2021年2月、ポニーキャニオン内「IRORI Records」へ所属し、メジャーリリースを行うことを発表したKroi。現在発売中の雑誌EYECSREAM No.177では、彼らの3rd EP『STRUCTURE DECK』リリースについてのインタビューを掲載している。EYESCREAM WEBでは誌面には掲載しきれなかった、彼らのロングインタビューを公開。Kroiの結成秘話からプライベートまで、5人の素顔にフォーカスする。
L to R→千葉大樹(Key)、内田怜央(Vo)、関将典(Ba)、長谷部悠生(Gt)、益田英知(Dr)
ひとりで歌っている感じを
出したくなかった
―まずは、Kroi結成の経緯から教えてください。
長谷部悠生(Gt):内田と僕は高校から一緒にバンドをやってきたんですが、固定のベースとドラムがいたことがなくて。まずはベーシストを探そうと、インスタでフォロワー同士だった関にDMを送ってみました。そしたら、ドラムの益田を紹介してくれて。初めて実際に会ってセッションをしてみたら、音楽の趣味も合うし、楽しくて。その日にライブの日程を決めて、コンスタントに会い始めたのが結成の経緯です。
千葉大樹(Key):僕はKroiが結成してから、一年後くらいに入ったのかな。Kroiのマネージャーの安藤と自分が一緒に住んでいて、Kroiが初めてEPをリリースするタイミングで、ミキシングやアレンジを担当することになり、そのままリハに入って、晴れてメンバーに(笑)。途中から悠生も引っ越してきて、今は3人で生活しています。
―デビューシングル「Suck a Lemmon」を最初に聴いた時、衝撃を受けました。歌とラップが交互に迫ってきて、声色もカラフル。一体何人のヴォーカルがいるのかと思ったら、内田さんだけで。
内田怜央(Vo):Kroiを組んだ時に目指していたボーカル像が、まさにそんな感じで。ひとりで歌っている感じを、絶対に出したくなかったんです。わちゃっとした感じのものを作りたいと思っていて。ひとつの声色だけじゃなくて、もっといろんな要素がミクスチャーされていた方が、面白そうだなと。それは今もクリエーションの真ん中にあります。
―デビュー翌年には、SUMMER SONIC 2019に出演していますよね。何か心境の変化などはありましたか?
関将典(Ba):それが特になくて。2018年のサマソニのオーディションに、当時結成3ヶ月で応募したんですけど、そこで最終まで残れた時の方が、おお、ってなっていたくらいです。確か、3,300組中のラスト30組に残ったのかな。事前アンケートには「持ち曲は10曲あります」とか書いたけど、実際は2曲しかなかったので、10分の尺を全力でやり切りました。結局その年は最終で落とされてしまいましたが、たまたま渋谷LUSHというライブハウスから声をかけていただいて。「俺らのライブにも需要がある」ということに気づかされました。そこからは、とにかくストイックにやって。ライブも、PRも、レコーディングも。一切妥協せず活動していたので、正直2019年のサマソニの審査は最初から受かると思っていたし、負ける感覚はなかった。それくらいの自信を持って臨みました。
長谷部:結成当初は何か目標がないとダメだったんだよね。組んだばっかだったから。頑張る何か。
内田:あの時に、全く認知されていない状況から、ライブハウスの方々に聞いてもらえるレベルまで行けたのは、大きかった。今でも渋谷LUSHにはお世話になっています。ライブを頑張って行くきっかけをもらいました。
―今はライブを行うのがなかなか難しい状況かと思いますが、それに対してどのように感じますか?
内田:こんな状況だからこそ、ようやく「音源と向き合おう」みたいな感覚を持ちました。今までは、ライブ先行で作っていた曲がほとんどで。音源でしかやれないことに、こだわるときがきたって感じですね。
千葉:ライブができないなら、とにかく曲を作ろうみたいな。今はそれしかできることもないので、自然な流れでした。
関:やっぱりまだ配信ライブの難しさは感じますし、有観客でやりたい気持ちはありますが、基本的にここ最近の活動スタイルは今後のKroiにとって、プラスの方向に働いていると思います。
遊び心を効かせたEPに
―1月にリリースされた3rd EP『STRUCTURE DECK』の制作は、いつ頃からスタートしました?
関:2020年の夏くらいかな?10月16日にリリースした4枚目のシングル「HORN」の制作に意識を向けながら、徐々にEPの構想が固まってきた感じです。
長谷部:このEPからは制作環境が激変しました。これまでは千葉と安藤と僕が住んでいる家にメンバーが集まって作っていたけど、今はスタジオを借りて、そこにみんなで籠もって作っています。あとはZoomもめちゃくちゃ活用していて。結構オンライン上でやりとりすることが増えました。ちょっといいアイデアが閃いたら、みんなZoomで集まって、共有して。便利ですよね。
関:今回初めての録り方に挑戦した作品も何曲かあります。2曲目の「dart」はメンバー全員が同じ部屋に入って、一発録りにこだわってレコーディングしました。これまでリリースしてきた曲の中ではかなり遊びを入れた、激しめの曲ですね。3曲目の「Finch」はプリプロを一通り終えた後、息抜きがてらみんなで近くの楽器屋へ遊びに行って、「絶対に一人ひとつ新しい楽器を買う」っていう会をやりまして。そこで各々が購入したサンバホイッスルや縦笛、カリンバ、トライアングルなどを、最終的に全部この曲に入れるという(笑)。
長谷部:カリンバは益田が買ったんですけど、それを関がレコーディングの日にピックアップで音が拾えるように改造してきて。エレキカリンバになってました(笑)。
内田:あとは、益田さんがいっぱい裸になったり……(笑)。
益田英知(Dr):プリプロを作っているスタジオにはドラムがなくて、全員で集まる日までに打ち込みを作っていくので、その場で僕がやることは特にないんですよね。細かいところは修正したりもしますが、基本は暇なんです(笑)。なので今作では全裸になって筋トレしたり、ヨガしたり、ダンスをしたりして、製作中のみんなを喜ばせるという術を習得しました。
―(笑)。ライブで「Finch」を演奏する皆さんのシュールな姿、楽しみにしています!.
内田:絶対ライブでやります!今決めました(笑)。
関:こんな感じで、遊び心も挟みつつなEPになってます。
カルチャーとカルチャーを繋げて行きたい
―今作のアートワークも印象的ですが、Kroiのクリエイションについても教えてください。
関:グッズやジャケのデザインは千葉を中心に、Kroi内で行うことも多いです。
千葉:基本的に僕がKroiの方向性や見せ方を決めつつ、MVなどの制作はメンバーで話し合い、意見を落とし込んでいます。僕はデザインの仕事をしていることもあり、フォトグラファーやイラストレーターなどのアーティストも、気にしてチェックしています。
関:自分らがカルチャーとカルチャーを繋げて行きたい、音楽だけで終わりたくないって言う思いも結成当初からあって。どんどん横に広げて行って、チームとして活動できたらと思います。カメラマンが撮影した映像にあわせて、オレらが曲をつけたり、コーヒーショップとコラボしてみたり。ジャンルを超えた繋がりで、お互いに高め合って行けたらいいなと思います。オレらが載せているスタッフクレジットから、個人へと飛んでもらえたら嬉しい。
内田:結局、みんなで作るのが好きなんですよね。バンドだし。クリエイションの部分で、映像の監督などから受ける影響はすごい。直接お話させてもらって、こう言う考え方もあるんだ、と勉強になることが多い。映像が加わることで、こんなにも曲が進化するんだなって。一緒に作る意味みたいなものを感じます。
―スタイリングも、みなさんそれぞれ個性的ですよね。スタイリストが入っていないことに、驚きました。
関:服の趣味もそれぞれバラバラで。統一感がないのが、逆にいい。お客さんも服きっかけで話しかけてくれることもあって、服好きっていう個性もバンド活動にめちゃめちゃ生きてます。
千葉:古着がめっちゃ好きなメンバーもいれば、怜央とか意外に着ないよね?
内田:お金ないときに買うくらい。オレは着るというより、コレクション的な感覚で服が好きで。着たいとかじゃなくて、欲しいってなる。持っておきたい服を買う。
関:マネージャーとバーチー(千葉)と悠生が住んでる部屋は床一面、洋服まみれで(笑)。
千葉:前に、古着の仕入れみたいなことを試しにやったことがあって、長袖50キロ、トレーナー50キロを一気に頼んで。そこから家がおかしくなりました。
内田:布がいっぱいあるからか、吸音効果がある。
長谷部:ちょっと大きめの音出しても大丈夫。一回も苦情が来たことがない(笑)。
―最後に、Kroiの今後の展望を教えてください。
関:長い目で見るなら、日本カルチャーの水準をあげたいなっていうのはあって。それの先駆者として、オレらが引っ張っていきたい。今はどうしても海外を追う形だから、グローバルに肩を並べて、世界基準の音楽のひとつ、カルチャーのひとつとして認識してもらえるように、周りの人を巻き込んでやっていきたい。今後のKroiとしての活動の目標です。
千葉:大きくならないとね。この目標を叶えるためには。
関:益田は大丈夫?全然喋ってなくない?
益田:大食いの話とか?アンパン30個食べれます。
一同:笑
関:オレらの間でゲームと大食いがちょっと流行って。益田と長谷部が張り合うっていう。31皿くらい寿司食べるんですよ、この2人(笑)。他にもキング牛丼の早食いとかやったり、こないだのYouTubeでの生配信の時も、益田が30個の小さいアンパンを食ベ続けるっていう裏企画をやったり(笑)。このレコーディング中は、そんなこともやっていました(笑)。
益田:あれは誰にもできないから。
千葉:大食いもカルチャーだからね(笑)。お仕事お待ちしています!