Korea’s New Generation
8 Xin Seha : 80’sエレクトロやテクノを継承する艶のあるプロデューサー
Xin Sehaは子供のときからヒップホップを聴いて育ったと語る。しかしこのコンセプチュアルでオリジナルなサウンドを追求してきたプロデューサーは、そのままヒップホップを自分も作るのではなく、元ネタとなったファンクなどに惹かれていった。
彼が作り出すエモーショナルで艶があるメロディーは、デトロイト・テクノなどの影響を受けつつも「自分だけのメロディーを探して、探して作っていきます」と本人が語るとおり、Sehaだけのものになっている。彼はエクレクティックなアーティストだとは認めつつも、そうした意識を常に持っているわけではないという。
Xin Seha (신세하) “티를 내 (Timeline)”
「僕はいろんなジャンルから影響を受けているけど、それを常に意識しているわけじゃなくて、1つのジャンルに当てはまるようなものは作りたくないと思ってやっているんです」と優しい口調で語るSehaだが、そのアーティストとしての芯は強く太い。そして声といえば今年の2月にリリースした新作『7F, the Void』では、これまでの作品に比べてSeha自身の柔らかく、とろけそうなボーカルがより多く収録されている。
Xin Seha (신세하) “Tell Her”
「ダンスミュージックの影響を受けていた前作から、『7F, the Void』ではもっと周りにいる家族とか、友達とかに受けた影響が大きいんです」と話してくれたように、よりパーソナルな世界から受けた影響を詰め込んだものになっているのだ。現在影響を受けたアーティストに話が及ぶと、先日ソウルでのライブの際に共演を果たしたBlood OrangeことDev Hynesを同時代で最も好きなアーティストと称え、日本のアーティストだとG.RINAのサウンドもとても好きだよと話してくれた。インタビューが終わり向かったXehaのショーケースは狭いカフェに、多くの人がつめかけソウルのアンダーグラウンドシーンの熱気を十二分に感じ取れた。その中でXehaは淡々と、包み込んでくれるようなコズミックなサウンドを奏でていた。
photography_Tammy Volpe text_Tetsuro Wada translation Risa Sahira