっちゃって……(笑)。2024年には、僕らのお店でACHROMAの10周年パーティーを開いてくれました」

100%オーガニックコットンを使用した一着は、手織りのパッチワークが映える天然染料ならではの柔らかな色味が魅力。STORY mfgのカーディガン55,000円。

タフで軽量な機能素材、Dyneema®を使用。スタンドカラーの下からフードが飛び出た首元のデザインがユニークなPASTOR NOVAのシェルジャケット58,300円、セットで穿けるトラックパンツ41,800円。

古代エジプトのシンボルであり、生命や永遠の命を象徴するアンクがモチーフ。ミステリアスなムードを放つFAFのイノセンスホルダー22,000円。

海外の伝統文化とストリートウエアを融合したFAF 25AWのコーナー。「この前買ったばかりなのですが、手に取って見ているとまたほしくなっちゃいますね」とdaichicrewさん。

大阪発のソックスブランド、WHIMSY SOCKSをはじめ、洗練されたデザインが光るBuddy Opticalのアイウエア、インテリアにも映えるアートブックがずらり。ギフト探しにもぴったり。

INFORMATION

ACHROMA

大阪市西区南堀江1-10-11
営業時間:14:00–20:00 / 休:不定休
Instagram:@achroma_oficial

お料理 横目


唯一無二の存在感を放つ創作酒場で
視線が交わり、人と繋がるいい夜を

鮮やかな壁画が目を引く外観、飲食店には珍しい錆染めの赤い壁、店内を彩る思想強めのアートや古物……、それらすべてが響き合い、独特の空気をまとった横目。カラスミを添えた大根の唐揚げや熱々のニラ玉おこげなど、和洋中を横断する創作料理がそろい、今年の冬は新たな名物として蒸籠蒸しが登場する。「空間に目が行きがちだけど、料理にも一切手を抜かない誠実さに、同業者としてリスペクトを感じます」とdaichicrewさん。オーナーの前田貴紀さんのセンスと人柄、そしてスタッフとのちょうどいい距離感に惹かれ、夜ごとに街の人々でにぎわう。隣同士、横目でチラリと視線を交わしながら飲んでるうちに、気付けば自然と打ち解ける。そんな不思議な引力を持つ一軒だ。

Recommender’s Comment

「タカくんとは、互いの店に遊びに行ったときに会うことが多くて。彼が作る空間も魅力的ですが、何より料理がすごくおいしい。おすすめは、一度食べたらやみつきになる鶏の唐揚げと、紅茶ソースで味わうラ・フランスのフリット。90年代のジャパニーズヒップホップがいつも流れていて、そのマニアックな選曲にもグッときます」

鮮やかな色彩と幾何学模様が印象的なパナマの先住民族による伝統的なアップリケを、照明が照らす。“横目”のロゴが、まるでアートを眺めているよう。

ラタンシェードのすき間から漏れる光が空間を照らす。照明のスタイリングは、中津のインテリアショップ、raw light spaceと共に手掛けている。

横目のロゴを担当したグラフィックデザイナーによる巨大なファブリックアートを、収納庫の目隠しに。IKEAのラグに描いたものだとか。

店内には、南米やアフリカの工芸品や古物を中心に、石・竹・紙などの自然素材を生かしたプロダクトが散りばめられている。

「これなら永遠飲めちゃいます」と、daichicrewさんはジャスミンハイ600円をオーダー。オリジナルのワイングラスがかわいい。

おかきを中心にオリジナルグッズを扱う桜川のショップ、BYTENのおかき各650円。おつまみとして店内で食べても、お土産代わりに持ち帰ってもOK。

(左から)料理とバランスのいい常陸野ネストビールのダイダイエール800円、国産の金柑にコリアンダーを組み合わせたTWO RABBITS BREWINGのKINKAN WIT 1,100円、レゲエ好きに人気のレッドストライプ1,100円。

INFORMATION

お料理 横目

大阪市西区新町1-22-12
営業時間:18:00-24:00頃 / 休:不定休
Instagram:@oryori_yokome

【Wandering Osaka】

#01 岩井祐二と巡るCity Lights : Donuts、LIGHT YEARS OSAKA、Family Tree Bottles
#02 植杉友恵と巡るTOLMA、su、洗濯と喫茶 廻廻
#03 サカモトタイチと巡るVOYAGE KIDS、club daphnia、tamutamucafe

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