FUTURE ARCHIVE
“ANTI VINTAGE”

BEAMSによる新プロジェクトの本質を探る
#01 Talk Session with TAPPEI

Photography—Hiroki Asano、Text—Showgo Komatsu、Edit_Mizuki Kanno

FUTURE ARCHIVE
“ANTI VINTAGE”

BEAMSによる新プロジェクトの本質を探る
#01 Talk Session with TAPPEI

Photography—Hiroki Asano、Text—Showgo Komatsu、Edit_Mizuki Kanno

この度、BEAMSによる新プロジェクト『FUTURE ARCHIVE』がローンチを迎えた。10年後、20年後も色褪せることのない“未来のアーカイブ”を生み出すことを目的に、BEAMSが15組のブランドやアーティストとコラボレーション。“ANTI VINTAGE”をテーマに、ヴィンテージにオマージュを捧げつつ、“いま”のムードを落とし込んだ別注およびオリジナルアイテムを、7月8日(金)から8月31日(水)までの約2ヶ月間にわたり順次リリースしていく。
ここで注目すべきは、『FUTURE ARCHIVE “ANTI VINTAGE”』の首謀者である若手の存在。新進気鋭の才能が集い、独自の解釈で表現したヴィンテージは新鮮さを纏い、さらに次の世代に受け継がれていくことを予感させる。EYESCREAMでは同プロジェクトの指揮を取るBEAMSバイヤーの飯塚昴と、15組のうちに抜擢されたタトゥーアーティストのTAPPEIによる対談を実施。肩の力を抜いた普段と変わらぬ酒の席で、同い年の友人である2人に今回のコラボレーションについて話を聞いてみた。(昨年、プロジェクトの発足を想起させる、BEAMS × DAIRIKU × SUGARHILLによる鼎談が行われていた。その模様はこちらより)

コラボレーションで再解釈。
若き才能が表現する現代のアメカジとは

L to R→飯塚昴、TAPPEI

「周りの同世代にはいろいろやっている人が多くて、単純にすげえなって思います」ーTAPPEI

—お2人はよく一緒に飲んでいるんですか?

飯塚昴(以下、飯塚):そうですね。めっちゃ飲んでます。

TAPPEI:コウちゃん(飯塚)はよく遊ぶ、数少ない同い年です。タマシャブ(TTTMSW デザイナー 玉田翔太)も同い年で、紹介してもらったのがきっかけです。

飯塚:僕がバイヤーになったばかりの時だから、2年くらい前だよね。玉田くんに誘ってもらった飲み会にTAPPEIくんがいて、そこで初めて会いました。自分はTAPPEIくんのことを知っていたので、やっと巡り会えた感じ。2軒目にライオン(※渋谷のミュージックバー)に行ったんですよ。僕はベロベロに酔っていたから内容は覚えてないけど、カウンターでいろいろ話したよね。

TAPPEI:ベロベロでもめっちゃいいヤツだったんで、本当にいいヤツなんだろうなって思いました(笑)。いつもは、知り合っても自分から遊びに誘うことはあまりないんですけど、コウちゃんは連絡して飲みに行くようになったんですよ。

飯塚:波長が合う感覚はありました。

飯塚昴 / BEAMS バイヤー
ig:@kou99999

—飯塚さんがTAPPEIさんのことを知ったのは、いつ頃ですか?

飯塚:僕がBEAMSに入社した7年前、TAPPEIくんはCANNABISで働いていて、同い年の人がいると認知していましたが、その時はお互いに交わることはありませんでした。でも、玉田くんからTAPPEIくんを紹介してもらって、TAPPEIくんからCANNABISで働く同世代を紹介してもらって、この2年くらいでどんどん繋がりが増えていきました。

—玉田さんから交友が広がっていったんですね。今回のプロジェクト『FUTURE ARCHIVE』もお2人と同世代が中心となっていますが、意識することはありますか?

TAPPEI:周りの同世代にはいろいろやっている人が多くて、単純にすげえなって思います。同い年で仲良くなる人は、あまり多くはないですし。

飯塚:歳が離れていたら、ここまで仲良くなるのに時間が掛かったと思います。

TAPPEI:歳が離れていると気を遣っちゃうよね。

—以前TAPPEIさんは、玉田さんとコラボレーションしていましたよね。

TAPPEI:1年半くらい前に自分のタトゥースタジオを構えて、そのオープン記念にTTTMSW、DAIRIKU、RANDYといった同世代がやっているブランドとコラボしたアパレルをリリースしました。僕は服作りのプロじゃないので、洋服を作るなら基本的にコラボするブランドに委ねています。僕は作りたいもののアイデアを出して、僕のグラフィックを使った洋服にしてもらっています。

—タトゥーで表現する延長のような感覚?

TAPPEI:そうですね。子どもの頃からずっと絵を描いていて、一瞬だけ芸術大学に通っていたこともありましたが、絵だけを描きたい訳じゃないし、小学生から彫り師になりたいと思っていたけど、タトゥーだけをやりたい訳でもないんです。タトゥーに専念する彫り師じゃなくて、いろんなことをやりたいと思っています。例えばフィギュアも好きだから、いつか機会があればメーカーと一緒に作ってみたいです。

飯塚:それがTAPPEIくんの魅力だと思うんですよ。タトゥーをやりつつ、いろんなことに取り組もうとする姿勢がある。刺激を受ける同い年だから、僕も何か一緒にやりたいと思っていました。

TAPPEI / タトゥーアーティスト
ig:@tappeis

—それが『FUTURE ARCHIVE』のプロジェクトで実現したと。そもそも、今回のテーマである“ANTI VINTAGE”にはどんな思いが込められているんですか?

飯塚:“ヴィンテージへオマージュを捧げながら、ヴィンテージを超えて“今”自分たちが欲しい服”をコンセプトにしています。そして、裏テーマは’90年代の渋カジ。この5年くらい、BEAMSはビッグシルエットのスタイリングを提案してきました。でもその反面、僕の周りの人たちを見ると、ジャストサイズの人たちも意外に多くて。

—確かに感度の高いファッション好きは、タイトなシルエットに注目しています。

飯塚:そのスタイリングを遡っていくと、男の色気を感じるアメカジを着こなしていた、’90年代から’00年代初頭の木村拓哉さんに辿り着きました。BEAMSの根底にはアメカジがあるので、最近のBEAMSとは異なりますが、“ワイルド”と“セクシー”と“ヴィンテージ”をキーワードに、僕らの世代が解釈したジャストサイズのアメカジを提案するポップアップを開催することになりました。

TAPPEI:僕は正直、BEAMSにアメカジのイメージがなかったんですよ。でも話を聞いてみると、アメカジのバックボーンがあって、それを踏まえているのがいいですよね。僕も古着が好きだし、タトゥーは綺麗な服装よりアメカジに似合うと思っていますし。

「若手として歴史に残ることをやりたくて、それを実現できたと思います」ー飯塚昴

—TAPPEIさんとのコラボレーションは、いつから動き始めましたか?

飯塚:今年の年始に飲みながら相談したら、賛同してもらいました。じゃあ、どんなアイテムを作ろうかと話を進めていって、あれこれ案が出ましたが、まず決まったのが腕時計です。

TAPPEI:個人的に腕時計が好きだし、前にSwatchさんとコラボさせてもらったことがあって、さらに自分らしい一本を作りたいと思っていたので提案しました。今、腕時計といったら高機能のスマートウォッチを付けている人が多いじゃないですか。でも僕は無駄なものが好きなので、それをうまくアメカジに落とし込みたいと話していて。

Item:TAPPEX DAY-OFF
Price:¥22,000

飯塚:BEAMSに腕時計の生産背景があったので、いちから作ることに決まりましたが、オリジナルの腕時計って半年じゃ作れないんですよ。

TAPPEI:プレッシャーで手が震えていたよね(笑)。

飯塚:工場にお願いして、なんとか間に合わせてもらえて、本当によかった。

TAPPEI:デザインは僕の好きなモデルのオマージュで、そのモデル自体は時刻の精度の高さで有名。だけど、これは秒針しか備えていなくて、時刻は一切分からない。休日に付けてもらいたいからモデル名を〈デイオフ〉と名付けて、文字盤に“時間を気にするな”というメッセージを入れました。裏原ブランドにもオマージュしているデザインの腕時計があって、それが大好きだし、僕も作品として腕時計を作りたかったから、めちゃくちゃ嬉しいです。

飯塚:自分もそうなんですけど、腕時計を付けていても、スマホで時間を確認しちゃいます。でも、コーディネートの一部として腕時計は付けたい。そんな現代にぴったりだと思います。

—アメカジやヴィンテージを踏襲しつつ、TAPPEIさんらしい遊び心がある一本ですね。文字盤の空は写真ですか?

TAPPEI:僕のグラフィックを全面に押し出さず、一緒に仕事しているフォトグラファーのタイセイの写真を使わせてもらいました。本当に仕上がりが理想的で、めちゃくちゃ気に入っています。

飯塚:裏蓋にTAPPEIくんの天使のグラフィックをデザインしたり、バックルにオマージュのロゴを入れたり、ベゼルはゴールドとシルバーで付け替えられる仕様にしたり、細かいところまでこだわっています。TAPPEIくんとのコラボのなかでも、1番時間を掛けました。毎日のように連絡したよね。

TAPPEI:ウザいくらい連絡がきましたよ(笑)。

—(笑)。これ以外にもTAPPEIさんとのコラボが用意されているそうですね。

飯塚:TAPPEIくんには、スウェットとTシャツも作ってもらっています。BEAMS HARAJUKUだけで展開するポップアップ限定のスウェットとTシャツのボディに、TAPPEIくんのグラフィックを落とし込んでもらいました。

Item:NIGHTMARE SWEAT SHIRT
Color:BLACK, RED
Size:S, M, L
Price:¥15,400

TAPPEI:これもオマージュです。キャラクターものは新品より古着がいいから、テーマにも合うと思いまして。オマージュは元ネタに対するリスペクトが絶対に必要なので、“HOMMAGE”とカレッジ風に入れています。オマージュのレベルを8段階でデザインして、ギリギリのラインのものを使ってもらいました。

—ちなみに8段階中、どのレベルが採用されました?

TAPPEI:6段階くらいですかね。コウちゃんなら、もうちょいイケると思ったんですけど(笑)。まあでも、他のブランドでは難しいオマージュも、BEAMSにはカルチャーの理解があるから実現したと思っています。

飯塚:これギリギリでしょ(笑)。古着を再現するために、プリントが割れるクラック加工を施しています。

—タトゥーの天使はモノトーンですけど、カラーリングされていると違った印象です。

TAPPEI:タトゥーのグラフィックをそのまま落とし込むのもいいですけど、洋服にデザインするなら少し違うニュアンスがいいと思いまして。

飯塚:そしてこのデザインもTAPPEIくんを代表するグラフィックのひとつ。

Item:SPORTS TEAM SWEAT SHIRT
Color:NAVY
Size:S, M, L
Price:¥15,400

TAPPEI:これもロゴをオマージュしていて。アメカジがテーマだからこそ、このデザインを使わせてもらいました。コウちゃんがやりたいようにやらせてくれたので、やりやすかったです。これも仕上がりがよくて、気に入っています。

—Tシャツもあるんですね。

飯塚:TシャツにもTAPPEIくんの天使のデザインを使わせてもらいました。こっちもプリントが割れています。古着のように透けるボディだけど、古着にはないグラフィックが新鮮。

Item:NIGHTMARE T-SHIRT
Color:White
Size:S, M, L
Price:¥8,690

TAPPEI:古着をモチーフにしているけど古着ではないので、すべてのデザインのコピーライトに2022と記載しているんです。

Item:LOVERS T-SHIRT
Color:BLACK
Size:S, M, L
Price:¥8,690

飯塚:これは天使が抱き合っていて、カレッジ風のフォントで“LOVERS”とデザインしてくれました。TAPPEIくんとのコラボは腕時計以外に、スウェットとTシャツ、それぞれ3型ずつリリース予定で、BEAMSのためにグラフィックを書き下ろしてくれたものもあります。プリントのサイズや配置する位置も2人で細かく決めたので、すべて思い入れが強いです。

—BEAMSオリジナルは、どんなアイテムをリリースするんですか?

Item:COLOR FLOCKY PRINT SWEAT SHIRT
Color:BUTTERFLY、TIGER、COBRA
Price:¥15,400
Size:S、M、L

飯塚:まずはスウェット。BEAMSオリジナルのスエットとしては珍しいラグランスリーブで、シルエットはややタイトめです。’50年代に用いられていたカラーフロッキープリントでヴィンテージの風合いを再現しています。デザイン違いで3種類用意しました。

—デザインとエイジングが本物のヴィンテージさながらですね。

Item:PRINTED T-SHIRT
Color:WHITE、RED、NAVY、BLACK
Price:¥7,590
Size:S、M、L

飯塚:こっちがTシャツ。’50年代の古着みたいに透けるほど薄いボディを使っていて、これもBEAMSオリジナルでは珍しいです。デザインしている“RIOT YOUTH”は、若手が暴動を起こすと意味する造語。『FUTURE ARCHIVE』で、多くの若いブランドとコラボレーションするので、それをメッセージで落とし込みました。Tシャツは無地を含めて3種類です。ほかにもいろいろ仕込んでいて、ポップアップ期間中、BEAMS HARAJUKUとオンラインショップで販売します。

—今回初めてのコラボレーションでしたが、いかがでしたか?

TAPPEI:楽しかったですね。スタジオオープン記念のアイテムもそうなんですけど、友達と一緒に製作すると、お互いに遠慮なくアイデアを出し合えるので、いいものを作れると実感しました。

飯塚:やることがたくさんあって大変でしたが、本当に楽しかったです。TAPPEIくんの他にコラボしているのも顔なじみのブランドばかりで、僕自身カッコいいと思っている人たちだけです。若手として歴史に残ることをやりたくて、それを実現できたと思っています。僕は現代のファッションに大きな影響を与えている、’90年代の裏原カルチャーが大好きです。僕らもそうなりたくて、数十年後にあの人たちはすごいと言われたい。この企画が未来のヴィンテージになってほしいという思いもあって、『FUTURE ARCHIVE』というスローガンを立てました。それを僕らよりも下の世代に感じてもらえたらと思っています。

TAPPEI:このポップアップをきっかけに、ヴィンテージとか裏原とかにも興味を持ってくれると嬉しいよね。

飯塚:そして、今回のポップアップ期間中、音楽イベントを3回開催します。ローンチ初日にはレセプションパーティーを開催し、TAPPEIくんを始めとしたDJに出演してもらいます。洋服を販売するだけではなく、カルチャーも体感できるポップアップなので、楽しみにしていてもらいたいです。

ふたりの対談を経て、EYESCREAMでは、今の東京カルチャーに大きなインパクトを残すであろう『FUTURE ARCHIVE “ANTI VINTAGE”』プロジェクトを追い続けることに。残す14組とのコラボレーションの全貌や音楽イベントについてなど。今後も順次フォローしていく予定なので、一先ずはto be continued…..。

INFORMATION

■『FUTURE ARCHIVE』参加ブランド
TAPPEI / RED WING / Calvin Klein / Dickies / PWA / DAIRIKU × SSZ / BLUFCAMP / SUGARHILL × Wrangler / Taiga Igari / Randy / TTTMSW / Sound Sports / HIDAKA / DAIRIKU / Diemme

■Launch party.
2022.07.08 19:00〜
@BEAMS HARAJUKU
詳細に関しては『FUTURE ARCHVE』のInstagram(@futurearchive_beams)をご確認ください。

■Enent Schedule.
2022.7.16 19:00〜
Gliiico × SUGARHILL
2022.8.6 19:00〜
??SECRET GUEST?? × TTTMSW
2022.8.13 19:00〜
Age Factory × DAIRIKU

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