CULTURE 2018.06.29

渋谷の街を走り、カルチャーに触れ合う!「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2018」のランニングイベント&キッズワークショップをレポート

Text_Takao Okubo
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

2020年にむけて日々変わっていく東京の街、そしてSpotifyなどのサービスの普及によって進化する音楽メディア。そんな変わりゆく東京、渋谷から「都市と音楽の未来」をテーマに掲げ音楽とカルチャーを発信する都市型フェスティバル「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2018」が6月8日~10日の3日間、渋谷WWW、WWW X、GALLERY X BY PARCOを中心に渋谷の街を舞台に開催された。

ライブやDJイベント、トークショーを中心に開催されたこのフェスだが、EYESCREAMは音楽とカルチャーの視点から、最終日に開催された参加型企画、ランニングイベントとキッズワークショップの模様をお届け。

まずは、もっとも「街と音楽」というテーマを体感できるランニング企画「渋谷を走ろう! TMOラン!」の模様をレポート。午前中から、音楽とランをこよなく愛する人々が集い、ゲストやアンバサダーとともに、新しくできたスポットや工事中の場所など、今しか見ることのできない2018年の渋谷を駆け抜けた。

TMOランが開催されたのは6月10日(日)の朝、あいにくの雨。そんな中、ゲストランナーのTOTALFATのShun(Vo/Ba)さんとBunta(Dr/Cho)さん、EMPiREのMiKiNA EMPiREさん、BIGMAMAのリアド偉武(Dr)さんの4人と、アンバサダーの三原勇希さん、そして厳選なる抽選で選ばられた約30人の参加者がWWW Xに集結した。

コースは約3キロ。WWW XをスタートしO-EASTや渋谷TOWER RECORDSなどの音楽とゆかりのある場所やhotel koé tokyoなど新しいスポットなど、さまざまな場所を巡る内容。イベントは、「今しか見ることができない渋谷の景色の中を、好きなアーティストの皆さんと写真に写しながら、コミュニケーションをとりながら一緒に走っていきましょう」というアンバサダーの三原勇希の挨拶から始まった。

ゲストランナーの紹介では、今回のイベントへの意気込み、そして渋谷の街を走ることへの思いをそれぞれ語っていた。中でも印象的だったのはTOTALFATのShunさんのコメント。「東京で初めて住んだ街が渋谷だったんです。母親が“音楽をやるなら都会に住みなさい”って言ってくれて。当時はSHIBUYA-AXっていうライブハウスがまだあって、その周りを走っていましたね。“いつかこのSHIBUYA-AXをワンマンでチケットをソールドアウトさせてやるんだ”なんて思いながら。それが実現できた時に、“走ることって引き寄せることなんだ”って思ったんですよね。だから今日はそんなノスタルジックな思い出とともに走ります」と熱い思いの胸を語ってくれた。

ゲストランナー、アンバサダーとともに入念なウォーミングアップ。コーチは、日本ランニングトレーナー協会の代表を務める三浦直樹さん。

まず目指したのは渋谷を代表する老舗ライブハウス、O-EAST。ビッグバンドへの登竜門であり、数々のカルチャーが生まれたこの場所では、なんと屋上に上がり記念撮影。ライブハウスから渋谷の街を一望できるのもこのイベントならでは特典。

続いて渋谷東急本店、渋谷公会堂を周り代々木公園へ。ここではちょっとしたアトラクションということで、参加者全員で馬跳びに挑戦。もちろんゲストランナーの皆さんも馬になり、全員が楽しんでいた。「30人が一斉に渋谷の街を走るって実はすごく進んでいることだよね。この前、インドネシアに行ってきたんですけど、やっぱりこういうことができる環境ってないなって思いましたね。世界的にもこんな素晴らしい環境って少ないんと思うんです。だからこのイベント自体が最先端だなって思うな」とBuntaさんはイベントの素晴らしさを再確認していた。

普段は憧れのアーティストだけど、この時この瞬間は全員が同じ1人のランナー。同じ目線で思い思い会話をしている様子は印象的だった。「好きなバンドの話、名古屋でのライブの話など、いろんな話をしました。みんなとの距離が縮まったかなって。こういう経験が初めてだったので楽しかったです」とMiKiNA EMPiREさん。

その後は渋谷の新名所・hotel koé tokyoの前を通り、渋谷TOWER RECORDSへ。給水所でもあるこの場所ではオリジナルパネルを使っての記念撮影。普段何気なく行く場所もランニングをしながら回ると、いつもと違って見える。リアド偉武さんは「走るっていると新しい発見をすることが多いんです。普段聴いている音楽も曲の聴こえ方が違ったり、“自分のプレイリストってこんな曲入っていたんだ”とか。今回も皆さんと走って、いろいろ会話をして、新しい発見がたくさんありましたね」と、走る面白さを教えてくれた。

そして宮下公園、MAGNET by SHIBUYA109を通り過ぎ、WWW Xへと戻りゴール。たった3キロと感じる人も入れば、やっとの思いで3キロを走り切った人もいるが、それぞれにとって貴重な3キロになったであろう。参加するとよくわかるのだが、実は音楽とランニングはすごく通じる部分がある。それを実際に第一線で活躍しているアーティストとともに走ることで体感できるというのは、参加にとっても新しい発見であっただろう。そして、新しい発見があったのはゲストランナー、アンバサダーたちにとっても同じことだったようだ。最後に走り終わった感想と走る意味を次のように語ってくれた。

三原勇希

「たくさん話しながら走ったので、あっという間でしたね。渋谷の街を実際に走ってみて、工事現場がすごく多くて、本当に変わっていく途中なんだなって思いました。今日は雨でしたが、いざ走り始めると全然気にならかなったですね。私は走ることも大好きだし、音楽も大好きで、どっちも一番の趣味なんです。新譜が出たら、この1枚を聴くために走ることもありますし、走るために作ったプレイリストもあります。本当に親和性が高くて、どっちも自分を高めてくれることなんです。自分をベストな状態に持っていくために音楽を聴きますし、走るんです」

Shun(TOTALFAT)

「自分たちの音楽のどういうところが心に刺さっているのかとか、ライブのどういう部分を楽しんでくれているのかとか、自分たちの音楽を聴いてくれている人と会話をしながら、走れたのが貴重な経験になりましたね。バンドとお客さんではなく、一緒に走っている友達として話せるっていうのが良かったですね。いかにランニングっていうものが僕らの音楽やライブに反映しているのかっていうのを知ってもらえたんじゃないかな。次は俺がゴリゴリのランイベントを主催したいですね。そのために各自が特訓してくる。それでもっともっと音楽を走ることで繋がれたら最高ですね」

Bunta(TOTALFAT)

「もともと足を故障したり、ドラムのフェスがあったタイミングで、何かしなきゃって思いはじめたランニングなんです。でも一回辞めてしまった時期もあって、その時に”俺ってランニングに救われていたんだなって”気がついたんです。それからは月にトータル100キロは走っていますね。自分も一回辞めたことがあるので、途中で辞めてもいいと思うんです。でも調子が悪い時とか何かにつまずいた時とかに、ランニングが最後の一手になればいいなって思うんです。頑張れる最後の一手というか。今回のイベントが皆さんにとってそのキッカケになればいいなと思います」

MiKiNA EMPiRE

「普段は全く運動をしないんです。それどころか球技も苦手で、スポーツをやるだけで友達に笑われるぐらい運動音痴なんです。だから最初は、こういう“みんなと走る”っていう経験が初めてで、息苦しくならないか心配だったんです。でも綺麗になっていく渋谷の街を見ながら、いろんな人に声を掛けていただいて楽しく走れましたね。走るって、実は音楽に似ているなって思いました。一緒のことを一緒の時間に一緒の気持ちで楽しめるってライブと同じで、すごく好きな時間だなって思いました。音楽が好きだから走るっていうこういうイベントは、また参加してみたいですね」

リアド偉武(BIGMAMA)

「ランニングを始めた時は、なかなか身体を動かす機会がなくて、運動不足を感じたときに、身体をリセットするために始めたんです。普段はツアーやライブがある時期なんかに音楽を聴きながら、1人で走るんですど、こうやってみんなで走るのも楽しいですね。渋谷の街を走ることも今回が初めてだったので、新しい発見ばかりのイベントになりました。走っている時も皆さんにも声を掛けていただき、たくさんのコミュニケーションを取ることができて、すごく思い出に残る1日になりましたね。また一緒に走れたらなって思います」

この日、ランニング企画「渋谷を走ろう! TMOラン!」の後は、GALLERY X BY PARCOにて子どもたちが音楽やアートを楽しめるワークショップ企画「スペシャキッズミーティング」が開催された。会場内は真っ白なキャンパスが敷き詰められ、そこで生まれたてのベビーからキッズまでが絵を描き、音楽を奏でられるという自由形の参加イベント。

「音楽の楽しさ」「表現することの自由」を体感してもらうためのこの企画では、子どもたちが思い思いの表現することを楽しんでいたのが印象的だった。

このイベントに参加してくれたイラスレーターの死後くんは独特な世界観で、この日のために描き下したちょっぴりシュールな紙芝居を披露し、キッズだけでなくパパ・ママたちも大喜び。そして、イルリメとしても知られ、NYのレーベル〈ミスター・サタデー・ナイトやUKブリストル〈BLACK ACRE〉からのリリースで世界のダンスミュージックシーンから注目をあびるトラックメイカー/ミュージシャンのJun Kamodaさんはキッズに囲まれながらDJプレイ。ギタリストのKASHIFさんと一緒に、(((さらうんど)))の名曲「R.E.C.O.R.D.」を披露する貴重なシーンもあった。

ライブやDJイベントのみならず、さまざまな角度や方法で「都市と音楽の未来」を形にしてくれた「TOKYO MUSIC ODYSSEY」。どの企画も心から音楽を愛する人ばかりが参加し、終始笑顔で溢れた3日間となった。日々進化を続ける東京・渋谷、そして音楽。来年はどんな形でこのイベントを迎えることができるだろうか。今から楽しみでならない。

INFORMATION

TOKYO MUSIC ODYSSEY

“都市と音楽の未来”をテーマに、東京、渋谷から発信する音楽とカルチャーの祭典。
時代を創るアーティスト、クリエイターと、この街に集まる多種多様な人々が出会い、共に未来を描く、都市型フェスティバル
Official Info:https://tokyomusicodyssey.jp/2018/

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