MUSIC 2018.01.23

日野浩志郎の新作は10名以上の演奏家、10台以上のスピーカーによる“全身聴取ライブ”

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

バンドgoatやソロ名義YPYでエクスペリメンタルとダンスを交錯させる一方、カセットテープ・レーベル〈birdFriend〉も主宰するなど、多角的/実験的なアプローチをもって国内外から注目を集める音楽家・日野浩志郎。この度、電子音と生楽器の新たな関係性を提示した⼤編成プロジェクト「Virginal Variations」に続く、最新プロジェクトとなる“Geist”が発表された。

“Geist”は、自然音と人工音を呼応させ、響き合わせる作品となる模様。多スピーカー採用により、音と演奏者の移動を交えることで新たな音のあり方を探求する。

初演は3 ⽉17 ⽇、18日に行われ、演奏者にはNYを拠点とするパーカッション奏者/作曲家のEli Keszlerや山本達久をはじめ、名うてのミュージシャンが揃う。舞台となるのは大阪・住之江の名村造船所跡地にあるBLACK CHAMBER。そこに、未知なる音楽体験が待ち受ける。

日野によるステートメントは以下。

島根の実家は⾃然豊かな場所にあって、いまは、⾬が降っている。その⼀粒⼀粒が地⾯を叩く⾳をそれぞれ聞き分けることはもちろんできないから、広がりのある「サー」という⾳を茫と聞く。やがて⾬があがり陽が射すと、⿃や⾍の声が聞こえてくる。家の前の、⼭に繋がる⼩さな道を登っていけば、キリキリキリ、コンコン、と⾍の⾳がはっきりしてくる。好奇⼼をそそられ、ある葉叢に近づくと⾳のディテイルがより明瞭に分かる。さらに、たくさんのほかの⾍の声や頭上の⾵巻き、⿃の声、葉擦れ⾐擦れなどを⽿で遊⼷し、⼩さな⾳を愛でる⾃分の〈繊細な感覚〉に満⾜、俄然興が乗り吟⾏でもせんかな、いや、ふと我に返る。と、それまで別々に聞いていた⾳が渾然となって⽿朶を打っていることに気づきなおしてぼう然する。⼩さな⾳が合わさって、急に⼭鳴りのように感じる。……。「〈繊細な感覚〉なんてずいぶんいい加減なものだ」と醒めて、ぬかるんだ⼭道で踵を返す。きっと、あの時すでに“Geist”に肩を叩かれていたのだ――。

Eli Keszler

山本達久

INFORMATION

Geist

日程:2018 年 3 ⽉17 ⽇(⼟) 昼公演 開場13:30 開演14:00 / 夜公演 開場19:00 開演19:30
2018 年 3 ⽉18 ⽇(⽇) 昼公演 開場13:30 開演14:00 / 夜公演 開場19:00 開演19:30
会場:クリエイティブセンター⼤阪 BLACK CHAMBER(⼤阪市住之江区北加賀屋4-1-55 名村造船所跡地)
料⾦:前売り2500 円 / 当⽇3000 円
作曲:⽇野浩志郎
演奏:Eli Keszler / ⼭本達久 / 川端稔(17 ⽇のみ出演) / 中川裕貴 / 安藤暁彦 / 島⽥孝之 / 中尾眞佐⼦ / ⽯原只寛 / ⻲井奈穂⼦ / 淸造理英⼦ / 横⼭祥⼦ / ⼤⾕滉 / 荒⽊優光
舞台監督:⼤⿅展明
照明:筆⾕亮也
美術:OLEO
⾳響:⻄川⽂章
プロデューサー:⼭崎なし
制作:吉岡友⾥
助成:おおさか創造千島財団

オフィシャルサイト:http://www.hino-projects.com/geist

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