MUSIC 2022.10.20

Amazon Original HEAT Vol.02 連載HEATという音楽現象を追う:Yosuke Kubozuka×Ken Francis

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photography_Yuichi Akagi [eightpeace], Text_Keisuke Honda, Edit_Ryo Tajima[DMRT]

『Amazon Original HEAT』(以下、HEAT)。各シーンで活躍する20人のキュレーターが、20組のアーティストをピックアップし、新たな楽曲とMVがAmazon Musicで公開されていくプロジェクトだ。
本連載では、キュレーターと選出されたアーティストとの対談を行い、HEATがどのような内容なのか、まだキュレーターがどのような思いでアーティストを選び、アーティストはそれにどう応じるのかをお届けする。第2回目は10月19日リリースとなるKen Francis。キュレーターは窪塚洋介だ。実は付き合いが長いというこの2人、出会いはKenの小学生時期まで遡る。「息子の友達のケン」と「友達の父親のヨースケさん」から約10年。初ジョイントで交わす、なつかしトークとマジ話。
 

Curator_窪塚洋介, Artist_Ken Francis

近所のガキんちょ Ken Francis

 
窪塚洋介(以下:窪塚):ケンと会うのはいつぶりだっけ? 今年の夏?
 
Ken Fraicis(以下:Ken):そうですね。夏以来です。
 

ー2人はどういった繋がりなんですか?

 
窪塚:ケンは元々、息子の愛流(あいる)の友達で小学2、3年生頃のまだケツの青い時期から知ってます(笑)。当時はケンを含めて近所に住む子どもたちと一緒に出かけたり、自分の日中観れるフェスに招待したりしてた。あとミュージックビデオ(卍LINEとDOZAN11による楽曲「ワレワレワ」)に出演してもらったりもしたよね。
 
Ken:でしたね(笑)。愛流とは同級生だったから小学生の頃からよく一緒に遊んでいて。当時ライブに連れて行ってもらったりしたことも覚えていて、本当にいい経験をさせてもらっていたなって思います。
 
窪塚:オレもステージの袖からライブを観ていたケンの姿を覚えてるし、あのときのあの子がこうなったか、って思うと嬉しくなる。だけど昔から知っている分、やっぱり少し独特な感覚があるかな。これは愛流に対してもそうで、息子だけどいち俳優として接しているところがあるように、ケンはラッパーでアーティストだけどいち近所の子、みたいな。
 
Ken:たしかに僕も“窪塚洋介さん”であって友達のお父さんっていうのをどう表現したらいいのかわからない感覚はあります(笑)。
 

ーそんな近所の子どもがKen Francisとして出てきたときの印象は覚えていますか?

 
窪塚:実はけっこう曖昧でして。というのも、昔からデモテープのような音源を聴かせてもらう関係性だったので、一体どれがデモでどれがデビュー曲なのか……。だから後から「あ、デビューしてるわ」って知ったっていうのが本音。いつもケンの母ちゃんからLINEで「アルバムが出ました」とか、芸人をやっているケンのお兄ちゃん(グレン世紀)について「今度こういうのに出ます」とか、すごく親切に連絡をくれるので、そこで知ることが多くあります。あと、ケンはオレの後輩の親指(TRIGA FINGA a.k.a.親指HEAD)のところによくいるらしく、親指から連絡をもらうこともあって。そういう感じで、最近は愛流含め誰かしらからケンの情報が入ってくることが増えたかな。当然ずっとべったり一緒にいる感じじゃなかったし、これはこれでいい距離感だと思っています。今のケンを見れば順調に上がっていることは一目瞭然。ヤンチャだけど挨拶とか礼儀はちゃんとしている、色んなバランスもいいし魅力的な部分をたくさん持っている子ですね。
 

ーKenさんが音楽を始めたのはいつ頃からですか?

 
Ken:中学生ぐらいのときに、友達と一緒に音楽やってみようぜって言い出したのがきっかけで。でも特に本格的な活動というわけではなく遊びの延長みたいなものでした。それこそ小学生からライブに連れて行ってもらったりしたので音楽と近い環境にいた感覚はあります。あと、中学生のときにエリカ・バドゥ(Erykah Badu)の大阪公演に行ったことがあって。最初は全然興味なかったんですけど生で聴いたらかなり衝撃を受けたので、もしかしたら音楽を始めたきっかけのひとつになっているかもしれません。
 

ースタートからHIPHOP?

 
Ken:そうです。USのHIPHOPに憧れて。やっぱりクオリティが高いと感じるし、自分でもこういうのがやりたいって思うことは多いですね。トラップがけっこう好きで、なかでもグッチ・メイン(Gucci Mane)は「So Icy」でサンプリングしていることもあって最近よく聴いていました。
 
窪塚:遊びの延長ってケンは言うけど、音源を聴いていたオレとしては一緒に音楽作って遊んでいた周りの子とは少し違っていたんじゃないかなって思う。言葉選びや音の乗り方とかでね。当時も「あれ? こいつはもしかして、ひょっとするのかも?」って感覚はたしかにあった。まぁ、こうしてKen Francisとして会うことになるとまでは想像できていなかったわけだけどさ(笑)。
 

デビュー1年未満のボーナスステージ

 

ー今回の企画HEATについて、それぞれの印象をお聞かせください。

 
窪塚: オレからは7、8組のアーティスト候補を出させてもらっていて。もちろんどのアーティストも自分の中で推しだったから誰が選ばれてもアガるんだけど、その候補内からケンがピックされたのはちょっとした巡り合わせのように感じました。若い世代のケンが選ばれていることから、企画自体に次世代のスターを発掘してくれるような期待はあります。
 
Ken:僕は……とにかくチョー最高でしたね(笑)。ブチアガりましたし、自分の今の立ち位置でこういった企画は本当にありがたいと思っています。
 
窪塚:今はボーナスステージみたいなところかもしれないし、まだまだホントこれからだよね。発表している楽曲数でいえば少ない方だと思うし。ちなみに、正式デビューっていうのはいつになるの?
 
Ken:発表している楽曲は10曲くらいで、1st EPを出したのは今年の5月です。
 
窪塚:まだ1年も経ってないんだ。オレはケンが身を置いているシーンに疎いからKen Francisがどういったポジションにあるかまではわからないんだけど、そういうのを抜きに推したいって思った。オレが知る子ども時代のケンの延長線上にいる、ひとりのアーティストとしてね。もちろん詳しい人の中では「シーンでのKen Francisは今こうだ」っていう見方もあるだろうけどさ。
 
Ken:そう言ってもらえて嬉しいです。ありがとうございます!
 
窪塚:いや、ケンのお母さんからそう言ってくれってLINEで頼まれたからさ……(笑)。
 
Ken:えぇーっ!! それは絶対ウソだ(笑)!!
 

見づらいものに とあるドラマを見出した

 

ー今回のHEATで楽曲を用意してもらっていますが、どんな感じの曲かお聞かせください。

 
Ken:HEAT用に制作した「Drama」という曲になります。今まではFlex(誇示する、見せつける)や恋愛ものが多かったんですが、今回の企画自体が様々な繋がりのうえで実現していることなので、これまで以上に自分の深い部分を出してみようと思って作りました。あるフレーズでは、日本と外国のミックスでスタイルの見本となる人が周りにあまりいなかったことなど、 僕が幼い頃に感じていた思いについても触れています。同じような悩みや疑問を抱える人の胸を打つ曲になれれば嬉しいです。
 
窪塚:リリックが独自のスタンスから書かれている印象はすごくある。普段見せている顔よりも影を感じるというかさ。中学生当時から想像以上にひねくれていたりして、単純に言えばダークな面がオレには新鮮に映ったんだよね。ケンは明るいキャラクターなんだけど、陽と陰のバランス感が魅力だから。 大人になるにつれてそれがさらに強くなってきているんじゃないかな。たくさん悩んで、たくさん考えて、たくさん苦しんで……。いろいろな経験をすることで言葉は深みを帯びていくから、これからますます楽しみだね。
 

ーKenさん自身、武器に思っている部分はどこですか?

 
Ken:やっぱり歌詞ですかね。フロウより先に言葉が出てきやすいタイプだし、わりとすぐ書けるほうなんじゃないかと思います。
 
窪塚:それって子どもの頃から得意だった?
 
Ken:そうでもなかったと思います。 あ、でも学校の先生から「作文だけはいい」って言われたことはあります(笑)。昔から、外面を明るく見せているだけで内面ではイラついていることがけっこうあって。 だから今は曲を通じてそういう自分を周りが知ってくれることで、自分を出せているような気がして解放されている感じはあります。
 
窪塚:そんなことがあったんだ(笑)。たしかに周りが自分を認知してくれるっていうのは嬉しいよね。ケンにはこれからも基準や価値観とか、自分だけのサンクチュアリを持つことを大事にしてほしいと思う。それを外に求めてしまった瞬間に成長は止まってしまうから。余計なお世話ついでにもうひとつ、実は今回の曲を聴かせてもらって「いいリリックなのに少し聴き取りづらいからもう少し(ボーカルを)立ててもらったら?」と伝えたんです。楽曲全体の空気感はすごくいいから今のままでも全然アリなんだけどね。ケンとオレの2人でプッシュする曲だし、せっかくならリリック聴いてほしいなって思うからさ。
 
Ken:ありがとうございます。すでにエンジニアさんと相談して1度やってみようって話になっているのでトライしてみますね!
 

憧れのままで終わらせたくない

 

ー今年8月にリリースされたシングル「Essence」は、1st EPの収録されている曲とかなり異なるアプローチに感じましたが、今後の表現の幅や新たなチャレンジとしてだったんでしょうか?

 
Ken:1st EPを出した頃は考えていなかったことだったんですが、結果としてそうなりましたね。それこそ親指さんが「これやってみる?」とオケを持ってくれて。やってみたらイイ感じにハマりました。
 
窪塚:親指のプロデュース曲って多いの?
 
Ken:いえ、プロデュースしてもらっているというよりは間に入っていろいろ繋げてくれているって感じです。スタジオで録らせてもらうこともあります。
 
窪塚:親指はケンをキャッチするのが早かった気がするな。そういえば一時期、韻踏合組合のHIDAやんに鍛えられてたよね? HIDAやんがアメ村の店に来る中学生にラップ教えてたりしてさ。ケンも一二三屋行ってたんだよね。
 
Ken:行ってましたね(笑)。ただ僕、フリースタイルが苦手で……。あそこはバトルやってこそ、みたいなところもあったので。
 
窪塚:スパルタ……いや、あれは無茶振りとも言うのかな(笑)。
 
Ken:無茶振り(笑)。たしかにずっとマイク渡されたりもしましたけど楽しかったし、いい思い出です。
 

ーちなみに、HEATの他ラインナップで気になるアーティストなどはいますか?

 
Ken:今回の曲「Drama」を担当してくれたエンジニアさんがGliiicoさんと知り合いだと聞いたので、どんな感じの曲なのかなと気になっています。面識はまったくありません(笑)。
 
窪塚:アーティストについてはくわしく知らないんですけど、キュレーター側はSANDのMAKOTOくんにMEGUMIちゃん、FLJ大野さんにYOSHIROTTEN……、うん、知っている人がけっこういます(笑)。どういったアーティストを選んでいるのか、早く聴いてみたいですね。
 

ー最後に、Kenさん。今後やってみたいことはありますか?

 
Ken:音楽をしっかりやると決めたとき、住む環境から変えようと思って音楽スタジオのすぐ隣に引っ越したんです。今もそこに住んでいて、基本は曲ができたら隣のスタジオで録音する生活を送っています。ただやっぱりUSのHIPHOPに憧れて始めたことなので、もっと力をつけていつかは海外に行って挑戦したいですね。

ARCHIVES

Amazon Original HEAT Vol.01 連載HEATという音楽現象を追う:Katoman×ego apartment

Amazon Original HEAT Vol.00 -連載HEATという音楽現象を追う 番外編- : Interview_Koji Yahagi(Amazon Music Content Production Director)

 
 

 

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