MUSIC 2022.11.11

Amazon Original HEAT Vol.05 連載HEATという音楽現象を追う:GUCCIMAZE×Miku The Dude

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Ryo Kuzuma, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

『Amazon Original HEAT』(以下、HEAT)。各シーンで活躍する20人のキュレーターが、20組のアーティストをピックアップし、新たな楽曲とMVがAmazon Musicで公開されていくプロジェクトだ。
本連載では、キュレーターと選出されたアーティストとの対談を行い、HEATがどのような内容なのか、まだキュレーターがどのような思いでアーティストを選び、アーティストはそれにどう応じるのかをお届けする。
第5回目、キュレーターはHEATのビジュアルも手掛けているGUCCIMAZE。選ばれたアーティストは、その歌声も特徴的なラッパー、Miku The Dude。制作された楽曲「MAZE」はノスタルジックなトラックに、心地よいメロディとリリックが乗る。2人の関係性から楽曲の話について語り合ってもらった。

Curator_ GUCCIMAZE

Artist_ Miku The Dude

 

違和感が随所にあって変 それが印象に残っていた

 

ーまずは出会いの話からお願いします。

GUCCIMAZE:不眠遊戯ライオンで話したのが最初だよね?
 
Miku The Dude:そうですね。GUCCIさんの個展(2020年にDIESEL ART GALLERYで開催されたGUCCIMAZE初個展『MAZE』)で、好きだった子と初デートして。その後、とあるタイミングでライオンに行ったらGUCCIさんがいて話しかけちゃいました。
 
GUCCIMAZE:そうだ、初デートで個展に行ってくれて、別の日にライオンでたまたま会って話しかけてくれたんだよね。そこで知り合ってからはイベントに遊びに来てくれたり、逆にMikuが出ているイベントに顔を出したり。わりとコンスタントに会うような仲になったよね。
 

ーGUCCIMAZEさんはHEATのビジュアルも担当されていますよね。どういった経緯でキュレーターとして参加することになったんですか?

GUCCIMAZE:最初にHEATがどんなプロジェクトなのかをAmazonチームから説明されたときに、そんなことが実現できるの?  って驚いたんですよ。そこからデザインのオファーがあって引き受けた後、キュレーターとしても誘われたんですが、ちょっと悩んだんですよね。ただのデザイナーなんで、どうしようかなって。
 
Miku The Dude:“ただのデザイナー”ではないですよね?(笑)。
 
GUCCIMAZE:で、そのAmazonチームの人間も自分がすごく信用しているヤツでしたし、デザイナーをやりつつ、キュレーターとして参加するっていうのも自分にしかできないことなんじゃないかと思って。初めての試みだし面白いんじゃないかと思って、キュレーターを引き受けたんです。

ーキュレーターとしてGUCCIMAZEさんがMiku The Dudeさんを選んだ理由は何でしょう?

 
GUCCIMAZE:これからの時代を担うアーティストは誰かってことを考えていく中で、真っ先にMikuが思い浮かんだんですよ。そこから検討を続けて候補を考えたんですけど、最後まで頭の中に残っていたのはMikuだけでした。出会ってから2年ほどですけど、何ていうのかな……なんかMikuってすごく印象に残っていたんですよね。歌い方なのか、フロウの感じなのかわからないんですけど、Mikuは変なんですよ(笑)。良い意味で違和感がある。音楽やリリックがヤバいってだけではなくて、トータルで考えたときに随所に違和感が散りばめられていて、シンプルに言うと、こいつ面白いなって思ったんです。
 
Miku The Dude:ありがとうございます。オレ、ラップをやる前はラウドロックバンドのボーカルをやっていて、ステージングやファッションは、そのバンド時代に体得したものが反映されているんですよ。だから、好きな音に好きなようにリリックを乗せて音楽をやっているだけなんですけど、どこか違和感があるのかもしれないです。自分的にはHIPHOPをやるぞって意識してやっているわけでもないんですよね。
 
GUCCIMAZE:Mikuは全然違うルーツを持ちながら入ってきて、今はカテゴライズするならばHIPHOPというところにいるだけで、良い意味で何も気にせず分け隔てなく壁を超えてやっているっていうのがいいと思うんだよね。自分はMikuよりも上の世代なんで、心のどこかでジャンルを意識してしまう部分があると思うんです。だから、オレからすると、Mikuがやっているこはすごくフレッシュに感じられる。バンドをやってきて、結果的に1人残ってラップをやっているというのもいいと思うし、似たようなことをやっている人って、あんまりいないよね。こういう人にしかできないこともあるんじゃないかと思う。
 

運命的な繋がりを感じたHEATと楽曲「MAZE」

 

ーMiku The Dudeさんは、HEATに誘われたときにどう思いましたか?

Miku The Dude:ありえないと思いました。なんで自分に声がかかったんだろうって。最初はGUCCIさんから、めちゃくちゃフランクに「名前を勝手に挙げたんだけど通っちゃったからAmazonのチームから連絡があると思う」って連絡があって(笑)。もう速攻で是非! って返事しましたね。しかも、自分を選んでくれたのがGUCCIさんなんで、色んな意味でプレッシャーがすごいです。これでハズすわけにはいかないぞって。今回の企画で自分の曲を聴いてくれる人の中には、GUCCIさんが推薦するアーティストだから良い、と思う人もいれば、何がいいの? って思う人もいるだろうし。そんなことをグルグル考えていたので、どの曲にするか悩んだり、考え過ぎて眠れなかったりしたんですよ。

ーそうだったんですか。そして制作されたのが「MAZE」ですね。この楽曲について教えてもらえますか?

Miku The Dude:「MAZE」は良い環境でレックしたいと思って大事にストックしていた曲ですね。ちょっと前段の話になるんですけど、オレ、運命を大事にするタイプで物事は起こるべくして起こると考える性格なんです。この曲はラッパーとしての初遠征で富山に行ったときに、「一緒にやりたいです」って声をかけてくれたビートメイカーの子が作ってくれたものなんですよね。レゲトン系の曲調にメロが乗っているサウンドが好きだった時期が自分の中にあって、なかなかビートが見つからないって相談をしたときに、すぐに作って送ってくれたトラックなんです。今年の6月頃だったんですけど、曲を聴いてすぐに歌詞も曲名も出てきて。それで、HEATの曲をどうするか考えていたときに、Amazonチームの人もオレのレゲトン調の曲を聴いて良いと思ってくれたって話があったし、曲名も「MAZE」だったので、もしかしたらそういうことかもしれないって。後から思えば、GUCCIさんに初めて会った日に行った個展のタイトルも『MAZE』でしたし、ああ全部が自然と繋がったなって思ったんです。
 

ーGUCCIMAZEさんは「MAZE」を聴いてどう思いましたか?

GUCCIMAZE:まだ聴き込めてないんですけど、イントロが長い、すぐに歌が入らない。そこがいいと思いました。というのも、最近の曲は時代に合わせて尺も短いし、すぐにボーカルが入るものが多いけど、そういうトレンドを無視して自分が表現したい音楽をやっているって感じが伝わってきて良かったです。
 
Miku The Dude:ありがとうございます! MVも気合いを入れたんですよ。
 

ーどんなMVなのか観てみましょう。

 

 
GUCCIMAZE:いいね。映像がめっちゃ綺麗。
 
Miku The Dude:そうなんですよ。今回は映像美で魅せたくて綺麗に撮りたかったんです。今まで映像に予算をかけてこれなかったので、友達の映像ディレクターに相談して、どこまで綺麗に作り込めるかって話をしながら進めました。これは自分にとって初めてのチャレンジでした。
 

ー今回はキュレーター×アーティストというタッグになりましたけど、Miku The Dudeさんは今後、GUCCIMAZEさんと一緒にやってみたいことはありますか?

 
Miku The Dude:まだオレは無名ですけど、いつかGUCCIさんの方からも、自分のアートワークとかロゴをやりたいと思ってもらえるようなポジションを目指して頑張っていきたいという気持ちがありつつ、GUCCIさんのトラックでラップしたいという思いもあります。
 
GUCCIMAZE:ああ、逆にトラック? それは……面白いかもしれないね。で、ジャケをMikuに描いてもらう。そういう変なシャッフルをしてみたいよね。
 
Miku The Dude:面白そうですよね!(笑)。オレ、絵はクレパスくらいしか使えないですけど。
 
GUCCIMAZE:今回はキューレーターとしてMikuを呼んで、という形だったけど、オレとしてもスキルトレードというか、もはや音楽やデザインでなくてもいいし、2人だけじゃなくてもいいから、何か一緒にやってみるっていうのもいいかもしれないよね。そもそも、オレは変なことが好きで、例えばJUBEEは約3年前に出会って、すごく面白いヤツだと思ったから、色んなことを一緒にやっているし、ralphも、当時16歳だったときに出会って、ヤバいと思ったから一緒に楽しいことをやって。なんでかそういうことが好きでずっとやっていて。だから、何かわからないけど、面白いことを一緒にやりたいね。
 

 

ARCHIVES

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