#04 知足​ by 書道家 万美

書道家 万美による連載パンチライン、第4回目。

ここで言うパンチラインとは、
禅の教えをキャッチーにした、禅語とよばれる言葉です。

禅語には、たっくさんのジャンルがあり、
それらをまとめた「禅語集」という本も書店でちらほら見かけます。
私はこの本を「パンチライン集」と呼んでいます。

毎月、このパンチライン集の中から
書道家 万美がブチ上がった言葉をフックアップしております。
この言葉たちの中に、日々の生活の
「案とヒント」が隠されているかも?

今月のパンチラインは「知足」
いそがしく生きる方々へ、
少しだけ立ち止まって読んでいただきたい言葉です。

「知足」

読み方:ちそく
意味:足るを知る

この言葉は中国でも愛されており、
「吾唯知足」(われ、ただ、たるをしる)
とも伝えられています。
上の画像のように
「口」を中心に形成されたデザインも可愛らしいですね。

「必要なことは、もう足りている。」

自分の周りに足りないモノはありますか?

ふと、周りを見渡すと
クローゼットの服、窓に揺れるカーテン、キッチンの調味料、本棚の本や雑誌…
ついつい、あれも!これも!となってしまいがちですが、
ひとつひとつに目を向けてみると、
意外と快適な生活を送れていることに気づかされます。

でも、やっぱり生きている以上
いろんなものが欲しくなっちゃいます。
(私が今欲しいのは、画面の割れてないスマートフォンです。)

そうやって欲が出てきたときに、
「知足」を思い出してみてください。
(画面が割れてたって、電話できるもん!とか。)

そうして欲をコントロールできたときこそ、
人の心に豊かさが訪れる気がします。

もちろんハングリー精神も大切です。
自分の壁を超えたい、あの人に認められたい、スニーカーとスキルを磨きたい。
高みを目指すことは、人間に与えられた素晴らしい才能だと思います。
この気持ちに生きる喜びを与えてられてますもんね。

ただ、この現代社会では
ハングリー精神に満ち溢れたハングリー星人が多いように感じます。

ふと、立ち止まって、自分には何があるのか
今いちど振り返り、
周りの環境と向き合ってみてください。
そこには素晴らしい ”軌跡” が溢れているのではないでしょうか。

話は変わりますが、私は先月、アフリカで3週間を過ごしました。
自分自身、書道家としての生活に満ち足りてきたと感じたので
助けを必要とする方々の元へ行き、なにか協力できたらなと、支援に出発しました。

その中で、電気の無い村での活動があり、
なかなかハードな環境だな~と腹をくくってお邪魔したのですが、
意外や意外、その村の住人は、なんだか幸せそうな表情をしておりました。

「なんでだろう、電気がなくて大変だろうに。」
私はそう疑問に感じたのですが、3日間通い、気がつきました。
「彼らは満ち足りている。」
こちらの思い込みで勝手に、「大変そう」だなんて思っていたけど、
日が昇れば起き、暗くなれば寝るから、体に無理がない。
食は湖の魚や他国からの支援があり、躍起になって稼がなくても良い。

日々、大自然の中で朝焼け夕焼けの美しさを感じ、
夜は星の輝きに包まれ眠る、
時間を自由に使える心がありました。

日本人の私の価値観からすると、毎月の家賃光熱費のために
せかせかした暮らしになっていたのですが、
彼らの生活と向き合う中で、本当の「知足」を学んだような気がします。

“Make Mo’ Paper,Paper…お金は全てを買えるけど
この世で一人だけの自分と信じたいね”

周りにいてくれる家族、仲間のことを思い、
普段使ってる持ち物と丁寧に向き合い、
その上で少し上の目標を立て、
日々新たな気づきと共に人生を歩みたいですね。

書道家 万美

パンチライン
#01 和敬清寂​
#02 八風吹不動天辺月​
#03 明珠在掌​

PROFILE

書道家 万美 / Calligrapher MAMI

HIP HOPカルチャーのひとつ、グラフィティを書道と同じ視覚的言語芸術と捉えた“Calligraf2ity”を見出す。
個展やパフォーマンス、作品展示は日本をはじめ、アジア・ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリア等でも発表している。

Calligraphy+Graffiti=Calligraf2ity(かりぐらふぃてぃ)とは…
2は、ひぃふぅみぃよぉ〜…と数える日本の文化。そして、書道(Calligraphy)とグラフィティ(Graffiti)の”2″つのカルチャーが融合した、次(2)世代の伝統。という意味を込めての “Calligraf2ity”。

official web : www.66mami66.com
instagram : @66mami66