Breakthrough Music for 2019
#07 dodo

Photography-Masaki Sato Edit-Mizuki Kanno

Breakthrough Music for 2019
#07 dodo

Photography-Masaki Sato Edit-Mizuki Kanno

気づけばテン年代、最後の年。音楽シーンを振り返ってみてもいくつもの潮流/トピックスがあって、そろそろ総括もしたくなってくる頃だけどそれよりも“これから”に目を向けたい。「未来は過去のなかにある」とも言うけれど、いやだからこそ未来を見据えることが結果、過去(やそこに横たわる文脈)を知れることにもつながるんじゃなかろうか。ということで、本特集「Breakthrough Music for 2019」では、来たる2020年代に向けて、EYESCREAMが追いかけていきたいホットな新世代たちにフォーカス。その音楽や存在そのものでもって、今という時代をブレイクスルーしていくミュージシャンの動向から、2019年とその先を眺めていくことにしよう。

#07 dodo

「今日はdodoのリアルを届けに来ました」。悪天となった3月某日、帰宅ラッシュに見舞われる渋谷の喧騒の中、ラッパー・dodoの撮影は行われた。17歳からYouTubeにオリジナル楽曲をアップしはじめ、2013年には「高校生RAP選手権全国大会」へ出場。翌年、サイプレス上野に向けたビーフで話題を呼ぶも消息をくらませ、実質的に活動を休止していた2016年、soakubeatsとのコラボEP「FAKE」リリースにて、突然のカムバック。川崎にある実家の子供部屋に作られた「10goqstudio(天国スタジオ)」から届く、社会への孤高のメッセージと中毒性の高いビートを孕んだ“オフラインミュージック”が今、シーンに革命を起こしはじめている。そんな(自称)HIPHOPに愛され愛した男が本企画に、満を持して登場。

dodoの使命は嘘偽りのない
“リアル”を届けること

ー撮影はいかがでしたか?

「いつもは妹がアー写的なものを撮ってくれているので、正直恥じらいを感じてしまいましたが、僕のリアルが表現された作品になっていると思います……洋服など大丈夫でしたかね……」

ーリアルなdodoさんが見れました!

「いつも着る服に悩んでしまうが故に(MVなど)裸なことが多いので、いい記念になりました」

ー先日開催されたイベント「Mango Sundae」では熱狂的なファンがdodoさんの掛け声に合わせて会場を揺らす姿が印象的でした。そのような現状をどう捉えていますか?

「ヒップホップの道を一度は挫折したdodoなので、本当に嬉しい限りです。でも、目指すべきところはまだまだと言うか。もっと世の中に認められる必要があります。そのためにも、去年から職業訓練校に通いはじめました。就職という資金源を作ることで、制作活動の足場を固めていきたいなと考えております。親にも迷惑はかけられないですし。家もそろそろ出ないと」

ー今日も学校だったと伺いました。何を学ばれているんですか?

「自動車についてです。1コース23人くらいで、高校卒業したての方から人生の大先輩まで一緒に授業を受けています。すごく刺激的で面白いですが、毎朝8時45分には朝礼があり、一日中授業があるため、今は音楽活動に使える時間があまり確保できていないのが本音です。その分休みの日にはとことん向き合うことにしています」

ー休日は10goqstudioで過ごすことが多いですか?

「ほぼ。音楽が唯一の趣味なので。外出といえば、僕が運転する車の助手席に愛犬を乗せて、散歩に出かけるくらいですかね。あとはコーヒーをドリップしたり。基本的に一人で過ごします。あとはゲームですね。PCを使ったオンライン系のものが好きなので、これが制作活動における最大の誘惑ですね。あと1時間だけを繰り返して、気が付いたら夕方。恐ろしいですね」

ー同年代で活躍しているアーティストも多いと思いますが、孤高のラッパー・dodoさん的に気になる人はいますか?

「う〜ん……(しばらくの沈黙)。意識的に見ないようにしています。すごくジェラシーを感じてしまうので、プラスに作用することがあまりなくて。でも、USアーティストはよく聞きます。物理的な距離がある分そういった雑念が生まれず、ストレートに入ってくるのかもしれません」

ー影響を受けたUSアーティストはいますか?

「挙げていくときりがないくらい。両親の影響もあって洋楽には幼い頃から馴染みがありましたが、リル・ウェインとの出会いは当時中学生だった僕にとって衝撃的なものでした。彼への憧れでラップミュージックに染まっていきました」

ーdodo誕生のルーツですね。

「普段の僕の出で立ちからすると虚勢を張っていると思われがちですが、dodoの楽曲は僕が昔から変わらずに抱いている社会に対する反抗を、一番愛するラップという形で表現した作品です。dodoの使命は嘘偽りのない“リアル”を届けることなので」

現実社会に負けてばかりのLOSER=自分、がコンセプト

ー2月1日にリリースされた初アルバム『importance』にもそういった世の中への想いが込められていると感じました。

「ここに至るまでの自分の過去を振り返ると“ルーザー”なんですよね。厳しい現実に負けてばかりです。そんな自分をコンセプトに楽曲を制作しました。2018年からずっと温めていたトラックに、今回の年末年始で一気に書いたリリックを乗せました。“世の中にこれを伝えることが俺の仕事だ”っていう内容になっています」

ーdodoさんの代名詞でもある、巧みな韻裁きがどの曲も印象的でした。

「それが醍醐味というか、韻を踏むことがラップの定義だと思うので。韻を踏みすぎるが故に、遠回りな表現になってしまいがちではありますが」

ー6曲目「important」の「俺は今笑ってる。悔しい中生きてきた。」というリリックが印象的でした。“ルーザー”が現実世界に打ち勝ったように感じます。

「この曲は、“これぞ歩くヒップホップ” というのを体現した楽曲です。dodoはヒップホップの申し子なので。この外見含め、なかなかシーンのメインストリームに入り込めない現実を突きつけられていますが、だからこそ“ルースラッパー”という唯一無二の路線を確立した訳ですし。そこの強みはあると自負しております」

ー3曲目の「missu」はストレートな強い愛が伝わってきました。これは誰か特定の人に向けた曲ですか?

「2匹飼っていた愛犬のうち1匹が去年の9月に亡くなってしまい、彼について何か残したくて、こちらを。リスナーの皆さんには、それぞれの大切な人を想って聴いてもらいたい作品です。dodoは恋愛マスターでもあるので」

ーさすがです。

「まぁそこのリアルはあえて伏せておくことにします」

ーこのアルバムを提げ、3月29日には自主企画「ひんしの会」を開催されるとのことですが、一言お願いします。

「ルースラッパー・dodoからのメッセージを皆様にお伝えすることを目的とした、交流の場です。限定CDやグッズなんかも用意しています。この時代を共に生きた証に、ぜひ遊びに来てください。いろいろ言いましたが、もっと特集を組んでもらえるように頑張るので、応援をよろしくお願いします!」

[Breakthrough Music for 2019]
#01 Black Boboi
#02 betcover!!
#03 No Buses
#04 Yo-Sea
#05 JABBA DA FOOTBALL CLUB
#06 NTsKi

INFORMATION

dodo
『importance』
on sale

「ひんしの会」
2019.03.29
Venue:BATICA

Instagram:@dodo_fnt_pokimonisforever