VISIONS :柳楽優弥 INTERVIEW
from EYESCREAM No.169

Photography—Takao Iwasawa Styling—Kazuhiro Sawataishi Hair&Make—Asako Satori Edit—Takuya Nakatani

VISIONS :柳楽優弥 INTERVIEW
from EYESCREAM No.169

Photography—Takao Iwasawa Styling—Kazuhiro Sawataishi Hair&Make—Asako Satori Edit—Takuya Nakatani

作品ごとに変幻自在な演技を見せながら、そこに存在することでこそ観る者の視線や感情を捉える俳優、柳楽優弥。2019年1月公開の主演映画『夜明け』は、是枝裕和監督、西川美和監督を中心とした制作者集団「分福」で、監督助手として経験を積んできた広瀬奈々子の初監督作品だ。是枝監督作品『誰も知らない』の主演から15年を経て、その愛弟子のデビュー作に、という巡り合わせとなる。「生きるとは何か?」という普遍的なテーマに向き合ったこの映画を軸として、インタビューは進んだ。EYESCREAM No.169連載VISIONSより、未公開カットとあわせて掲載。

偶然出会った人や環境によって
『前進しようかな』となっていくような
そういった生命力を意識しました

ー映画『夜明け』について、脚本を読んだときの印象から聞かせてください。

「ストーリーそのものよりも、ト書きのほうが重要というか。こういった人の内面を描くような作品は好きなので、ぜひ参加したいなと思いました。広瀬監督が是枝組の監督助手として経験を重ねてきたのも、もちろん参加したい理由のひとつでした」

―あまり役づくりのための準備はせずに現場に入ったとのことですが。

「キャラやセリフというよりは、表情だとか、そういうところを切り抜きたいのかなと感じたので、現場で出たアイデアを大事にしようと思いました。それは監督を信用していないとできないことでもあって」

ーシーンごとに監督と話し合いながら?

「そうですね。でも監督、口数少ないんで(笑)。『言葉では描けないようなものを描く』と監督自身が言っていたくらいなので、言葉では説明できない部分もあった。でも、フィーリングというか、描く先みたいなところは理解できたので」

ーこれは監督の意図なのだと思うのですが、今作にはパチンコ、競馬中継、軽トラ、湯たんぽ、法被、紅白幕などなど日本ならではの風景が多くあります。それについて、演技をする上で影響はありましたか?

「監督が、『日本には日本にしか描けないものがある』っておっしゃっていて。そういう生活を見て、その状況にいると、準備しないで撮影に入っても自然とフィットする感じはありました。周りの音だったり美術、風景、そういうものからはすごく影響を受けていますね。いい演技を作ってもらえる、という状況にいるのはラッキーでした」

ー柳楽さんは主人公のシンイチを演じましたが、そのなかでシンイチと同化できた瞬間はありましたか。

「悩んで、人生を諦めようとしているところから、(小林薫演じる)哲郎さんに救われて、真っ暗なトンネルにいたけど、ちょっとライトが落ちていたから照らして一歩進んでみた、その前進する姿勢というか。そのあたりから、演じていて前向きな気持ちになりましたね」

ー撮影は主に千葉県旭市近辺で行われたそうですが、撮影以外ではどんな過ごし方をしていましたか。

「一ヶ月丸々、千葉でのロケだったのですが、(小林)薫さんが筆頭になって、(鈴木)常吉さん、(YOUNG)DAISさん、僕で、食事に連れていってくれるんです。そうすると、ホントに役柄みたいな雰囲気になる。常吉さんが叱られている一方で、僕とDAISさんは、僕がもともと彼のファンだったというのもあって、音楽の話をしたり。同じテーブルにはいるけどそれぞれで話をしている。あの映画のままでしたね。これは薫さんが意図してやったのかわからないんですけど、そういう雰囲気になったのは映画にいい影響を与えていたなって。演技があざとくないというか」

ーYOUNG DAISさんのファンだったというのは、ラッパーとしての、ですか?

「はい。『Way up』大好きです。僕もヒップホップが好きなので、『監督としてYOUNG DAISさんのMVを撮りたいです』とか話したり」

ー振り返ってみて、柳楽さんの視線としての『夜明け』の見どころを教えてください。

「“人”ですね。自分のなかで凝り固まったものを、自分が意図しない状況で偶然出会った人や環境に放り込まれたときに、『なんか前進しようかな』となっていくような。そういった生命力は意識しました。僕がキャスティングされたということで、表現しないといけないのはそれだと思って挑みました」

ー今作は「依存」がひとつのテーマになっているかと思いますが、柳楽さんにとって依存、拠り所とは。

「うーーん。僕は、習い事に行くことが拠り所です。……そういうことでいいんですか?」

ーはい、大丈夫です!

「習い事は、自分を一回リセットできる。今は英語、お茶、武道を習っています。このあいだの(お茶をテーマにした)映画『日日是好日』もドハマりしちゃって。みんな怒られること一緒なんだ、って。あの(樹木)希林さん最高だったな」

ー習い事は、役づくりのためというのもあるんですか?

「いや、完全に自分の精神統一のためです。それがちゃんと習慣としてあることで気持ちの切り替えができる。習慣って大事ですよね」

ーでは最後に、今後の展望を聞かせてください。

「10代前半から俳優人生を始めて、もうすぐ30歳になる。20代はいい現場に参加できたし、いろんなキャラクターを演じることができて、学ぶ機会がたくさんあった。学び方を学んだというか。これからは、今回の広瀬さんだったり同世代の人とタッグを組むことが増えていくと思うので、この世代を代表するようないい作品を作っていけたらいいなと思います」

INFORMATION

「夜明け」

出演:柳楽優弥/YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子/小林薫
監督・脚本:広瀬奈々子
2019年1月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
https://yoake-movie.com/