MUSIC 2023.04.21

Technics×yonawo「今こそターンテーブルで音楽を」連載
#03 DJパーティ at EBISU BATICA

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Ryo Kuzuma, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

数年前よりレコード人気は再燃して、家でのリラックスタイムに、あえてレコードで音楽を聴く人も多いだろう。あの、針を落とした瞬間のパチパチした音がスピーカーから流れると無条件でワクワクしてくるから不思議なものだ。そこに淹れたてのコーヒーなんかがテーブルの上にあったら……うん、最高だね。
そんなレコードへの愛を根底に、本連載ではyonawoが実際にDJプレイするまでの軌跡を追いかけていきたい。
というコンセプトで行ってきた連載も今回が最終回。「今こそターンテーブルで音楽を楽しもう!」の回だ。


パーティ会場となったのは恵比寿の老舗、BATICA(バチカ)である。当選者だけが来場できるというプライベートパーティ的な試みであったが、当日は大勢の人々が集い、パンパンのフロアでyonawoのDJを楽しんでいた。

さて、パーティはどういう感じだったのかと言うと、音出し程度の簡易的なリハを経て夕方にオープン。トップは連載二回目にDJ指南役として出演したYAMARCHYが担当。昼過ぎからムーディでトリップしそうな空間を作り、徐々にフロアを上げていた。

30分ほどしてからYAMARCHYからyonawoへスイッチ。野元喬文の「よろしくお願いします!」のひと言で本編スタートといった様相であった。順番は、野元喬文、田中慧、斉藤雄哉、荒谷翔大。各々、かける音楽のジャンルが絶妙にバラけているのが面白い。野元喬文がハウスやテクノ寄りの選曲でダンスホール的な時間を作り出したかと思えば、田中慧はポストロック的な名曲でアーティスティックかつ絶妙な緊張感が心地よい空間を生み出し、続く斉藤雄哉はハイエイタス・カイヨーテなどのソウルやR&Bなどを流しハッピーな横揺れ空間を構築。

トリを飾った荒谷翔大は井上陽水の「飾りじゃないのよ涙は」などの日本名歌謡も交えたセレクトで、歌い踊るようにレコードを回していた姿が印象的だ。どの音楽もyonawoのルーツにあるものでもあり、オーディエンスにもそれが伝わり、徐々にフロアの高揚感が増していった。

良い音楽に良い空間と言えば美酒である。斉藤雄哉をはじめyonawoの面々はパーティの中盤からビールやワインを楽しみつつDJとメンバーがかける音楽を楽しんでいた。心なしかお客さんの飲むスピードも早かったように思う。それだけ楽しい空間だったということだろう。yonawoも、メンバーのDJ中に「何をどうかけているの?」と言った感じでブースを覗き込みながら楽しんでいて、さながらyonawoのホームパーティに招かれたようなリラックス感があった。きっとYonawo Houseに流れている空気はこんな感じなんだろう。

ハイライトは荒谷翔大が終盤にかけた新たなyonawoのアンセム「tokyo」の瞬間だろう。待っていましたと言わんばかりにフロアがわっと湧くのが後ろで見ていてもヒシヒシと伝わってきた。サビはマイクを回しながらのシンガロング、その一体感は言うまでもなかった。最終的には、各々が好きな音楽を思い思いにかけるという自由な空間になり、yonawoの面々が心の底から音楽を楽しんでいる様子が見れた。

終演……というかDJタイム後、yonawoの面々は「また、こういうパーティをやりたい。いや、やると思います。ライブとは異なる楽しみあるし、もっとアナログDJの練習を重ねて、こんな風にみんなでグッドミュージックを楽しむ時間を共有したい」。そういったことを口にしながら、次はいつ頃どうやってやったら楽しいだろう? といったことを話し合っていた。

そんなyonawoだが、この日も流された楽曲「tokyo」をコンセプトにしたツアー『tokyo』を鈴木真海子、Skaaiと3マンで開催予定。6月24日 福岡 DRUM LOGOS、6月30日 東京 Spotify O-EAST、7月2日 大阪 服部緑地野外音楽堂の計3ヶ所だ。野音でのライブに引き続き、今年はますますバンドとしての存在感も増していくことだろう。引き続きyonawoの活動に注目していきたい。そして、本連載を読んでくれた人は、レコードで音楽を楽しむなんていかがでしょう。yonawoのレコードでも良いだろう。ターンテーブルで聴く音楽というのは他にない温かみがあって楽しいものなんでございますよ。

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