CULTURE 2020.01.04

『HELLO, 神山羊』:CREATORS TALK SESSION.
OSRIN, Shu Sasaki(PERIMETRON)from EYESCREAM No.173

Photography—Hidetoshi Narita Hair&Make—Yosuke Akizuki Edit&Text—Ryo Tajima (DMRT)
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

先日よりEYESCREAM.JPでは、雑誌EYESCREAM No.173より、一部コンテンツを公開中だ。

『HELLO, 神山羊』:CREATORS TALK SESSION.と題された本企画では、神山羊の周囲を取り巻くクリエイターを網羅することで、彼の姿に迫っていく。今回は神山羊の初のMVである『青い棘』を制作したPERIMETRONより、OSRIN, Shu Sasakiが登場。

神山羊の表現する内省的な部分を空間や映像効果で表現した―OSRIN

―神山さんとShuさん、OSRINさんはもう長い付き合いになるんですか?

神山羊:MV『青い棘』をディレクションしてもらって以来の付き合いなので。まだ1年くらいの関係だよね。でも、出会う前から彼らのクリエイションが本当に好きだったんです。

OSRIN: 去年の11月に最初に会ったのかな? そのときに『青い棘』制作の打合せを渋谷でやって、Shuと『何を作るか』ということをブレストしながら帰って。神山羊の世界観は、もう東洋医学のアニメーションっていう明確な色がついていたし、『青い棘』が神山羊初MVで初出演って状況だったから、どうしようかねって。その頃、PERIMETRONで考えれば、ひと通りのことは表現してきた状態だったんだよね。

Shu Sasaki(以下、Shu):そう、色んな映像表現をやってきた中で、VFXはあんまりやってないよねってOSRINと話して。『青い棘』の内省的な世界観を表現していこうってことで、1つの小さい空間のファンタジーを描ければいいんじゃないか、と。

―それでMV『青い棘』は部屋の中の幻想的な映像になっていったんですね。

OSRIN:あのMVでは蛾が登場するんですけど、そこは確かベースに『キングスマン: ゴールデン・サークル』(2018年日本公開のイギリス・アメリカ映画)があったと思う。その映画に蛾が重要な役割で出てくるんですよ。音楽に没入していった世界では、部屋の中に宇宙があるようなものなんで、そこで何が起きてもおかしくない、と。そう思うと神山羊の周りに、光に集まってくるものが現れるのが意味が通じるな、と。それで『蛾にしよう』ってことに。

Shu:蛾は光に集まる生物だしね。それで夜の部屋に、頭上からライトが1つだけ照っている空間を作って、神山羊の内面にある葛藤なりを、部屋を舞う物体の飛び方や数量で見せることができたら面白い、と考えて進行していったんです。

いつも特別なアイディアでお客さんを含めて驚かせてくれる―神山羊

―新宿のWARPで開催されたe.w.e 主催のイベント「zzz」では、PERIMETRONとして造形物を制作して参加されているんですよね?

Shu:そうですね。何でもいいから絡まないかって話だったんですけど、色々考えた結果、せっかくこういうイベントに誘ってもらったわけだから、今までに作ったことのないモノを作ろうってことで巨大な造形物を作ったんです。来てくれたお客さんの記憶に残るように、という思いを込めて。あれは初めてのスケールでしたね。

神山羊:3メートルぐらいあったよね?

Shu:台座合わせてほぼ4メートルだった。

OSRIN:原型のサンプルがあるから持ってくるよ、これ。

神山羊:これがサンプルなんだ? いいね、すごいな。

Shu:いや、再現性はあるんだけど、最初に見たときは質感がわからなくて。やり取りしていても一向に埒があかないから、立体制作を担当してくれる栃木の工場まで顔合わせに行ったんだよ。

神山羊:栃木!(笑)。

Shu:それで、最終的に出来上がったスカルプチャーを2トントラックにギリギリ詰め込んで新宿のWARPに運搬して。当日の搬入が1番心配だったんだけど、ギリッギリで入れることができたんだよね。そういう奇跡的なことが続いてステージに無事設置することができたんだよ。

神山羊:すごく評判良かったよね、あれ。お客さんは『何だ、コレは……』って感じになっていたけど(笑)。

OSRIN:そうだよね。誰も説明とかしていないし、そりゃポカーンってなるよ。

Shu: 最終的に、お客さんが写真撮って帰ってくれていたから、ちゃんと意味があったんだよ。それでさ、これのスケールを小さくしてフィギュアにすればいいんじゃないかと思う。フィギュアを作ることはすごく意味があると思っていて。

OSRIN:それずっと言ってるよね。絶対にデカイものをフィギュアにした方が良い、だからストーリーがあるモノがフィギュアになるって。

Shu:それもあるし、色が白なのも意味があったよ、オレの中では。この白いフィギュアがあれば、これにアートなりイラストを描いて、神山羊に関わる他のクリエイターのシグネチャーが何種類も作れるから。

神山羊:なるほどね。プロトタイプとしての役割だったんだ。

Shu:そう、それでパッケージを作ればいい。個人的にはそういうグッズを作っている方がカルチャー感があると思うし。多分、裏原カルチャーの影響なんだろうけど上半身がデカイフィギュアってすごく好きで。

OSRIN:確かに発展性もあるね。このフィギュアを割ったらとんでもないモノが出てきたりとか。そもそもコイツを作った悪の博士がいるのかもしれない、とか。神山羊というアーティスト自体に夢や遊び心を感じさせる部分があるし、キャラクターを当てはめやすいんじゃないかな。

Shu:イマジネーションを感じさせる世界観があるからね。ファンタジーを持ち込みやすいアーティストだよね、神山羊は。

神山羊:これ、よく聞かれるんだけど、このキャラクターって名前はあるの?

Shu:ない。名付けていいよ。

神山羊:いや、むしろ名付けて(笑)。

Shu:OK、なんかめちゃくちゃクセがあるやつ考えておく。

神山羊:これ、名前がついたらフィギュアにするしかないかな(笑)。

INFORMATION

EYESCREAM No.173

11月1日(金)発売
第1特集『KANDYTIWN 探求:その存在、深さと意義』
出演者:
KANDYTOWN
二階堂ふみ
オカモトレイジ(OKAMOTO’S)
tofubeats

第2特集『HELLO, 神山羊』
出演者:
神山羊
Shu Sasaki、OSRIN(PERIMETORON)
JUN INAGAWA
窪田慎(CEKAI)&北田正太郎
東洋医学
magma
服部昌孝

お取り扱いは全国の書店、大型CDストア、Amazon等にて



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