MUSIC 2022.10.30

Review: SixTONESの両A面シングル『Good Luck! / ふたり』に見た表現の幅広さ

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Text_Chie Kobayashi

SixTONESが11月2日に両A面シングル『Good Luck! / ふたり』をリリースする。明るくキラキラした「Good Luck!」と、切なくも温かい「ふたり」という対極な2曲が収録された本作。通常盤ではさらにカップリング曲、リミックスバージョンが加わり、その楽曲の幅広さを見せる。このシングルから彼らの表現力の高さを考える。

「Good Luck!」はクラップ必至のアップチューン。ジェシー主演ドラマ『最初はパー』(テレビ朝日系)の主題歌で、ジェシーはドラマでお笑い養成所に通う利根川豪太を演じる。お笑い養成所を舞台にしたドラマの主題歌ということもあり、バラエティでいつも明るく元気な姿をお茶の間に届けてくれるSixTONESの明るさをそのまま映し出したような歌詞が印象的だ。楽曲としてはここまでキラキラしたポップな楽曲は、実はSixTONESには挑戦的。しかし彼らの普段のキャラクターにより、こんなSixTONESも“知っている”ように思わせるからさすがだ。振り付けは「Rosy」や「共鳴」など、すっかりSixTONESにはお馴染みとなったGANMI。GANMIメンバーいわく「たくさんの方に愛される振りにすべく考えたパターンは20通りを超えた」そうで、同曲の<何回だって It’s OK! 最後はやっぱり笑って踊ろうぜ>という歌詞とリンクしたというから、この曲のリアリティたるや。


ほかにも<カッコ悪くてもいいんじゃない? 今日はいい天気 ほら、飛び出して>があれば、<カッコつけたっていいんじゃない? 雨降りだって ほら、顔上げて>ともあって、どんな姿も肯定してくれる。カッコ悪い姿も、カッコつけることも、<自分らしけりゃ満点>と言ってくれるのだ。この先の人生、この曲を何度も頼ってしまうんだろうなという気がすでにしている。『最初はパー』の主題歌が、「最後はLove & Peace」という“オチ”で結ばれるのも小気味好い。

一方、「ふたり」は京本大我主演のドラマ『束の間の一花』(日本テレビ系)の主題歌。互いに余命宣告を受けている萬木昭史(京本大我)と千田原一花(藤原さくら)のふたりを描いた物語を、繊細に、かつ温かく彩る一曲だ。ジェシー、京本と歌い継ぐボーカルから始まるミディアムチューンがドラマのラストに流れ、ドラマ鑑賞後の余韻が長く続く。<向き合って 泣き合って 抱き合って 私の名を>と、<向き合って 泣き合って 抱き合って あなたの名を>から始まるサビは、まるで“ふたり”がそれぞれに向けて歌い合っているようで、ふたりでいる時間だけを切り取った儚さが秀逸に表現されている。バラエティ番組やYouTube、レギュラーラジオなどでは元気いっぱいの姿を見せているSixTONESだが、こういった儚さや情感たっぷりの楽曲を歌うと妙にハマるのも魅力。ミュージックビデオも、ただ6人の“束の間”を切り取っただけなのに、胸に刺さるのは、彼らの表現力によるものだろう。

この対極な2曲、どちらも“SixTONESらしい”という言葉を使いたくなるから不思議だ。そこにSixTONESというアーティストの魅力を改めて感じる。ジャケットを見てもそう。「Good Luck!」を1曲目に置いた初回盤Aは赤色をバックにメンバーが笑顔を見せており、「ふたり」を1曲目に置いた初回盤Bでは青色をバックにメンバーが笑う。『SixTONESには赤が似合うな』と思ったり『青が似合うな』と思ったり。ちなみに、いずれも作詞作曲を手がけているのは、ボーカルユニット・UNIONE(現在無期限の活動休止中)の一員でもあるYUUKI SANO(「Good Luck!」はTaishi Noguchiとの共作、「ふたり」は柳川陽香との共作)。対極の楽曲でありながら、作家を1人に託し、どこかに共通点を残しておくという発想にも抜け目がない。

さらに通常盤には柔らかなサウンドに乗せたポジティブソング「Sing Along」と、KREVAやSIRUPなどのライブサポートも行うMPCプレイヤー・熊井吾郎がアレンジを手がけた「わたし – Lo-Fi ChillHop Remix -」も収録。「Sing Along」の柔らかさや軽やかさは「FASHION」(シングル『共鳴』収録)や、デビュー前から歌い続けている「“Laugh” In the LIFE」(アルバム『1st』収録)にも通じるところがあり、仲良くも程よい距離感を保った自由なSixTONES6人だからこその説得力を持つ。「わたし – Lo-Fi ChillHop Remix -」については、「Coffee & Cream」(『1st』収録)で彼らのチルヒップホップが彼らに似合うことは証明済み(それでいてドラマの挿入歌として切なく彩った同曲を、ヒップホップへと変化させてしまうのも面白いし、恒例となっているとはいえ、やはりこの試みを面白がれるSixTONESの音楽への探究心には感服する)。これまでの作品でチャレンジしてきたジャンルを、歌いこなすだけでなく“似合う”にまで持っていける彼らの表現力とパフォーマンス力には驚くばかりである。この先、どんな楽曲で、どんな顔を見せてくれるのか期待が高まる。

INFORMATION

SixTONES 『Good Luck! / ふたり』

初回盤A
¥1,760- 税込 スリーブケース仕様
CD [全2曲]
1.Good Luck! 2.ふたり

DVD
Good Luck! -Music Video-
Good Luck! -Music Video Making-
Good Luck! -Music Video One Cut Shooting ver.-

初回盤B
¥1,760- 税込 スリーブケース
CD [全2曲]
1.Good Luck! 2.ふたり

DVD
ふたり -Music Video-
ふたり -Music Video Making-
ふたり -Music Video Solo Movie-

通常盤
¥1,100- 税込 初回仕様:スリーブケース仕様+20Pフォトブック
CD[全6曲]
1.Good Luck!
2.ふたり
3.Sing Along
4.わたし -Lo-Fi ChillHop Remix-
5.Good Luck! -Instrumental-
6.ふたり -Instrumental-

https://www.sixtones.jp/
https://www.instagram.com/sixtones_official/
https://www.youtube.com/channel/UCwjAKjycHHT1QzHrQN5Stww

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