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(sic)boy
ニューアルバム『DOUKE』発売中
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オルタナティブ、エモ、ラウドロックの要素やメロディアスなフローをヒップホップに落とし込んだスタイルで稀有な存在感を放つ(sic)boy。待望のニューアルバム『DOUKE』では、KM、Chaki Zulu、Tido、uinという全幅の信頼の置くプロデューサー陣と共に、全20曲という壮大なスケールで(sic)boyの現在地を提示している。今回は特別にソロインタビューと盟友であるvividboooyとの対談を実施。(sic)boyを形成するアイデンティティを探る。
──ニューアルバム『DOUKE』は全20曲というフルボリュームでありながら、決してトゥーマッチではなく、ドラマティックなストーリー性に富んでます。特に中盤以降から続くChaki Zuluさんプロデュースのビートからポップにもバラードにも展開していく構成が、アルバムに大きな説得力をもたらしていると思います。
(sic)boy:ありがとうございます。今は完成したばかりなので、やれること全部詰め込んだという達成感と、いろんな感情がぐちゃぐちゃになっている感じですね。アルバムの曲順的にもいろんな感情が行ったり来たりする内容なので。20曲という曲数だけじゃなくて、1曲1曲の魅力を最大限に、Chakiさんも含めて各プロデューサーが引き出してくれたと思うので。かなり大変ではありましたけど、すごく充実した制作でした。
──音楽人生という意味において、この2年間はどういう期間でしたか?
(sic)boy:アクティブにライブをしたという印象です。去年はこのアルバムの最後にも入ってる「Angel!!」 というシングルでツアーを組んで、5箇所を回らせてもらって。それが人生初のツアーだったんです。いろんな会場でライブをして、見えてきたものがありました。こんなに待ってくれてる人がいるんだなって。
──リスナーの顔が如実に見えたという。
(sic)boy:そうですね。前作『HOLLOW』までのスタンスは、ライブには来られる人が来て、ステージを観て分かってくれればいいという姿勢で音楽をやっていたんですけど。去年は、あえて新しいアルバムが完成しきってない状態でツアーを回ったことで、「こういう曲をもっと作りたい」「こういう曲がライブであったらもっと一体感が出るな」というアイデアが、いろいろ見えてきた。すごく意味のあるツアーでした。

──今作はバラードとの向き合い方もとても印象的で、特に「色のない夜」 などは、歌唱表現を大きくアップデートしていると思います。
(sic)boy:みんなで一緒にシンガロングする曲は、アグレッシブな曲でもいいんですけど、バラードの方が一体感が出るかなとライブをしながら思ったんですよね。そういった意味でも、今作でメロウな感じの曲をたくさん作ったのは、ツアーやライブをしてのお客さんとの距離感、自分の心境の変化があったかもしれないです。
───“道化(DOUKE)”というキーワードは、どういう流れで出てきたんですか?
(sic)boy:前作『HOLLOW』は自分の内に秘めているものをただ表現しているという内容だったんですね。『DOUKE』も基本的に悲しい曲が多いんですけど、でも、今回はステージから見た視点を、道化師として、ピエロとして、ひとつの劇のように、俯瞰的に自分を表現したいと思った。ツアーで感じた一体感とはまた別の視点で、自分がどう見られているのか、どういう音楽として噛み砕かれているのか。そして、どう立ち向かっていくかと考えたときに、「道化」というワードが出てきました。今までは内側にあるものをただ出して、楽しめる人だけ楽しんでほしいというスタンスだったのが、このアルバムはもう一つの“(sic)boy劇場”を、本当にいろんな人に体感してもらいたい、放ちたいという感覚になったのがきっかけですね。
───ある種のエンターテインメントに対する意識が大きくなった?
(sic)boy:そうですね。ライブを通して人に見られる、感じてもらうというフィーリング。その綱渡りの感じも自分にとってはひとつのエンタメだなと思います。不安定だけど一本筋は通ってる。いろんな曲調、ジャンル、歌い方が、フラフラと綱渡りしてる感じで。そして、最後は、去年シングルとしてリリースした「Angel!!」に戻るという。そこには1枚目からこの4枚目のアルバムまで、一貫しているものが流れていて。そういった意味で、スリリングだけど、ファンにとっては安心感のある一作になったかなって。
───破壊と創造は、(sic)boyさんのアーティスト性の根源にあるものだと思いますが、今改めてそれと深く向き合ったような印象を受けました。自分の感情を扱いやすくなったという部分もありますか?
(sic)boy:それはあるかもしれないですね。相変わらず人間としては不安定なんですけど、でもこうやって作品を並べて見てみると、前作やファースト、セカンドと比べると、すごく自分を俯瞰できている。そこは、ちょっと成長できたのかなとは思います。

───感情の動きは生々しいことには変わりはないけど、それをステージに上げられる、エンターテインメントに昇華できるのが、今の(sic)boyである、と。随所に散りばめられている新しい挑戦はLOVE PSYCHEDELICOの「Last Smile」のカバーでも顕著に表れていますね。
(sic)boy:今まで作り上げてきた(sic)boyのコアとなる部分は、KMさんプロデュースの曲でフィーチャーして、新しいチャレンジはやっぱりChakiさんのビートで試みることが多かったですね。Chakiさんからの提案もあって、“(sic)boyらしくないこと”を、ポジティブな意味で捉えられました。自分の中でちょっと照れがあるけど、踏み入れたかった領域、踏み入れるはずのなかった領域に、だいぶチャレンジできた感じがします。
───今年、リリースから5周年を迎えた『CHAOS TAPE』は、今でも日本のラップシーンのあり方を拡張した傑作として存在していると思います。ご自身の中ではどのように息づいてますか?
(sic)boy:今は絶対作れないですね。コロナの真っ只中で、自分が表現できる最善の作品でした。5周年って聞くと、あっという間のようですけど、あの雰囲気は、あの時の自分にしか出せなかった。KMさんのビートは洗練されているけど、僕の表現は粗削りで。でも、今聴いても古く感じない。5年経って、さらにそう思うようになりました。
───今作でより、音楽表現の可能性を大きく広げたと思います。ここからまたさらに研ぎ澄ましていきたい部分、サウンド面でのチャレンジなど、未来へ向けた展望や欲求はありますか?
(sic)boy:まだまだいろんなことにチャレンジしたいと思ってます。フルバンドの音源制作やライブもやりたいし、アイデアは尽きないです。今作は『CHAOS TAPE』の前に最初にKMさんと作ったEP『(sic)’s sense』の頃のモードにあえて戻った側面もあるし。この『DOUKE』というアルバムが世に放たれて、12月に全国を回るツアーでもどういう受け入れられ方をして、どう感じてもらえるかによって、新しいチャレンジの矛先は変わってくるかなと。本当にやりたいことたくさんあるし、自分でも楽しみですね。
vividboooyとの対談も近日公開予定なのでお楽しみに。

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