FASHION 2021.02.22

[GU x MIHARAYASUHIRO]
明日を創る若者たちへ、三原康裕が伝えたいこと

Photography_Izaki Ryutaro,Edit&Text_Shu Nissen
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

2021年3月5日に「GU x MIHARAYASUHIRO」のコラボレートコレクションがローンチされる。90年代から現在に至るまでファッションシーンにて独創的な魅力を放ち続ける、日本を代表するデザイナー・三原康裕が美術学生だった20代に感じていた想いが詰め込まれた同コレクション。彼は、コロナ禍という不安な状況の中、次世代を担う若者に対して、「時代に負けて欲しくない」と語った。

「時代を恨んでも、世の中を恨んでもいい。
それでも挑戦する気持ちだけは、なくさないでほしい。」

-今回のコレクションは、若者たちへのメッセージでもあるとのことですが、どんなアイディアが起点だったのでしょう?

ちょうど、この話をもらったのが去年の春ぐらい。緊急事態宣言下、コロナ禍にいろんな意味で世の中がモヤモヤしている時期で「若い子たちは大丈夫かな?」って気持ちがありました。学校に行けないとか、就職も大変になってきたとか、いろんな話を聞いていて、自分の若い頃にリンクしたんだよね。当時、バブルが崩壊して僕らも就職氷河期で不景気になっていった時代。そういう時って、やっぱり覚悟を決めてやりたいことをやるしかない。僕は美術学生だったから将来になんの保証もないけれど、「自分はこれからなにを作るんだろう」っていうことに夢中だった時期があって、そんな学生時代を思い出しながら、“物を作る子たちにとって着やすい洋服”を作ってあげたいなって思ったんです。

母校である多摩美術大学にて撮影。校内を学生たちがすれ違っていく中に、よく見ると三原さんもカメオ出演している。そして、監督・林響太朗も同校の卒業生だ。

-コレクションテーマをGood Inspirationに決めた理由は?

言葉通り、“いいことを思いついた”、みたいな感じなんですけど、インスピレーションって辞書で調べると、神からの啓示みたいな意味でもあるように、この仕事をしていると日常的に感じることがあるんですよね。パズルみたいなもので、ひとつの思いつきではなく、いろんなピースが合わさったとき、これまでになかったものが産まれたり、新しい行動になって、自分の生活が変わったりすることもある。要するに、ネガティブに今の時代を捉えようと思うといくらでもできるけれど、こういう時だからこそ何かを考え直したり、時間があるからチャレンジしてみたりとか、そういう気持ちになってもらいたい。そういったコラボレーションの趣旨を表していますね。

「このロゴは僕の直筆。落書きしていたものをいいなと思って採用しました」
ビッグスウェットシャツ¥2,490+税

「とにかく美大生は忙しくて、いろんな物をなくしちゃうから、カード入れを。学生証とか大事な物をここに入れて欲しい」
マウンテンパーカ¥5,990+税

-GUというブランドにはどんなイメージがありましたか?

GUは、僕の印象はすごくファッション寄り。この話が来たときにサイトを見てみたら、ちょうどKEITA MARUYAMAさんやSOPH.さんとコラボレーションしていて、すごくチャレンジしてるように見えました。チャレンジで言うと今回はサスティナブルというのも一つの特徴ですね。僕はクレイジーな洋服ばっかり作っていても、意外とそういう取り組みにも関心があって実は(笑)

-Maison MIHARA YASUHIROでもサスティナブルなシューズを展開されていますよね

罪滅ぼしじゃないけど、作るからには環境的・社会的な責任があると思っています。サスティナブルっていう言葉が、ただのトレンドワードになるのは嫌だから、とにかく定着させたい。今回の取り組みがそのきっかけになればいいなと思っています。その他にも、物作りに関してGUさんがびっくりするぐらい頑張ってくれて、僕もここまでやってくれると思っていませんでした。「デザインがマス向けではないよな」と思いながら提案したのに、「もっとデザイン性が強いものでも全然いい」って言ってくれたり。

「ここのポケットにメモとかスマホを入れてもらって、これ(アイディア)が未来を作るからっていう。僕、結構ロマンティックなんですよ(笑)」
オーバーサイズTシャツ¥1,990+税

「僕はメモ帳とペンを常に持ち歩くんだけど、いつも落としちゃっていたので、ペン差しをつけているんです」
シェフジャケット¥3,990+税

-この価格でこれ程のアイテムができることに驚きました

お客さんが満足いくアイテムを、無理せずに買える価格帯にする為に一生懸命努力をしてる姿を実際に目の当たりにすると、大量生産大量消費の悪いイメージは全然なくて、これまでのファストファッションとは違う考え方なんだと思いましたね。実はけっこう安くないんですよ。あんまり言っちゃいけないんだろうけど、原価をこっそり聞いたらそんなに安くなくて。ちゃんとしたクオリティをお客さんに届けたいという気持ちをすごく感じました。

オリジナルソールスニーカー各¥3,990+税

-お互いに満足のいく物作りができたんですね

本当にゼロから僕一人で、ほとんどデザインから何から全部やったんですよ。いつもだったらある程度チームでやる部分もあるけれど、今回は一人でやりたい気持ちだったので。コロナ禍で僕も時間があったから、朝から晩までデザインできて、すごく楽しんでやれましたね。

「GUさんが誇る名作シェフパンツ。美大生はいろんなものをポケットに入れるから、物がたくさん入るようにしています」
シェフパンツ¥1,990+税

「これはね、下を向くな上を向けっていう、結構自分の洋服にもよく入れている言葉ですね」
ビッグスウェットプルパーカ¥2,990+税

-ユニセックスで着られるようなデザインでもありますよね。お話を聞いて改めて、多くの人が楽しめるとても贅沢なコラボレーションだと感じました。それでは最後に若者たちへのメッセージをお願いします

君らの時代だから、もっと無茶してもいいんじゃないかな。60~80歳の人たちが政治家をやっているけれど、実際の時代を作るのは若者であるっていうのは、今も昔も変わらないと思っています。だから、若い子たちのやる気がなくなるような時代にはなってほしくないんです。今はみんな大変だから、下の世代に優しい目を向けられる大人はいないかもしれない。それで世の中を恨むにしても、時代を恨むにしても、どちらでもいいと思ってる。僕は恨んできたからね。ただ、それでもチャレンジする気持ちだけは、なくさないでいてほしい。
動画のエキストラに出てもらった多摩美の学生さんにも伝えたんだけど、クリエイションっていうのは次の時代、明日を作る仕事。特に美大生という人種は、人が求めてる生き方をしない人たちでもあるはず。人に順応して生きるわけではなく、人を魅了して生きる人たち。人を惹きつけるものを作り、退屈な世の中を変えていこうとする、そういう子たちだから。彼らが時代に負けていくのを見たくないし、そうあるべきではないと、僕は思っています。

三原康裕

1972年福岡出身。1993年に多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部に入学。1994年の学生時代から独学で靴を作り始める。1996年には靴メーカーのバックアップにより「archi doom」を立ち上げる。1997年大学卒業後、名前を「MIHARAYASUHIRO」に変え2007年にパリにてコレクションデビュー。世界的ファッションブランドとしての始まりを迎えた。2020年、環境的責任を掲げたブランド「General Scale」をローンチ。

INFORMATION

GU×MIHARAYASUHIRO

販売期間:2021年3月5日(金)より全国のジーユー店舗およびオンラインストアで販売開始
商品数:メンズ全33型(展開店舗、マーケットにより取り扱い商品が異なります)
価格帯:490円~5,990円+税
展開マーケット:
日本(全店舗+オンラインストア※一部商品は展開店舗が異なります。)
中国(全店舗+オンラインストア※一部商品は展開店舗が異なります。)
台湾(全店舗+オンラインストア※一部商品は展開店舗が異なります。)
香港(全店舗※一部商品は展開店舗が異なります。)

特設サイト:
https://www.gu-global.com/jp/ja/feature/gumiharayasuhiro/

GU

tel_0120-856-452

https://www.gu-global.com/jp/ja/men/

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