Licaxxx × 荒田洸(WONK)「注文の多い晩餐会」
vol.08 〜Yogee New Wavesの巻〜

photography_Takao Iwasawa

Licaxxx × 荒田洸(WONK)「注文の多い晩餐会」
vol.08 〜Yogee New Wavesの巻〜

photography_Takao Iwasawa

DJを軸にマルチに活躍するLicaxxxとWONKのリーダー/ドラムスである荒田洸の二人が、リスペクトする人を迎える鼎談連載。その第八回にはYogee New Wavesよりドラムの粕谷哲司とギターの竹村郁哉が登場。2020年が明けたばかりの週末の夕方、恵比寿の老舗居酒屋に集合したのち、竹村が実はLicaxxxと荒田の大学の先輩だった、という話題からスタートした。
EYESCREAM誌面には載りきらなかった部分も含めて、完全版でお届けします。

飛行機の座席のあいだの肘掛けいらないんじゃないか説

竹村:(女将さんが注文を取りに来たタイミングで)瓶ビールが飲みたいです。

Licaxxx・荒田:そうしましょう!

粕谷:先輩の風吹かしてんなー(笑)。

Licaxxx:今日は先輩をお呼びしてますからね。

竹村:Licaxxxは一個下なんだっけ?

Licaxxx:10(註:2010年入学のこと)

竹村:オレ、08だから二個下か。

粕谷:オレ、11だよ。一浪してっから。

Licaxxx:なにそのドヤ顔(笑)。

荒田:91年生まれですか?

粕谷:そう。

荒田:僕、92年生まれです。一浪して入ってるので12。

Licaxxx:じゃあ(竹村と荒田は)在学期間かぶってない?

竹村:オレ、半留して9月に卒業してるから。(荒田が)ロック研究会っていうサークルにちらっとだけいたのは覚えてるよ。そのダメサークルのダメ部長だったから。

荒田:ダメサークルだったんですか? ジャズ研から見たら、リア充だな〜と思ってましたよ。

竹村:ジャズ研も、どうしようもない(笑)。

荒田:ジャズ研の部長になってからは、いかにジャズ研をリア充にしていくかを考えていたので。

竹村:めちゃくちゃ早い段階で部長になってなかった?

荒田:そうですね。二年くらいから。

荒田:新年、仕事は始まってますか?

粕谷:ライブはまだだけど、制作が。角舘家で、ぐだぐだずーっと。今日もやってきた。

荒田:制作のときはみんなで集まるんですか?

粕谷:うん、基本的に(角舘)健悟の家でデモはつくるから。実際、365日中320日くらい一緒にいる。顔を見てないと不安になる(笑)。

Licaxxx:WONKと真逆じゃん(笑)。

荒田:うちのバンドはサテライトですね。会うの面倒くさい。320日も一緒にいて、なにか話すことあります?

粕谷:それが、話す。今日は会って、とりあえず喫茶店行くかって4人で行って。トークテーマが土地の話だった。いい土地、悪い土地みたいな、運気系の。

竹村:学生のままなの。ずーっと喋ってる。

竹村郁哉

荒田:飛行機とか乗るときはメンバー同士で隣になりますか?

竹村:そうだね。

Licaxxx:長時間移動で気まずくなったりしないんだね。

荒田:WONKは隣同士はないですね。(江崎)文武と隣になったら「やべ、なに話していいかわかんない」ってなる。「肘、どうしよう」って。

粕谷:肘はデリケートな問題だもんね。でも最近、オレと健悟のあいだで、「飛行機の座席のあいだの肘掛けいらないんじゃないか説」を提唱していて。あれあると、お互い微妙な空気になるから、もうとっちゃおう、って。

Licaxxx:仲良い!

粕谷:あと、最近気づき始めたんだけど、みんなめっちゃ同じこと言ってる。しかも全員が初見の感じでそれを聞いてる(笑)。

Licaxxx:それホラーじゃん(笑)。

竹村:しかも喋るほうも無自覚なんだよ。そのことに対して最近こわくなってきて。誰になにを話したのか忘れちゃう。

粕谷:だから、クソどうでもいいことを話してるんだよ。記憶するほどでもないようなことを言ってるし、聞き流してる。

竹村:健悟もめちゃくちゃ同じこと言うもんね(笑)。

粕谷:アイツの場合は広がる可能性があるから、それを楽しんでる。入り口一緒だけど今日はこっち来るんだ、これ聞いたことないわ(笑)って。

竹村:でも俺は広がらないから。言ってくれたほうがありがたい。全部言ったあとに「それ聞いたことあるけどね」って言われたらへこむからね。

粕谷:ぼんちゃん(竹村のこと)は口調とかトーンまで一緒だからね(笑)。

竹村:ここの二人(粕谷とLicaxxx)は仲良いじゃん。ここ(粕谷と荒田)はどうなの?

粕谷:初対面。

荒田:イベントで一緒になってご挨拶させていただいたことはありますが、ちゃんと話したのは今日が初めて。

粕谷・荒田:よろしくお願いします。

Licaxxx:あれ? 振り出しに戻った? デジャブ?(笑)

言語化しないうつくしさ

荒田:どれくらいリハ入るんですか?

竹村:俺らは多いよね。入れば入るだけ演奏がよくなる。

粕谷:逆に、旅行とかに行って二週間ぶりにスタジオ入ったりしたら、みんな違う方向を向いていて「やばいやばい」みたいになる。すぐ忘れるっていう(笑)。昔はそこに対して無自覚だったから、「あれ? 違うだろ」ってごちゃごちゃ言い出していたのを、最近は気づき出した。「ま、久しぶりだしこんなもんだろ」って思えるようになった。

竹村:サテライトでできるスタイルってすごいよね。

Licaxxx:外から見ていて、WONKは切磋琢磨で上がっていく系で、Yogeeはわりと親密度がそのまま出るタイプ。そっちのほうが幸福感は高そう。

粕谷:でも結局、このバンドになっちゃったからかもしれないけど、行き着くところは人間性だなって。そこだけは抗えない。こういう音楽好きだったら(演奏で)こうなるよな、とか。

竹村:最近は言語化しないように努力してる。

粕谷:(演奏について)話し合う時間で、あと2、3回リハで合わせたほうが自然に合ってくるだろうって。

荒田:WONKも話し合ったりはしないですね。ケンカになりそう。

粕谷:結局、そっちのほうがいいんだよなあ。一時期、ずっとケンカしてる時期あったもんね(笑)。

竹村:あったね。ずっと同じループを辿ってるみたいな。

粕谷:それを経て、言語化しないうつくしさに気づいた。

荒田:皆さん、2019年のベストアルバムは何でしたか?

粕谷:ヴァンパイア・ウィークエンドの『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』かなー。

竹村:あー、ヴァンパイアだねえ。

荒田:そこは一緒なんですか?

粕谷:結構、聴く音楽でいうと、かぶってくるところはあるから。あの世界観は改めて聴いても、よすぎた。マジで超ハッピー。あのハッピーは、ちょっと出せないよ。アルバムとしての完成度がやばすぎる。

竹村:そうねー、めちゃめちゃ作り込まれてたよね。

粕谷:クルアンビンのダブ盤もよかった。めっちゃ聴いたなー。

荒田:僕は、ビリー・アイリッシュなんですけど。

粕谷:あのロウの処理が、潮目。バンドでも話題になったけど、音の処理が、世界変わるぞ、って。

荒田:ロウやばいですよね。

粕谷:ちょっとやばすぎた。

荒田:あれは新境地でしたよね。ポップスのなかで。

粕谷:ぼんちゃんはなに?

竹村:アルバムじゃないんだけど、ヴルフペックのマディソン・スクエア・ガーデンのライブ映像が、

荒田:あれやばかったですよね。

粕谷:あれ、音源も出たよ。

竹村:音源も聴いたけど、映像のほうがダントツでいい。

粕谷:登場のところからもうね。あれはまじで最高。

VULFPECK /// Live at Madison Square Garden

竹村:あと、フェイ・ウェブスターっていうアトランタの女性シンガーは、年末にずっと聴いてた。新しさはないけど、好きな音像だった。

荒田:(聞き取れずに)ん? ペイユー?

竹村:PayUは新しい電子決済ね。

一同爆笑

粕谷:早いわー。それそれ! ここ絶対使ってください! ぼんちゃんのいいところが凝縮されてた。

服は古着屋で、無駄口を叩きながら

荒田:ステージ衣装はどうしてるんですか?

粕谷:自前。WONKは?

荒田:僕らも自前です。

粕谷:共感!

竹村:最近オレは、衣装として同じものを着るという方向にシフトした。

粕谷:ドラムだから、とくに暑いから半袖がよくて。中国に二週間くらいツアーで行ったときに、20枚くらいTシャツ持って行った。

荒田:Tシャツ派なんですか?

粕谷:でも最近、洒落こもうと思って、50年代とかの古着のボーリングシャツを着ようと。

荒田:それをコレクションしていこうとしてるんですか?

粕谷:でもなかなか揃わなくて。ヴィンテージだからちょっと高いし。

Licaxxx:かわいいけどね。

竹村:Licaxxxは明日からパリなんだっけ。何日くらい行くの?

Licaxxx:パリは5日間で、そのあとロンドンに4日間。パリコレのショーを観にいくのがメインで、DJも少し。

荒田:なにそれ、最高やん。

粕谷:業界きってのカルチャー人ですから(笑)。

荒田:お二人は服はどこで買ってるんですか?

竹村:だいたい古着屋だよね。

荒田:下北沢の古着屋とかですか?

竹村:場所は決まってないけど。地方行ったら古着屋行って、レコ屋まわって、みたいなことはよくする。

荒田:でも、古着屋で掘るほうがレベル高く感じる。

竹村:古着屋だと、人に会いに行くじゃん。

Licaxxx:そっちのほうが私緊張すんだよね。

竹村:ほんと? 無駄口でも叩きながら、「これ入ったよ」「いいっすね、ちょっと試着しちゃおうかな」とかのほうが楽。めっちゃおしゃれな友達が服いっぱい持ってる、みたいな感じ。

粕谷:中学のときから、ずーっと古着しか着てないから、気づいたら新品の店に入れなくなっていた。あの空気が、冷や汗かいちゃう(笑)。

Licaxxx:でも、服屋は行かないかも、たしかに。

竹村・粕谷:…………えっ???

荒田:もらえるもんね(笑)。

Licaxxx:まあそれもあるけど、もらえるものだけじゃ成り立たないよ。展示会とか。

粕谷:かたや新品の服屋に入れなくて、かたや。

竹村:格の違いを見せつけられてるね(笑)。

Licaxxx:あとはネットでも買う。

竹村:ネットで買ってもサイズ合わないとかあるじゃん!

粕谷:そうすると家でも冷や汗かくことになるもんね(笑)。


Yogee New Waves

2013年に東京を拠点に活動開始。現代の都会におけるポップミュージックの進化をテーマに活動中。
1st album『PARAISO』は年間ベストディスクとして各メディアで多く取り上げられる。
2019年には10都市に及ぶアジアツアーを開催するなど海外からも注目を集めている。
@yogeenewwaves

4th e.p.「to the MOON e.p.」
https://jvcmusic.lnk.to/tothemoon_ep

[CD+DVD] 品番:VIZL-1657 価格:¥2,500+tax
<CD>
01. to the moon (テレビ東京ほか ドラマ25「ひとりキャンプで食って寝る」主題歌)
02. あしたてんきになれ
03. Honey Pie
04. Sweet Melodies
05. to the moon [Sen Morimoto Remix]
<DVD>
C.A.M.P. DA HOI
[発 売 元] Colourful Records / BAYON PRODUCTION


粕谷哲司

Yogee New Wavesのドラムスを担当。
@kas_fe4


竹村郁哉

Yogee New Wavesのギターを担当。
@fumicro


荒田 洸

“エクスペリメンタル・ソウル・バンド”を標榜するWONKのバンドリーダーであり、ドラムスを担当。
@hikaru_pxr


Licaxxx

DJを軸にビートメイカー、エディター、ラジオパーソナリティーなどさまざまに表現する新世代のマルチアーティスト。
@licaxxx1

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