CULTURE 2020.01.03

『HELLO, 神山羊』:CREATORS TALK SESSION.
Jun Inagawa from EYESCREAM No.173

Photography—Hidetoshi Narita Hair&Make—Yosuke Akizuki Edit&Text—Ryo Tajima (DMRT)
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

先日よりEYESCREAM.JPでは、雑誌EYESCREAM No.173より、一部コンテンツを公開中だ。

『HELLO, 神山羊』:CREATORS TALK SESSION.と題された本企画では、神山羊の周囲を取り巻くクリエイターを網羅することで、彼の姿に迫っていく。今回は神山羊のプライベートレーベル、e.w.eが主催するパーティ、「zzz」のフライヤービジュアルを手掛けるJUN INAGAWAが登場。神山羊のSNSにも彼のアートピースは度々登場するほどの仲だ。そんなOtaku Heroとの関係について自由に会話してもらった。

オタクカルチャーと神山羊の邂逅

―神山さんとJUNさんは交流が深い印象があります。

神山羊:3月から5月までDIESEL ART GALLERYで開催されていたJUNくんの初個展「魔法少女DESTROYERS(萌)」に遊びに行って。そのときにちゃんとJUNくんのクリエイティブをしっかり知った感じです。SNSを介してJUNくんの存在自体は知っていてファッションシーンにいる人っていうのが会う前の印象でした。そんなクリエイターが個展をやるってことで、これは行くべきと思って。JUNくんから見るとどう?

JUN INAGAWA(以下、JUN):お会いする前から存在は知っていました。まだ有機酸時代だったと思うんですけど、YouTubeだったのかな、曲がプレイリストで流れていて意識せず聴いていましたね。当時は神山さん、顔も出してなかったじゃないですか。だから最初はビックリしましたよ。「マジで!?」って。

神山羊:それに秋葉原で夏に開催されていた個展「フクロトジ」も見に行って。

JUN:「フクロトジ」はあえてですけど、開催場所もきちんと公開していないような形でやった個展なんですけど、それにも来ていただいたんですよね。でも、ちゃんと話すことができたのはイベント「zzz」のときでしたよね。

神山羊:そうだね。「zzz」にはミュージシャンじゃない人も呼びたいと考えていて、JUNくんがDJやるって話を聞いていたから声掛けさせてもらって。アートワークやポスターも描いてくれたもんね。

―「zzz」のイベントビジュアルはどんなオファーをされたんですか?

JUN:何かの動物でって話でしたよね。

神山羊:そうそう。

JUN:僕、動物とか本当は苦手なんですよ。でも頭蓋骨なら描けると思って、“骨”って調べて出てきたヤツを描きました。

神山羊:もう動物じゃないじゃん、骨じゃん(笑)。

JUN:まぁでも、かつて動物だったカッコいい骨だなって思った頭蓋骨なんで。

海外の視点から見たオタクカルチャーの
表現が斬新に映る―神山羊

―神山さんから見てJUNさんの絵の魅力はどういう点にありますか?

神山羊:JUNくんの面白いところは、いわゆるアキバオタクカルチャーを表現しつつも捉え方がまったく日本人的じゃないところですね。海外の人が日本のこのカルチャーを好きで見ているような感覚をすごく感じます。こうして日本人同士で対峙していてもそう。だからこそ特殊な存在ですし、ただオタク文化をなぞるだけではなく、パンクだとか全然異なるカルチャーを混ぜていくところが良いですね。HIPHOPのように他者の作品をサンプリングするにも恐れずやっていますし。

JUN:ずっとアメリカで育ったので、サンプリングだとか他人のことをディスったりってことは僕としては当たり前のことだと思っていたんですよね。今こうして日本で活動していると、それが普通ではなくて受け入れられないってことを体感して、最初はキツかったんですけど最近ではちょっと開き直ってきている感じです。好きなものを好きって言うことに意味があると思っているんで、人や世間の評価が怖いからやらないっていうのは違うと思うんですよね。

綺麗な音楽なのにどこか捻くれている
そんな音楽だから好きなんです―JUN INAGAWA

―JUNさんは神山さんの音楽に対してどんな印象がありますか? 特に有機酸時代ではなく最近の神山羊の作品について。

JUN:やっぱりボカロ時代の楽曲と今の音楽って全然違いますよね、合っていますか?

神山羊:合っているよ、違う表現になってると思う。

JUN:今の作品は、綺麗な音楽で洗練されていて洒落ているのに神山さん要素がしっかりとある、すごいですよね。僕、お洒落なだけの音楽って聴けないんですけど、神山さんの音楽にはどこか捻くれているような一面が感じられて好きなんです。もちろん僕にとってはすごく良い意味で、です。何ていうか……うまく表現できないんですけど、具体的に表現できないけど惹かれてしまうっていうのが音楽の魅力だと思うので。

神山羊:JUNくんは裏表ある方が好きなんだね。

JUN:その方が僕は好きなんで。そこっすかね。うん、そこが良かったです。

―JUNさんと神山さん2人で何か一緒にやってみたいことはありますか?

神山羊:僕はすごく具体的にあるよ。JUNくんのアートに音楽をあててみたい。

JUN:僕も同じことを考えていましたね。2人でやるならそれですよね。

神山羊:せっかく音楽家とイラストレーターの組み合わせなわけだからね。

JUN:僕、音楽が好きなんですけど、作品をリリースするっていう関わり方をしたことがあんまりないんですよ。裏方としてジャケットのアートワークを手掛けたりってことはあるんですけど、もっと直接的に音楽を作る側に立って表現してみたい思いがあるんです。

神山羊:それは絶対に面白いと思う。

INFORMATION

EYESCREAM No.173

11月1日(金)発売
第1特集『KANDYTIWN 探求:その存在、深さと意義』
出演者:
KANDYTOWN
二階堂ふみ
オカモトレイジ(OKAMOTO’S)
tofubeats

第2特集『HELLO, 神山羊』
出演者:
神山羊
Shu Sasaki、OSRIN(PERIMETORON)
JUN INAGAWA
窪田慎(CEKAI)&北田正太郎
東洋医学
magma
服部昌孝

お取り扱いは全国の書店、大型CDストア、Amazon等にて



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