MUSIC 2017.09.08

「音楽も洋服も自分たちが自分たちらしく」インディ・ロックシーンのキーパーソンCommunionsインタビュー

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

2017年8月18日、フレッドペリーが主催する恒例の音楽イベント「サブカルチャーライブ」が今年も開催された。これまではライブハウスだった会場がフレッドペリーショップ東京内に移り、”ファッションから見た音楽”の色合いが、さらに強くなったように見受けられた。リニューアル第1回目のゲストは、デンマークの4人組Communions(コミュ二オンズ)。フレッドペリーの母国であるUKインディー・ミュージックに影響を受けた部分も多く、日本でも高い人気を誇っている。今回はメンバー全員を撮影、バンドとファッションの関係やこれからの活動について、フロントマンのマーティン・レホフへのインタビューを行った。

ーもともとフレッドペリーが好きだと聞きました。

Martin Rehof(以下・Martin):そうなんだ。ライブが終わったら(店内を)見て回る時間あるかな?ここでしか買えない物もあるだろうし。

ーモッズやスキンズ、ルードボーイといったUKの“若者×音楽×フレッドペリー”の関係性に憧れたことはありました?

Martin:そういうカルチャーがあることは知っているけど、僕はそれがきっかけで好きになったわけではないんだ。ブランドそのものが好き。デザインがミニマルで体にフィットするからね。

ーバンドのファッションに注目が集まることについては、どう思っていますか?

Martin:そりゃ嬉しいよ。自分たちも人間だから、よく見える服を着たいしお洒落もしたいしね。

L to R
Jacob van Deurs Formann(Gt) ブルゾン ¥34,000+TAX, ニット ¥14,000+TAX
Martin Rehof(Vo/Gt) ブルゾン ¥17,000+TAX, Tシャツ ¥6,500+TAX
Mads Rehof(Ba) コーチジャケット ¥15,000+TAX
Frederik Lind Koppen(Dr) アノラック ¥25,000+TAX
(全てフレッドペリー)

ー音楽とファッションは切り離せないものだ、とよく言いますけど、確かにそこを意識したミュージシャンもいれば、自分(たち)が着ている服を周りが語ってそうなっていったパターンもあると思います、コミュニオンズの場合はどうですか?

Martin:そうだね、僕たちはそこを強く意識しているわけではないけど、繋がっているとは思うよ。自分はデザイナーでもなんでもないけど、こういう場でファッションの話をすることもあるわけだからね。あとは、バンドとしてのイメージという意味でもファッションは大切だと思う。でも、その前の段階で、自分たちが自分たちらしくあろうと心がけているんだ。そのなかで、音楽も洋服もシンプルであることが基本になってるから、結局、繋がってくるよね。

ーどんな音楽を聴いて育ったんですか?

Martin:入り口になったのは、父親が聴いていたクラシック・ロック。ロイ・オービソンとかボブ・ディランとか。そこから自分の意思で選んで聴くように頃には、オルタナティヴ・ロックや、ザ・スミス、デイヴッド・ボウイを好むようになったね。プリンスからブラック・ミュージックを聴くようになったりだとか。他にもたくさんあるんだけど、基本的にはそんな感じかな。

ーコミュ二オンズの音に直接、影響を与えているわけではないにせよ、お父さんが聴いていた音楽、つまりクラシック・ロックからの影響は確実にありますよね?

Martin:うん、間違いなくあるね。ソングライティングだったりメロディ、曲の構成だったり。

ーアウトプットとしては、ファースト・アルバム『Blue』以前のシングル、EPは80年代のポストパンク~90年代初頭のインディー・ミュージックの色合いが強かったと思うんです。それが『Blue』で時代感も音楽的な幅も広がったように思います。

Martin:言ってることはよくわかるよ。自分で振り返ってみても、そんな気がする。でも、作りたいと思ったものを作ったら自然にこうなっただけなんだ。『Blue』は明らかにサウンドがクリーンになった部分はあるし、クラシック・ロックをまったく意識していなかったわけではないんだけどね。

Communions – Come On, I’m Waiting

ーでは次回作に対しては、どんな意識を持っていますか?

Martin:よりダイナミックで成長した作品を作りたい。みんな演奏もうまくなってるし、例えば”静と動”の脈絡をつけた展開をより魅力的に表現できると思う。そういう進化をちゃんと見せたいね。昔はとにかく、自分たちがまず“良い”と思えるものを作ろうとしていたし、それしかできなかったんだけど、そこに“面白い”と感じられるような実験的なことも入れていきたいね。

ー『Blue』もそういう作品だったと思うんです。

Martin:うん、間違いない。バンドとして、もっとも意識しているのがそこだからね。だから、次回作も、内容としてはまったく違うものにはならないよ。コミュ二オンズの音楽だって理解されないような作品にはならないけど、同じものは作りたくない。そんな感じだね。

ーバンドがメイクマネーすることが世界的に難しい時代。どうやってモチベーションを保っているんですか?

Martin:デンマークから見たら日本に行ける僕らは、とてもビッグだって思われることもあるし、日本でも、ヨーロッパから来ていることに驚かれることがある。でも、実際はお金を稼げているわけではないし、こうやって来日できることは自分たちでも信じられないことだし、それが今のロックバンドの現状だよね。じゃあ、どうやって稼ぐかって言われてもわからないし、とにかくショウをやってグッズを売るしかない。自分がミュージシャンとしてやっていく覚悟が大事。どれだけ続けても稼げている感覚がないというのは、本当に心地悪いこと。でも、やっぱり好きだから信じてやっていくしかないし、食べ物さえ食べられればね。今はそういう感覚でやってる。

Communions – It’s Like Air

ーそこから、さらに夢は大きく広がっていく?

Martin:本当に。さっきも控え室に、ピート・ドハーティやエイミー・ワインハウスがフレッドペリーを着た写真があったんだ。それを見て、メンバーと『いいな~』って話してたんだ。オアシスだってストロークスだってそう。バンドが“好きなことをやっている”という姿勢が評価されていた時代って確かにあったよね。今は同じくらいの熱意があっても、そういうバンド音楽が評価されにくくなってる。でも、自分たちはアンダーグラウンドでありたいとかインディーでありたいとは思ってないんだ。そうやってリスナーを制限したくはない。でも、好きなことをやっているということは変えたくない。音楽を聴いて、それが正直なものであるかどうかはすぐにわかるからね。そこに人が連いてきてくれるようになればいいよね。

INFORMATION

Communions 『Blue』
¥2,300+tax
http://hostess.co.jp/artists/communions/

SubcultureLive
http://www.fredperry.jp/subculturelive/

フレッドペリーショップ東京
東京都渋谷区神宮前5-9-6
Tel: 03-5778-4930
http://www.fredperry.jp/

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