FASHION 2022.10.05

阪急メンズ東京のアニバーサリーイベントを巡って Vol.01: 西野大士(NEAT)×日比野智之(阪急メンズ東京)

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

今年、11周年を迎える阪急メンズ東京がアニバーサリーイベントを開催する。ここにパンツブランドNEATの参加が実現。期間は10月19日から10月26日で、場所は阪急メンズ東京 1階のイベントスペース、メインベースだ。この記事では、どういった経緯や思いが今回の取り組みに込められているのかをトークセッションを交えて紹介していきたい。参加してくれたのは、NEATのデザイナー西野大士さんと、今回のイベントを取り仕切る阪急メンズ東京の日比野智之さん。


西野大士:NEAT デザイナー。ブルックスブラザーズのPRを経て、2015年にNEATをスタートさせ、2020年に直営店NEAT HOUSEをオープンさせた。


日比野智之:阪急メンズ東京 6階 ガラージュ D.エディットのバイヤー&マネージャー。2016年に阪急へ入社し、4年ほど販売員経験を経て現在に至る。
 
 

NEAT HOUSEでやっていることの進化版を阪急メンズ東京で

 

ーまずは、今回の阪急メンズ東京の11周年企画で、どんな展開を行うことになったのか、その経緯と合わせて教えていただけますか?

 
西野大士(以下、西野):最初にご連絡いただいたときは「ガラージュ D.エディット(以下、ガラージュ。阪急メンズ東京の6階フロアの呼称)のイベントスペースで何かやりませんか?」ということでした。そこで、フロアをご案内いただいたときに、日比野さんから1階のイベントスペースでも、できるかもしれないということをお聞きして、だったら1階でやりたい! とお願いさせていただいたんですよ。
 
日比野智之(以下、日比野):そうですね。そこで調整させていただいて、1階のイベントスペース(メインベース)でやることにしたんです。僕が思うNEATの良さは受注生産方式でお客さんに寄り添った提案をしている点にあると思うんですよね。そこで、今回は出張NEAT HOUSEというか。ブランドの世界観をしっかりと提示して、お客さんに価値として体験してもらいたいと思うんです。
 
西野:僕の方からも、そういう相談をさせていただいたんですよ。NEATは既製品も扱っているんですが、基本的に受注生産的なやり方をしているんですね。お客様も僕らも卸し先もウィンウィンウィンでいられることを考えた結果の形として今があるので、それを阪急メンズ東京でもやりたいと考えたんです。もちろん、それだけではなくて色々と特別な企画を準備しているので、普段NEAT HOUSEでやっていることが進化したような展開になると思います。特別アイテムや既製品も並びますし、これまでNEATが歩んできた8年間のアーカイブも展示する予定です。それを阪急メンズ東京の1階でやらせてもらえるなんて最高だと思っていますよ。

NEATの旗艦店、NEAT HOUSE


日比野:ありがとうございます。僕たちとしても、ブランドのファンから、まだNEATの存在を知らない人や、たまたまイベントスペースに訪れる人まで含めて、NEATの良さを伝えたいと考えています。それに、パンツがメインの展開というのも初めてのことなので、新鮮に捉えられると思っていますね。
 
西野:それに、僕らとしてもタイミングが良かったんです。今回、初めて百貨店で取り組みを行うんですけど、これまではあえて避けてきたんですよ。それがコロナ禍を経て考えが変わってきた段階だったんです。
 

ーNEATとして、どのように考え方が変わってきていたんでしょうか?

 
西野:やはり家族連れの方などにとっては、好きなブランドであっても路面店に行くのはハードルが高いでしょうし、商業施設や百貨店に遊びに行ってほしいものがあったらそこで買うという人が大多数を占めると思うんですよね。そう考えると、そのチャンスを逃していたんじゃないかと。僕らも積極的にチャレンジしていきたいと考えていたところに、たまたま日比野さんと知り合うことができて繋がりが生まれ、今回の取り組みに繋がっていったんです。
 
日比野:最初にお会いしたのは、自分が関係するイベントではなかったんですけども、阪急に西野さんがいらっしゃる機会があると聞いて、どうしてもコンタクトを取りたいから、とお願いしてお話させていただいたんです。
 

良いパンツを提案することを考えるとNEATが思い浮かぶ

 

ーその段階で、日比野さんはNEATに興味があったということになりますが、ブランドに対して、どのようなイメージを持っているのか教えてもらえますか?

 
日比野:NEATのことは阪急に入社してすぐに知ったんです。当時、本当にファッションを好きな人がNEATを穿いているイメージがありました。調べていくと、ベースとしてはベーシックなトラウザーでアメリカントラディショナルなカルチャーをルーツにしつつ、日本人の体格にもマッチするパンツを提案しているということを知って。紳士服としてだけではなく、僕のようなモードファッションが好きな人間にも発信しているんだと感じていましたね。今、僕はガラージュのマネージメントをしながらバイヤーもやりつつ、販売員としても店頭に立っているんですが、百貨店として良いパンツを提案するということを考えるとNEATが真っ先に思い浮かぶんですよ。
 
西野:そんな風に言っていただけるのは嬉しいですね。ありがとうございます。


 
日比野:それに国内のデザイナーズでパンツ専業でやっているというのも珍しいですし、せっかく繋がりを持たせていただいたのだから是非イベントもご一緒したくて。今回、どんなイベントにしていくかについて、西野さんと色々とお話しさせていただいて、ありがたく感じています。もう、今からすごく楽しみです。


 

ーそもそもですが、西野さんは阪急に対して、どのような印象を持たれていたんですか?

 
西野:僕は関西出身なので、百貨店のナンバーワンは阪急なんですよ。だからこそ、お話をいただいたときに「これだ!」という感覚になれたんですよね。それに、阪急自体が僕らのブランドの世界観にも近しいムードがあるように感じていたんです。フラットでクリーンな印象があって、メンズ館と言いつつも、武骨さではなく上品な雰囲気があるので、僕らはマッチするんじゃないかと思って。最初にご提案いただいた6階のガラージュも初めて行ったときは百貨店っぽくないと思いました。
 
日比野:そうなんですよ。ガラージュは色んな世界観のブランドをミックスするような形で展開していて、ストリートからモードまで様々なブランドが並んでいるんです。実はガラージュという名前自体が、アメリカのガレージからきているんですね。
 
西野:ああ、そうなんですね! それで、ああいう内装になっているんですね。
 
日比野:はい。アメリカのガレージには色んな種類の車があって、器具や雑貨が雑多に置かれていたりするけれど、なんだかカッコよさがあるじゃないですか。そういう空間を目指しているんです。
 
西野:あの異空間な感じ、すごく面白いと思いました。非常に魅力的だと思います。
 
日比野:ありがとうございます!

阪急メンズ東京・ガラージュD.EDITのフロア

 

ーでは、NEATがパンツ専業ブランドで受注生産式のやり方をしている理由を改めて教えてもらえますか?

 
西野:色々と理由はあるんですけど、コーディネートにおいてパンツが1番大事だという感覚があったのが大きいですね。やっぱり欧米の人と日本人の骨格が違っているし、日本人の体格に合うシルエットのパンツがほしいと思ったんです。その理想のパンツになかなか出会えなかったので、じゃあ自分で作ろうとなったんですよ。ブルックスブラザーズに勤めている頃も、勝手に形をいじったりしていましたからね(笑)。NEATを立ち上げる際は、そのパンツも持ち込んで研究をしていました。あのときの経験が今のもの作りにも活かされているんですよ。
 

ーパンツが大事だと思ったことが出発点だったんですね。

 
西野:はい。ある意味、トップスは着方を工夫することでコーディネートにうまく取り入れることがしやすいアイテムだと思うんです。でも、パンツは股上やヒップ周り、些細なところまで計算していかないと、なかなか日本人がカッコよく穿きこなせないというのがありました。あと、日比野さんも仰っていましたけど、パンツブランドってあんまりないじゃないですか。だから、そこに面白みを感じてくれる人もいるんじゃないかと思ったんです。
 

スタイルにおけるパンツの重要性を伝えたい

 

ーでは、今後もジャケットだとトップスは展開していかないんですか?

 
西野:それがですね、今回の阪急メンズ東京でのイベントでは、ついに初めてジャケットを作って、セットアップでオーダーできる提案を行おうと考えているんです。実は、今に至るまでもジャケットをやろうと考えたタイミングは何度もあったんです。その都度、尊敬する大先輩方に相談していたんですが、「今はその時期じゃない、もっとNEATをパンツブランドとして定着させてからやった方がいい」と助言をいただいていて。今回の機会では「今ならいいんじゃない?」と。そういったタイミングもあって、NEAT HOUSEでお披露目した後、阪急メンズ東京に持っていく流れになります。
 
日比野:そういう経緯を聞くと、今回の取り組みが本当にありがたいと改めて思います。
 
西野:だから、この阪急メンズ東京でのイベントは、僕らにとっての“初めて”がたくさんあるんですよ。インショップという形態も、百貨店でやるということもそう。ジャケットや過去のアーカイブも展開・展示するのも初です。だからこそ、僕らにとっても特別なものにしたいという思いが強くあるんですよ。



 
日比野:より身が引き締まる気持ちです。僕自身も、今回のイベントを通して、ファッションにおけるパンツの重要性を色んな人に感じてほしいという思いがありますね。僕は学生の頃、どっちかと言うとトップスの方をコーディネートのメインで考えていたタイプだったんです。それが、社会人1年目のときにデニムをオーダーメイドで作っている職人さんと知り合って、ちょくちょくアトリエにお邪魔させていただいたことがあるんですよね。そこでパターンを引かせてもらったりミシンを触らせてもらって、数ミリでパンツのシルエットが変わってしまうことを実感したんですよ。本当に緻密な計算のうえでパンツの形を成立していることを知って、その重要性を体感したんです。その頃にNEATの存在を知って、あの頃の思いが今に繋がっているんです。NEAT的にも次のステップへ移行するタイミングで、こうしてご一緒させていただけるということがすごく嬉しくて。
 
西野:今回のイベントが成功したときには、NEATがブランドとして、もっと成長できている気がしますね。そのチャンスをもらったと思って、多くの人に楽しんでもらえる展開にしていきましょう!
 
日比野:そうですね! 未熟な部分はあると思うんですけど、がむしゃらにやっていきたいと思います。

INFORMATION

NEAT POPUP STORE

10月19日(水)~10月26日(火)
12:00~20:00(平日)、11:00~20:00(土日・祝)
*10月26日(火)1階メインベースは19:00閉場
at 阪急メンズ東京 メインベース

出張NEAT HOUSE「パターンオーダー会」を開催します。
ご参加いただくには、事前のWEB申込が必要です。
お申込は先着順とさせていただきます。
オーダー内容等の詳しい内容はWEB申し込みからご確認くださいませ。
http://hhinfo.jp/entry/menstokyo/event/detail/neat1019

阪急メンズHP
https://www.hankyu-dept.co.jp/mens-tokyo/

阪急メンズ東京・ガラージュD.EDIT Instagram
https://www.instagram.com/hankyu_mens_tokyo/
https://www.instagram.com/garage_d_edit_hankyumens_tokyo/

NEAT
https://nishinoya-pr.com/
https://www.instagram.com/neat_tokyo/

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