Photography—Nahoko Suzuki Edit—Hikaru Fujii, Makoto Hongo Edit Assistant—Shu Nissen, Mami Chino
日本で海外文学を熱心に追う読者の数は想像以上に多くはなく、3000人ほどだと言われている。翻訳の仕事を始めるにあたって最初に編集者の人に言われたのは「海外文学は売れないんです」だった。いわゆる“ガイブン好き”な人たちが、自分の思い入れを大事に守るようにして続けている分野がかくいう文学の邦訳出版である。そんな理由で、本の一冊一冊が作られるプロセスは丁寧そのもの。それを物語るのが、作品の“顔”ともいうべき表紙である。イラストにすべきか写真にすべきか、色調をどうするか、などなど出版社(と、時には翻訳者)は作品に合わせて入念に表周りを作っていく。手に取ってもらい、さらに長く手元に置いてもらいたい、その思いとともに、訳出された文学の本は世に送り出されるのだ。ということで、レコードやCDに“ジャケ買い”があるのなら、本に“表紙買い”があってもいいはず。「おっ、これは!」と手にしたくなるカバーデザインをコンパイル。