MUSIC 2024.09.09

Interview:eill
忘れられない恋愛を経験したすべての元恋人たちに送る新作「happy ever after」
from EYECSREAM No.191

Photography_Reina Tokonami、Edit&Text_Mizuki Kanno
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

9月2日に発売された雑誌EYECSREAM No.191では、シンガーソングライター・eillの最新シングル「happy ever after」についてのインタビューを掲載している。EYESCREAM WEBでは特別に、誌面には掲載しきれなかったアザーカットと合わせてお届け。

2ndアルバム『my dream box』のリリースに向け、3ヶ月連続でシングルを発表しているeill。その2作目となる「happy ever after」は、大切な人を想う切ない恋心が、あたたかなピアノの音色とeillの儚くも力強いボーカルによって繊細に綴られた至極のバラードだ。Amazon Prime Videoで配信中の恋愛リアリティ番組『ラブ トランジット』シーズン2の主題歌として制作された本作について話を聞いた。

「相手の幸せを願う気持ちをこの曲の最後に足してあげられたのは、自分の心が成長したから」

ー『ラブ トランジット』シーズン1の主題歌「happy ending」とはまた違った表現のバラードで、まるで映画を観ているような作品ですよね。

「前作は、ビートがしっかりしたダンスチューンのような楽曲でしたが、今回は『ラブ トランジット』に出演している皆さんの、心の中をのぞいたような曲を作りました。今作『happy ever after』は、友人の恋の話から作った『1分1秒とそれ以外』という5年前のデモがベースになっていて、1分1秒、それ以外の時間も、好きな人と一緒にいたい。どんなに短い時間でも一緒に過ごす時間は大切で、相手もそう思ってくれるような存在になりたい。そんな恋心を曲にしましたが、『ラブ トランジット』シーズン2のお話をいただいたことで、歌詞を書き直したんです。番組の核となる“元恋人同士の恋愛”は、未来に進むきっかけであると同時に、過去を振り返ることにもなると思うんです。なので、さよならを告げるために、背中を押してあげられるような曲であり、自分の心の奥にある未練を歌った曲でもありたいと思い、もう一度歌詞と向き合いました」

ー歌詞を書き直す中で、eillさんご自身の5年間での経験や気持ちの変化が、反映されている部分もあるのでしょうか?

「相手の幸せを願う気持ちを、この曲の最後に足してあげられたのは、自分の心が成長したからだと思います。『ラブ トランジット』を観ていて、好きな人のことを大切に思うからこそ、自分の気持ちを押し付けず、堪えているシーンがとても印象的で、素敵だなと思ったんです。スタジオでひとりで歌詞を書いていたら、感極まって、泣いてしまいました」

ー最後の「わたしを置いていってよ。」という歌詞がとても切ないですよね。

「“2人で過ごした部屋”が軸となり物語が展開していくのですが、最後の歌詞では『その部屋に、思い出と一緒に自分も置いていって』ということを伝えています。前に進むために。でも、その前の『おあいこだね』がとても大事。自分だけが好きなのは嫌ですからね(笑)」

ーラストのサビの前で、曲の印象が大きく変わりますよね。これまでの2人の思い出を振り返るような、そんな印象を受けました。

「『ラブ トランジット』の主題歌になることが決まってから、ここのアレンジも足したんです。ただ綺麗なバラード、綺麗な思い出、だけではなく、恋愛によって心が壊れていく生々しさを入れたくて。それってとても人間らしくて、美しいと思うんです。なので、わざと割れた音を使ったり、さまざまなギミックを加えました」

ー今作では、その他にも様々なギミックを取り入れられていると思います。詳しく教えてください。

「この曲のタイトルは、おとぎばなしの一番最後によく使われている“happily ever after.”からつけていて、失恋が嫌な記憶になってしまわないように、物語を読み始めた時のような、ワクワクしたり切なくなったりしながらも、また前に進んでいけるような、そんな想い出になってほしいなという願いを込めました。曲のアレンジでは、時計の秒針の音を入れたり、レトロな音色のピアノを加えたりすることで、おとぎ話のようなファンシーな世界観を演出しつつ、ベースラインを低くすることで、海外のサウンドのような雰囲気も担保しています。前作の『happy ending』を好きになってくれたラブトラファンの皆様にも響くような仕上がりを意識しました」

ーeillさんの伸びやかなボーカルがダイレクトに身体に響くような印象も受けました。

「実は今回、様々な種類のマイクで歌っているんです。自分の周りに何本もマイクを置いて、右を向いて歌ったり、次は左から別のマイクで歌ってみたり。最新のマイクは高性能がゆえに、綺麗な声で録れてしまうんです。少し荒削りでもいいから、自分の素の声を生かしたくて、例えば、会議で使われているような一般的なマイクで歌った、ザラついた質感のボーカルを採用したりしています。そういったレコーディングは初めてで、すごく良い仕上がりになったなと思います。あと、フィルムライクな雰囲気を出すために、曲をアナログミックスで仕上げてもらっているんです。普段なら、PCひとつでできてしまうことを、職人さんの手仕事で、ミキサーを使って一つひとつ音を調整していくことで、全体的にとてもあたたかな音色になりました。デジタルで曲を聴く時代だからこそ、とても大切な一手間だなと思います」

ーそういったアイディアはどこから着想を得ているんですか?

「最近のポップスは、自宅で作っているようなあたたかい雰囲気が音源からも伝わってくる楽曲が多いんです。アリアナ・グランデなんて、レコーディングのときも、ブースではなく、手でマイクを持って自由に歌っていたり。私も私なりの方法で、親近感のある音を表現したくて、周りの方々に相談したり、試行錯誤した結果が今作に繋がりました」

ーいよいよ「BLUE ROSE TOUR 2024」がはじまりますね。2年ぶりの開催、さらに11月には台湾・韓国での追加公演も発表されている同ツアー開催に向けてメッセージをお願いします!

「実は、2年前のツアーのときは、いろいろなことがあって落ち込んでいたんです。でも、ステージから見えるお客さんの笑顔や一緒に歌ってくれる姿に、とても救われたんです。本当だったら、自分の歌で誰かを救う存在でありたかったけど、私自身が救ってもらっちゃいました。ブルーローズの花言葉は“不可能を可能にする”。とても好きな言葉なので、ツアーのタイトルにしているんです。今回は、来てくれた人みんなが『明日も頑張ろう』って思ってくれるようなポジティブなパワーを、私が皆さんに歌で届けたいなと思います」

INFORMATION

「happy ever after」
On Sale
https://lnk.to/eill_happyeverafter

『my dream box』
10.09(Wed) Release
01.革命前夜
02.happy ever after
03.フィナーレ。
04.Baby, with u
05.77(feat. LUSS)
06.HIGHLIGHT
07.happy ending
08.BAE
09.25
10.WE ARE
11.CHEAT LIFE (feat. punchnello) (prod. by GRAY)
12.プレロマンス
13.スキ
14.dream box
特設サイト:
https://eill-mydreambox.ponycanyon.co.jp/

eill「BLUE ROSE TOUR 2024」

09.07(Sat)宮城・仙台darwin 
Open16:30/Start17:00
09.14(Sat)愛知・名古屋ボトムライン
Open17:30/Start18:30
09.15(Sun)石川・金沢AZ
Open16:30/Start17:00
09.20(Fri)大阪・心斎橋BIGCAT
Open17:30/Start18:30
09.21(Sat)福岡・福岡DRUM Be-1
Open18:30/Start19:00
09.23(Man)広島・広島セカンドクラッチ
Open16:30/Start17:00
09.27(Fri)北海道・札幌Sound Lab mole
Open16:30/Start17:00
10.18(Fri)東京・東京国際フォーラム ホールC
Open18:00/Start19:00
11.03(Sun)台湾・Hana Space
Open17:00/Start18:00
11.23(Sat)& 11.24(Sun)韓国・musinsa garage
Open18:00/Start19:00


Denim jacket ¥41,800, Denim pant(inside) ¥29,700(共にNEEDLES / NEPENTHES WOMAN TOKYO tel_03-5962-7721)、Shoes ¥20,900(YELLO tel_03-6804-8415)、Other stylist personal items

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