Swagckyは湘南出身のシンガーソングライター。大阪拠点で活動するHiplinに、その才能を見出されMASAZYN名義で活動を開始した。2020年にはソニーミュージック主催のオーディション『ONE in a Billion』で特別賞を獲得し、2022年にSwackyへ改名。5月にはシングル「夕立ち」でデビューを果たす。その後シングルリリースを続けながら初のEP『TOMOSHIBI』が完成し11月2日にリリースへ。ここでは、SwackyとHiplinに今作はどんな作品に仕上がったのかを聞く。
L to R_Swagcky, Hiplin
自分達流儀のカントリーポップスを広めていきたい
ーお2人の出会いについて教えてください。
Swagcky: Hiplinさんは、初めて作った楽曲のアレンジを担当してくれた人で、もとを辿れば僕の先輩の友達だったんです。それが2年ほど前で、徐々に一緒に音楽制作を行う機会が増えていきました。曲作りについて教えてもらったりとか。
Hiplin:ひと言で言うと友達ですね。最初からSwagckyの歌声はいいと思っていたし、彼がアレンジャーを探していると聞いて、引き受けたのが始まりです。ライブにギターで参加したり、弾き方を教えたり。それに、お互いアメリカンポップスが好きで、カッコいいと思う音楽も共通する部分が多かったので、一緒にいると自然と話も盛り上がるんですよ。
Swagcky:日本でアメリカンポップスを流行らせたいと考えているところも似ているし尊敬していますね。
ーSwagckyさんのルーツにスティーヴィー・ワンダーやエド・シーランといったビッグアーティストがいるというのはお伺いしていましたが、具体的に、どのような音楽が好きですか?
Swagcky:スティーヴィー・ワンダーは小さい頃によく聴いていたんですよね。大人になってからは、グレイソン・チャンス(Greyson Chance)やチャーリー・プース(Charlie Puth)とか。
Hiplin:あとは、ケイン・ブラウン(Kane Brown)もお互いに好きだよね。カントリーだけどアーバンな雰囲気もあって、僕らがやりたいサウンドに近いですね。
Swagcky:そうですね、クラブ感もあるけどアコースティックみたいな。
Hiplin:あとはベン・レクター(Ben Rector)もですね。そう考えると、歌声がいいアーティストだってことが共通していますね。そういう音楽、いわゆるカントリーポップスをやってる人は日本にはあまりいないように感じていて、そのシーンを大きくすることができらたいいなと思っているんですよ。もちろん、そのジャンルだけにこだわっているわけじゃなくて、これまで聴いてきたクラブミュージックやJ-POPもうまくミックスさせて、聴きやすい形にしていきたいと考えているんです。
ネガティブをポジティブに変換して音楽にする
ーEP『TOMOSHIBI』についてお伺いしたいのですが、1曲目の「HATE」について。どんな曲に仕上がりましたか?
Swagcky:現代はコロナ禍を経て、非常に不安定で、SNS等を見てもストレスを感じることが多いじゃないですか。その中でも、しっかりと自分なりの希望を見出して、あがきながらもやりたい道へ進んでいこうということを歌っています。
Hiplin:ストレスが溜まってるときは誰に対して怒ってるのかすら、わからなくなると思うんですよ。やりたいことができなくて、そのフラストレーションを過剰に他人へ向けてしまったり、逆に自分を責めてしまったり。そういうネガティブなものをポジティブなエネルギーに変えていくという葛藤がリリックに昇華されていますね。
ーそういったネガティブをポジティブな方向へ変換して、音楽として表現するというのは、「HATE」に限らずSwagckyさんの音楽活動にあるものですか?
Hiplin:僕がSwagckyから引き出したいのはそこかもしれないです。Swagckyはネガティブなことを言いがちなので、僕がもっと自分を鼓舞していけって言っていますね。そうやってあがいて葛藤しながら発信されていくSwagckyの音楽が、そういう人達のエンジンを掛けられたらと思っています。きっと、根底にあるメッセージってそうなんじゃない?
Swagcky:そうですね。今は音楽のおかげで生きているしポジティブに活動できていますけど、僕はもともとネガティブな生き方をしていた人間で、だからこそ、そういう人達の気持ちがよく理解できるんですよ。自分が苦しいとき、音楽に助けられてきたので、音楽でポジティブな方向に背中を向かせて支えるというか、そういうことができたらいいと考えています。
ーあがきながらも自分を鼓舞して前へ進もうというスタンスは2曲目「夕立ち」にも感じられます。
Swagcky:そうです。この曲はただ明るいだけの応援歌ではないんですが、そういう内容を歌っています。
Hiplin:僕もSwagckyも能天気でひたすら明るい人間じゃなくて(笑)。僕らにもどこかネガティブな部分もあって、それを乗り越えながらポジティブになっていくタイプなんですよね。だから発信している音楽はポジティブだけど、エネルギーはネガティブですね。僕らのガソリンはネガティブなんです。
Swagcky:そうですね。それを燃やしてポジティブにしている。昔はネガティブな一面を隠さないといけないと思って生きてきたんですよ。
Hiplin:それで「お前が本当に歌いたいことって何なんだ」って話になったときに、すごく強がりながら、ネガティブを隠して鎧を着ていたんですけど、それを僕が脱がしていって。そしたら歌いたいことが見えたっていう。
Swagcky:結局、さらけ出しているようで出来ていなかったんですよ。本当の自分の姿って自分ではわからないってことに、Hiplinさんと話していて気づきましたね。
ーそうした歌っていく決意というのは、5曲目「Dive in my soul」でも聴けますね。
Swagcky:まさにそうですね。自分の芯にある部分と素直に対話して、自分の本心を聞いてできた曲です。
ー一方でヴァイブス重視で出来た楽曲はありますか?
Swagcky:そこでいくと、4曲目の「Like a strawberry」ですね。
ーラブソングですね。EP『TOMOSHIBI』には3曲目「イタズラな kiss」もそうですが、これはノンフィクションなんだとか?
Swagcky:実話をベースにして、その経験を曲に落とし込んでいますね。それはどの曲にも言えることで、自分の経験から広げていって、幸せを歌うものにしたり、リアルな世界観になったりしているんですよ。
ーどの楽曲も歌詞の表現が非常に情景的ですよね。そこは意識していますか?
Swagcky:そこはすごく意識しています。1つの曲の中で起承転結を描いて、ショートムービーのように感じてもらいたいという気持ちがあります。
Hiplin:だから作詞のときに情景の設定の話をするよね。主人公が誰で、どんな環境にいて、どういう心境で誰に向けて話をしているのかって。それで、お互いが考えた歌詞を交換し合って練っていくってことをやっています。
音楽活動をスタートさせてからの3年を凝縮させたEP
ーちなみに6曲目「It has always been you」はSwagckyさんがMASAZAYN 名義の頃初めて作ったオリジナルソングになりますが、どういうところから音楽をスタートさせたんですか?
Swagcky:もともと音楽が好きで聴いていたんですけど、大学2年生の頃に、ただ生きるために毎日を過ごしていることに悩んじゃったんですよね。人生を楽しむために生きるべきじゃないか。自分が本当にやりたいことは何だろう。そう考えて、ギターを始めて熱中していったんです。あまりにも熱中し過ぎて、当時の彼女にフラれたりしながら作った最初の曲が「It has always been you」で、この曲がきっかけでHiplinさんと出会って、今に至るんですよ。
ーそのようにして音楽をスタートさせ、2020年にはソニーミュージック主催のオーディション『ONE in a Billion』で特別賞を獲得しますが、これは大きかったですか?
Swagcky:非常に大きなきっかけでした。それなりな大学に通っていたわけなので、音楽の道に進むには、それなりのわかりやすい結果を両親にも見せたいと思ったんですよね。どうしたら納得させられるだろうかと考えながらプランを練って、音楽を始めて8ヶ月で挑んだのが『ONE in a Billion』でした。グランプリではなかったんですけど、それでも音楽の道へ進む光を見つけたのは、このオーディションで特別賞をもらえたからですね。そこで思い切って大学を退学して、音楽で夢を叶えようとしているんです。
Hiplin:人に評価してもらえるのって純粋に嬉しいし自信に繋がるよね。音楽って正解がないものなんで、ただ制作しているだけでは何もわからない。僕らが良い音楽を作って、それを聴いた誰かからの評価を受けて、やっと自信になる感覚があるね。売れていない音楽でも良い音楽はたくさんあるし、正解はなくても、アーティストにとって自信になるというか。自分は音楽を続けていいんだって気持ちになるよね。
Swagcky:本当にそうなんですよ。そうじゃなきゃ、もう音楽をやっていなかっただろうし、やれていないんじゃないかと思います。
ーそうした最初に作った曲も含めた6曲入りの1st EP『TOMOSHIBI』。Swagckyさんにとって、どんな作品になったと思いますか?
Swagcky:振り返っても思い入れのある曲ばかりですね。Hiplinさんと出会ってから自分が学んできたもの全部が入ってるEPです。長かったですね。
Hiplin:何回もやり直したもんな。
Swagcky:そうですよ、何テイクあるんだっていうくらい(笑)。時間は掛かっちゃったんですけど、僕が音楽を始めてからの3年間が全部詰まっています。正直なところ、リリースできるのがめっちゃ嬉しいです。自分の軌跡を残せる作品です。もちろん、これをスタートに今後もどんどん作品を出していきますけどね。
ー今後もSwagckyさんHiplinさんの2人で活動していくと思うのですが、どんな風になっていきたいと思いますか?
Hiplin:単純にリスナーの数を増やしたと思います。トレンドという意味ではなく、その時々に受けたインスピレーションを共有し合ったりしているので、今の自分達はこうだって明確に出していきたいと思います。
Swagcky:この間、とあるアーティストの日本武道館公演を観にいったんですけど、あの大きな会場がパンパンで、その真ん中で歌っている姿には憧れがありますね。そういう意味で日本武道館も視野に入れていきたいというのはありますね。僕が小さい頃から憧れていたミュージシャン像というのは、そういうスターみたいなアーティストなので。
Hiplin:大きくなればなるほど伝えられる数も増えるもんな。
Swagcky:はい。なんかビッグマウスなんですけど、それは自分を鼓舞するためでもあるし、そうやってプレッシャーをかけてやっていきたいし。いつも心の中では同じ夢を見てきたので、昔からなりたい存在というのは変わらないんですよね。それを目標にしながら、まずは自分が楽しんで音楽をやる気持ちを忘れないようにしたいと思います。
INFORMATION
Swagcky 1st EP『TOMOSHIBI』
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Swagcky(スワッキー)
1st EP 「TOMOSHIBI」
11月2日リリース
1. HATE
2. 夕立ち
3. イタズラなKiss
4. Like a strawberry
5. Dive in my soul
6.It has always been you
ワンマンライブ_2022年12月3日(土) 恵比寿Timeout café & Diner
Hiplin
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