INFORMATION
柿本ケンサク写真集『TRANSLATOR』
¥7,000
仕様:ハードカバー256mm×278mm 144頁 掲載図版105点
柿本ケンサクによるテキスト収録
発行_株式会社コネクション、一般社団法人オンザヒル
発売_蔦屋書店各店、青山ブックセンタ各店、Gallery ON THE HILL、他
第一線の映像作家として活躍しながら、今年、写真家としての初作品集『TRANSRATOR』を刊行した柿本ケンサクと、卍LINEとしても活発な音楽活動を続ける、俳優・窪塚洋介。公私共に付き合いの深い二人が、改めてお互いの関係について振り返った。
ー窪塚さんは柿本さんの写真集について、どんな感想を持ちましたか?
窪塚洋介(以下、窪塚):本人も言ってたけど、(写真を)盛ってないから、カッキーの普段の仕事の余計なものを削ぎ落としたご本尊がやってる感じで、その生々しさにドキッとした。本当にカッキーの気持ちがムーブしてシャッターを押したんだなっていうことが、伝わってくる写真だし。後書きの言葉も、すごく魅力的なのと同時に泣けた。
柿本ケンサク(以下、柿本):編集を担当してくれた菊竹(寛)さんという方が、文章を添えるアイデアをくれて。僕はもともと写真家じゃなくて、映像の演出家でもあるし、そういう僕のアイデンティティーが出るものが最後に添えてあった方がいいんじゃないかと。
窪塚:うん。
柿本:でも写真集の後書きって難しいなと思って。『自分にとって写真とはなんぞや』みたいなことを書かなきゃとか、一応僕も『現代美術写真なんとか』とか『世界の写真史』的な本を見てるから、そこともかぶらないようにしなきゃとか(笑)。偉そうなことを言って、写真家の人が見たときに鼻に付くようなものも嫌だし。だから、素直になるしかないなと。
窪塚:そこも写真と同じで盛ってない感だよね。さらけ出してる。カッキーにしかできない体験の末に絞り出された言葉に感動した。感覚が似てるって思ってたけど、それを字面で確認できたし。結果、俺と同じようなことを考えていても、そこに至る道が違うのもすごく面白かった。俺のリリックブック(『卍LINE~TIME WAVE~』)がカッキーにとって初めての写真集だったってさっき知ったんだけど、改めて字面で見るっていいなと思って。卍LINEの活動も11周年で一区切りついたから、2冊目も出したいなっていう気持ちになった。
ーそもそもお二人が知り合ったきっかけは?
柿本:『Burn di Jerass』と『IKIRO』っていう曲のMVを撮らないかっていう話をもらったのが最初で。当時、洋介くんはまだ横須賀に住んでいて、『IKIRO』は例の事故の件について二人でいろいろ会話をしながら撮っていったんです。
窪塚:それからことあるごとにカッキーの力を借りてます。俺のMVで一番再生されてるのが、カッキーがジャマイカで撮ってくれた『ブンシャカラカ』っていう曲なんですけど、その時の旅で『カッキーやべえな』って結構くらって。イケイケな冒険野郎だな、と。
ー柿本さんは窪塚さんと出会った当時、どんな印象をお持ちだったんですか?
柿本:僕は結構複雑だったんですよ。もちろんスーパースターだし、知り合う前に飛び降りたりしてたから。
窪塚:(笑)。
柿本:どこまで聞いていいのかなって。繊細でナイーブな話じゃないですか。マスコミからも叩かれたり、精神的に辛い時期だったと思う。そういう時に出会ったけど、すごくきれいでまっすぐで、ちゃんと核心を突いたことを言ってくれる人だなと。人を惹きつける言葉も持ってるし、ライブを見てもすごく熱い。世間の印象しか知らなかったけど、実際に会ってカメラを回したり、話したりした窪塚洋介は全然違うなって。
窪塚:今の方がもうちょっと自分に近いパブリックイメージになってると思う。当時は、演出されて自分自身と離れたものがメディアに載せられたり、割とボコボコにやられてたから。ソーシャルメディアもない時代だったから、そこのフラストレーションはめちゃくちゃありましたね。だから、映画の舞台挨拶なのに映画じゃなく、自分のことばっかり話したりして。今考えると本当に失礼だったと思うんだけど。
ー当時はそれくらい積もり積もったものがあったというか。
窪塚:対抗する手段がそこにしかなかったから。でも今となってはそれが全部浄化されて、もっとフラットにいろんなクリエーションができるようになったから、よかったなと。先日、カッキーが『愛の讃歌』っていう曲のMVを『IKIRO』と同じようなシチュエーションで撮ってくれたんですよ。そのMVが自分の今の気持ちに近くて、そういうことも込みで演出してくれたと思うとムネアツだし、素敵だなって。
柿本:知り合って以降、しょっちゅうじゃないけど定期的に会ってるね。
窪塚:ここ最近のカッキーは会うたびにサプライズを持ってるよね。メールしたタイミングでいろんな国にいるのは定番化してるくらいだけど、プラスアルファで本人の流れが本当にいい感じで。刺激をもらうし、感覚が似てる部分では癒しももらう。
柿本:本人の前で言うのもこっぱずかしいけど、僕はそんなに友達っていなくて。仕事仲間で友達だと言える人ももちろんいるけど、10年間関係をキープできてる人は少ない。自分の状態もどんどん変わってく中で、悩みや、世の中について考えてることをまともに喋れる相手って意味で、心から友達だなって。
窪塚:俺、なんかあったときのために、家族とか、何人かの携帯の番号を書いた紙を財布に入れてるんだけど、その中にカッキーの番号もある。そういうつもりで書いたわけじゃないけど、俺の中でここに書いた人間を友達だと思ってるのかも。
柿本:僕はそういうものは書いてないけど、仲間だと思う人たちを並べてみると、今の自分の状態が分かるっていうのはあるかもしれない。鏡を見てるような感じで。
窪塚:俺の好きな言葉に『そいつについて知りたかったら、そいつの友達を知れ』っていうのがあって。俺は有名無名関係なく、胸を張って皆に自慢できる友達が大事だし、それが自分自身でもあるっていうか。カッキーも確実にその中の一人だね。
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¥7,000
仕様:ハードカバー256mm×278mm 144頁 掲載図版105点
柿本ケンサクによるテキスト収録
発行_株式会社コネクション、一般社団法人オンザヒル
発売_蔦屋書店各店、青山ブックセンタ各店、Gallery ON THE HILL、他