MUSIC 2023.02.03

Amazon Original HEAT Vol.15 連載HEATという音楽現象を追う:Vick×KONA ROSE

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Masashi Ura, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

『Amazon Original HEAT』(以下、HEAT)。各シーンで活躍する20人のキュレーターが、20組のアーティストをピックアップし、新たな楽曲とMVがAmazon Musicで公開されていくプロジェクトだ。
本連載では、キュレーターと選出されたアーティストとの対談を行い、HEATがどのような内容なのか、まだキュレーターがどのような思いでアーティストを選び、アーティストはそれにどう応じるのかをお届けする。
第15弾のキュレーターはtokyovitaminのディレクターでありプロデューサー、DJとしても活動するVick。紹介するのは、東京とLAの2拠点で活動するシンガーソングライターのKONA ROSE。実に彼ららしい組み合わせとなった。HEATで発表された楽曲は「No Title」という、一風変わったアプローチが気になるところ。どんな曲になったのかを2人で話し合ってもらった。

Curator_Vick

Artist_KONA ROSE

ルーツにあるのはジャネット・ジャクソン

ー知り合ったきっかけは何で、どのくらいの付き合いになりますか?

 
Vick:Duke of Harajuku (tokyovitaminにも所属するラッパー)がリリースしたアルバム『RAZZLE DAZZELE: SUPREME』に収録されている楽曲「花火」にKONAが参加してくれているんですが、そのレコーディングのときにスタジオで会ったのが初めてでしたね。
 
KONA ROSE:もう3、4年の付き合いになるという感じですね。Vickに会う前からtokyovitaminの存在を知っていたし、彼らが発信している音楽は知っていたので、そこで会って話をして仲良くなっていったんです。
 

ーなるほど。ちなみにKONAさんは拠点はLAですか?

KONA ROSE:生まれがNYで東京に10年ほど住んでいました。その後、高校卒業のタイミングで、自分のアイデンティティを探す目的もあってLAに移住したんです。今は東京とLAを行ったり来たりしながら2拠点で活動しているんですよ。
 
Vick:それこそ、VERDYがミニオンズとコラボレーションしたときにハリウッドのユニバーサル・スタジオで、自分がDJをしたときはKONAが遊びに来てくれたんですよ。
 
KONA ROSE:あれ、すごくカッコよかったよ!
 
Vick:ありがとう(笑)。
 

ーせっかくなのでKONAさんの音楽的ルーツを教えてもらえますか?

KONA ROSE:小さい頃に家でジャネット・ジャクソンが流れていて、すごく影響を受けたんです。リリックのメッセージ性、サウンドからビジュアルも含めて。そこから色んな音楽をディグるようになっていったんです。音楽を研究するのが好きなので、今では色んなジャンルの音楽から受けた影響を自分的に昇華させて現しています。R&Bも好きだし、J-POPも好き。本当に色んな音楽を聴きますね。
 

ーKONAさんがやっている音楽はすごくフレッシュなR&BとHIPHOPという印象があったのですがいかがでしょう?

 
KONA ROSE:ジャンルで言うのならR&BやHIPHOPが1番わかりやすいと思うんですけど、自分の表現の1つとしては“動き”、つまりダンスを加えたうえでの表現をすごく大事にしているんです。一方でサウンドの方は、ジャンル関係なく色んな音楽を研究していますね。Vickと出会った頃なんて、テクノやハイパーポップよりのエレクトリックなサウンドをやったりもしていたので。どんどん自分が変わるにつれて音楽も変化していく感じです。そうやって音楽を表現していく仲で、それだけでは伝えきれない部分に動きもメッセージの1つとして加えることで、自分の表現が伝わるように考えています。
 

ーダンスが好きになったのには、どういう理由が?

KONA ROSE:母がバックダンサーとして活動していて、もっとも有名なところだとマイケル・ジャクソンやプリンスといった80~90年代のポップスターたちのバックで踊っていたんですよ。その影響もあって、小さい頃からダンスが身近な存在としてあったんです。
 

普段とは少し異なるアーティストをキュレーションしたくて

 

ーすごい! では、Vickへ質問ですが、HEATでKONAさんをキュレーションしようと思った理由はなんですか?

Vick:最初に、HEATはAmazon Musicがアップカミングなアーティストをフックアップする企画だと聞いて、普段から自分がやっている活動に近いと感じたんですよね。これまでに色んなアーティストと関わりを持ってきて、今では周囲に多くの人がいるんですけど、今回はあえて、仲間うちではなく、普段から一緒にいるアーティストとは少し違うユニークな魅力を持ったKONAを紹介したいと思ったんです。あと、KONAが自分と同様に日本とアメリカの両方にルーツを持っていて、音楽を通してそれを表現しようとしているところには共感できるし、純粋に応援したいと思ったんです。それに、なんといってもKONAの音楽はカッコいいので。そこが1番の理由ですね。

ー2人がHEATというプロジェクトに対して思ったことを教えてください。

Vick:世間的に見てもAmazon Musicは大きなプラットフォームだと思いますし、そこで新たなアーティストに光を照らそうという試み自体がすごく意義深いと感じますね。僕として、KONAのように、もっと世間に知ってほしいと個人的に思うアーティストを紹介することができたので、すごくありがたく感じています。
 
KONA ROSE::キュレーターもアーティストも、ちゃんと音楽の本質を見抜いて、関係する人も含めて、みんなでしっかりと作り上げていっているプロジェクトなんだなって感じているので、私も選ばれてすごく嬉しいし光栄です。
 

愛にタイトルは必要ないよねという意味を込めて

 

ーKONAさんがHEATで制作された楽曲は「No Title」という、これはタイトルなしという意味ですか?

KONA ROSE:そうです。リリックのキーワードとして「No Title」って言葉を入れているんですが、この楽曲はラヴソングなので、愛に題名はいらないよねって。関係を名づける必要性はなくて愛さえあればいいよねって気持ちを表した1曲になっているんです。
 
Vick:KONAの魅力が全面的に表現されている曲だと思いましたね。MVもすごくカッコいいし、まだKONAのことを知らない人には絶対にチェックしてほしいです。
 

 
KONA ROSE:映像のインスピレーションになったのは、60~70年代のオールドハリウッドというか、あの時代の雰囲気を出したいと思ったんです。なので、当時のパフォーマーやステージを研究して振付師にダンスを見てもらいながらLAで撮影して表現しました。普段から古い音楽やファッション、スタイルから影響を受けることが多いので、今回も曲が出来上がった後に、そのテーマと合わせて映像にしようと思ったんです。楽曲自体については、これまで私が作ったことのないサウンド感を生み出すことができたので、本当にHEATに参加してよかったと思いました。
 

ー今回のHEATでは、2人の知り合いのアーティストやキュレーターも数多く参加していると思います。チェックしたアーティストは誰でしたか?

 
KONA ROSE:tokyovitaminの周辺にもいるGliiicoは、私としても同じプロジェクトに参加できてよかったと思いましたね。あと、Nina Utashiroさんもすごくリスペクトしているアーティストなので、ラインナップに入っていて嬉しかったですし楽曲が楽しみです!
 
Vick:Gliiicoも楽しみですけど、仲が良いって意味で、Jun(Jun Inagawa)のFrog 3の楽曲は面白いなーと思いました。Junっぽいですよね(笑)。あと、Ken Francisの曲をプロデュースしたKoshyは最近よく一緒にいて、今日もtokyovitaminのスタジオにいるんですけど、彼からビートを聴かせてもらっていた曲がHEATで発表されていて、すごくカッコいいと思いましたね。
 

ーありがとうございます。今後、何か2組でやってみたいことがあったら最後に教えてください。

 
KONA ROSE:Vickが作る世界観が好きなので、今後何かの機会に一緒にビジュアルを制作できたらいいなと思いますし、何か一緒にリミックスを作っても楽しそうですね。
 
Vick:そうだね、音楽は何か一緒に作る機会が今後もきっとあるだろうし、僕らも2023年はイベントを増やしていきたいと思っているから、良きタイミングでオファーさせてほしいな。
 
KONA ROSE:もちろん!

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