CULTURE 2026.08.22

[Wandering Osaka]#12 桂九ノ一と巡る白布、熱帯夜、Sway

Photography_Masahiro Yoshimoto, Text_Yuka Muguruma, Edit_Michika Kuriyama, Takuya Nakatani
EYESCREAM編集部

音楽、アート、ファッション、フード、スケボー、グラフィティ、そしてなによりもストリートカルチャー。いつもなにかおもろいことが起こっている、熱気に満ちた大阪の街にフォーカスする連載シリーズ「Wandering Osaka(ワンダリングオオサカ)」の12回目。街を知るには街の重要人物(もしくは街で遊びまくっている人!)に訊くのがイチバン、てことで今回は、落語家として各地の寄席に出演するほか、DJとしても活動する桂九ノ一さんにガイダンスしてもらった。

Recommender of the Month
桂九ノ一

1995年、大阪府生まれ。2016年に桂九雀に入門。『上方落語若手噺家グランプリ』第6回・7回決勝進出。全国の寄席に出演するほか、自身のイベント『ラクゴ・ラモーン』も開催。DJとしても活動する。Instagram:@katsura_kunoichi

general store 白布


モノを通して自分の“好き”と向き合える
カテゴライズのないセレクトショップ

2019年にオンラインからスタートし、2025年に実店舗をオープン。テーブルウエア、インテリア雑貨、フォークアート、衣服など、暮らしにまつわるプロダクトを国内外&年代問わず厳選する一軒。「繊細な技が光る手仕事品と無機質な工業製品をあえてごちゃ混ぜに配置することで、モノに対する先入観を取り払い、フラットな目線で選ぶ面白さを提案しています」と店主の塩田竜也さん。日本各地の郷土玩具や木彫りの熊といったフォークアートに加え、現代作家のアートピースも充実。ビビッときたアイテムを手に取って、生活にどう取り入れるか、思いを巡らせるひとときも楽しい。今秋からはオリジナルのアパレルレーベルも始動予定と、今後の展開にも注目だ。

Recommender’s Comment

「もともと古物が好きで、心惹かれるモノを見つけるとつい買ってしまいます。以前、白布さんに来た時は、古いたぬきのオブジェを持ち帰りました。今日は味わい深い木槌を購入。オブジェとしてはもちろん、ペーパーウェイトやドアストッパーなど、いろんな用途に使えるそうなので、どんな風に取り入れようかワクワクします!」

女性をモチーフにしたアフリカの仮面。壁に掛けたり棚にさりげなく飾るだけで、雰囲気のある空間に仕上がる。5,000円。

大阪の製紙会社で再生紙から作られたレジャーシートは、木漏れ日を閉じ込めたようなデザインが魅力。裏面にはラミネート加工を施し、濡れた地面でも使える仕様に。1,980円〜

雪国である新潟県で農閑期に作られていたスゲ細工の馬。温かみがありながらも、どこか凛とした出立ちに思わず惹きつけられる。18,700円。

徳利に”犬山”の文字が描かれ、愛知県犬山市周辺で制作されたとみられるタヌキの焼き物5,500円。「なんとも言えない表情と佇まいが堪りません」と九ノ一さん。

作られた国や年代、素材もさまざまな品が並ぶこちらのコーナーは、まるで白布の世界観を映し出しているようだ。

プカオと呼ばれる赤い帽子のようなモノがちょこんと乗ったモアイ像のオブジェは、いくつか並べて置くとさらにかわいい。

ori/mako muramatsuのファブリックや石を組み合わせたペーパークラフトなど、現代作家による個性的なプロダクトもラインナップする。

自然の神秘や造形美が詰まったメノウのブックエンド。一つひとつ異なる個性を持ち、ずっと眺めていたくなる。

白樺の木を一刀彫りして作られた登山人形は、山好きにぴったり。各地のお土産として長野県で作られていたそう。

INFORMATION

general store 白布

大阪市東成区東小橋1-18-1 松下ビル203
営業時間:11:00 – 17:00 / 休:不定休
Instagram:@sirafu.s

熱帯夜


ディープなサブカル愛が凝縮された
寄席ついでに訪れたいレコード店

店名の熱帯夜は、店主の秋葉慎一郎さんが敬愛する細野晴臣の楽曲から。九ノ一さんの主戦場である天満天神繁昌亭のほど近く、天神橋筋商店街の雑居ビル内のレコードショップ。ドラマーとしてバンド活動も行う秋葉さんは、大阪のレコードショップTIME BOMB RECORDS、レコードあんぐらあで長年勤めたのち、2023年に独立。1960〜80年代のロックとポップスを中心に扱う。型番や収録曲まで丁寧に記されたライナーノーツも特徴で、「音楽への愛を感じます」と九ノ一さん。DMBQなどで活躍するドラマーの和田晋侍から譲り受けたドラム、ヴィンテージのステージ衣装、サイケデリックなアート、マニアックな書籍や雑貨が散りばめられた、カルチャーどっぷりな空間ごと味わい尽くしたい。

Recommender’s Comment

「オープンしたての頃から通っています。繁昌亭のすぐ近くなので、出番があると、その日もらった割(ギャラ)を握りしめて来て、それ以上に買っちゃうこともよくありました。僕はロックやサイケが好きなのですが、いつ訪れても好きなものが見つかるんですよね。今日は店主さんとたくさんお話ができてうれしかったです」

レジ奥の棚には、秋葉さんのコレクションがずらり。それぞれの品にまつわる熱量たっぷりのトークを聞くのも楽しい。

圧倒的な存在感を放つカラフルな作品は、ミュージシャンとしても活動する柏木辿が、店のオープンに合わせて描いたもの。

大阪を拠点に活動するクリエイターのヨシカワショウゴによる作品も販売。以前、熱帯夜でポップアップを行ったそう。

ステージ映えしそうなヴィンテージコスチュームを展示。和田晋侍のドラムもさりげなくディスプレイされている。

レコードのほか、カセットやCDもスタンバイ。ポップなぬいぐるみや太陽の塔のオブジェが、空間をにぎやかに演出している。

毎年恒例の周年イベントでは、友人でありイラストレーターの鈴木裕之による似顔絵ポップアップを開催。店主お気に入りのレコードのジャケットを再現したポスターも飾られていた。

「大好きな『9月の海はクラゲの海』を収録。ほしいです」。1986年に結成10周年を記念して発表された、ムーンライダーズの『DON’T TRUST OVER THIRTY』4,000円。

「門下は違うのですが、落語家としてはやっぱり見逃せません」とお薦めしてくれたのは、笑福亭鶴光の『うぐいすだにミュージックホール』800円。

「岡林信康による伝説的なシングル曲。このアンサーソングがサンボマスターの『これで自由になったのだ』なんですよ」。はっぴいえんどの『それで自由になったのかい』2,000円。

真剣な表情でレコード棚をディグっている九ノ一さん。帰り際にしっかり購入し、満足げな表情を浮かべていた。

INFORMATION

熱帯夜

大阪市北区天神橋2-2-28 永井ビル3F
営業時間:12:00 – 20:00 / 休:水曜
Instagram:@nettaiya_yoru

Sway


音楽を愛する人が集い、語らう
ふと羽を休めたくなるレコード喫茶

「レコード好きがゆるりと集まる、サードプレイスのような場所を作りたくて」と、店主の久保敦志さん。珈琲の香りが漂う店内には、1950〜60年代のブラックミュージックを中心に、ジャズやラテン系のBGMが流れ、穏やかな心地よさに包まれる。スパイスカレーや海南鶏飯といった食事から、ナチョスやカルパッチョなどのおつまみ、手作りのレアチーズケーキまで幅広くそろい、思い思いの過ごし方が可能。スピリッツ/リキュールなどのお酒やノンアルコールメニューが多彩なのもうれしい。仕事帰り、何気なく立ち寄って店主との音楽談義に花を咲かせれば、当たり前の日常がほんのり色づく。ライブやダンスセッションなどのイベントも不定期で開催している。

Recommender’s Comment

「寄席終わりやどこかに出かけた帰り、つい寄り道してしまうカフェバーです。僕はお酒を飲まないのですが、ノンアルメニューがたくさんあるので、安心して利用できるのもポイント。店主の久保さんは、音楽に限らず古いサブカルチャー全般に造詣が深く、時間を忘れてお喋りしてしまいます。一人でも訪れるほど大好きなお店です」

豆は、深煎りのオリジナルブレンド。奥深い苦味とコクを感じられる、香り高い珈琲450円。

カウンター後方のラックには、久保さんが趣味で蒐集したレコードがぎっしり。その日の客層や雰囲気を見ながら、ぴったりな一曲を選んでかけている。

奥の本棚には、音楽はもちろん、1960年代にアメリカやヨーロッパの若者の間で広がったカウンターカルチャーに関連する書籍・雑誌が並び、手に取って読むこともできる。

1960年代以降のマリの若者文化やナイトライフ、音楽シーンなどを捉えた写真家、マリック・シディベの展覧会ポスターが飾られていた。

空間全体に温もりを添える、古いオルガンを設置。ギャラリーボードに見立て、ショップカードなどを並べた遊び心あふれるディスプレイも見どころ。

INFORMATION

Sway

大阪市中央区糸屋町1-2-3 大手前恵ビル1F
営業時間:11:30 – 23:30 / 休:日曜
Instagram:@sway_osaka

【Wandering Osaka】

#01 岩井祐二と巡るCity Lights : Donuts、LIGHT YEARS OSAKA、Family Tree Bottles
#02 植杉友恵と巡るTOLMA、su、洗濯と喫茶 廻廻
#03 サカモトタイチと巡るVOYAGE KIDS、club daphnia、tamutamucafe
#04 daichicrewと巡るTASOGARE COFFEE、ACHROMA、お料理 横目
#05 爛々 萌々と巡るstandピピピッ!、 oh my 河‼︎、幸せ立ち呑み夢ごりら
#06 CM SMOOTHと巡るMARADONA RECORDS、mumei gallery、BOURGEON records
#07 清原崇弘と巡るKON、Falman、ue.
#08 大吉純一&河田達矢と巡るYAMASTORE、惣菜・弁当 あんどう、ピタックごはん
#09 岩下太輔と巡るThat’s PIZZA、FAT DOG STAND、民族中華
#10 aska.と巡るπ spectacle、LIN gallery、LEAD COFFEE
#11 イーグル野村と巡るTHEモンゴリアンチョップス、ザ・モチベーションショップ、十四才

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