Dear Upcoming Actors #05 福地桃子

photography_Takao Iwasawa, styling_Hideyuki Kanemitsu, hair&make_Kentaro Katsu, text_Yuri Matsui, edit_Takuya Nakatani

Dear Upcoming Actors #05 福地桃子

photography_Takao Iwasawa, styling_Hideyuki Kanemitsu, hair&make_Kentaro Katsu, text_Yuri Matsui, edit_Takuya Nakatani

いま、若手俳優たちがおもしろい。きらり光っている。ってことで、これからのスクリーンを賑わせるアップカミングな役者を追った、というよりも彼ら/彼女らへのラブレター的に編んだシリーズ「Dear Upcoming Actors」。第五弾は、1997年生まれの福地桃子が届ける相手。海外からこの日の朝に帰国したばかりなのにその疲れを微塵も感じさせない、生命力にあふれて人をすぐさま魅了するままに、引き込まれた。

小さい頃は、自己主張ができないほうだった

—役者になろうと思ったきっかけから聞かせてください。

私は5人兄弟の末っ子として育ってきたのですが、上の兄弟がそれぞれすごく個性的で、今思えばその中で私はあんまり自己主張をしてこなかったと思うんです。友達といるときは明るいしもちろんそれも自分なんだけど、家では自分のことを話すのが苦手だった。それが窮屈と思ったことはないのですが、ふと考えたときに家族の前で自分の思いをなかなか言えなかったりするのはちょっと寂しいし、何となくずっとモヤモヤした気持ちがありました。お芝居に興味を持ったのはそれに気がついたときで。役の中であれば、普段の自分がなかなか言えない言葉も解放できることが不思議だなと思いました。

—実際、役者になってみて内面的な変化はありましたか?

この仕事を始めてから、「好奇心旺盛だね」と言ってもらえることが多くなりました。意外に感じたけど、そう言われるのはすごく嬉しい。それまでの自分は、やったことのないことへの恐怖と不安な要素が真っ先に出てしまっていたけれど、人から見た私は違ったし、私は何を偉そうに自分のことを決めつけていたのかなと。いまは、その言葉を素直にありがたく受け取ろうと思っています。

—客観的な自分を見つけることができたんですね。

だから今は、なんでも決めつけずに、少しでも興味を持ったことに対して、その気持ちを流さず前向きにやってみることにしています。それは役者になる前と180度変わったことかもしれません。

お腹が空いたら
できるだけそれを無駄にしたくない

—演じる上で心がけていることはありますか。

心配性だし、たぶんすごく気にしいな性格で、ひとつなにかミスをするとずっと気になっちゃうんです。だから自分に暗示をかける。人はそんなに自分のことを気にしていないんだと思うようにしています。オーディションのときとかは、こういう言い方がいいのかわからないんですけど、「この人たちとはもう会わないんだ」と思うようにしていて、そうすると、どう思われてもいいからすごく楽になれる。器用なほうじゃないから、役について深く考えすぎずに、毎回現場では自分を無の状態にリセットするように心がけています。

—お休みの日は何をしていることが多いですか?

日頃から行ってみたいお店を本などで探すのが好きで、食の趣味が合うお友達とご飯を食べによく出かけます。そんな時間の過ごし方が好きなので、お腹が空いたらできるだけそれを無駄にしたくなくて。

—同世代の役者のお友達はいますか。

よく連絡をとっているのは、堀田真由ちゃん。映画「あの日のオルガン」の撮影期間1ヶ月、京都で隣の部屋に住んでいたんです。同じシーンというのはあまりなかったのですが、他の共演者の皆さんとも帰る場所が一緒だったり、今振り返るとそのときの思い出はたくさんあります。その後にドラマの現場でまた違う一面を知ることができ、一緒にお肉を食べに行ったりと自然と距離が縮まりました。「同じ時間を過ごせたことが大きかったね」とよく話します。

—アルバム整理が好きだとか。

母がちゃんと整理してくれているお家のアルバムは、何度見てもその場に居座ってしまうくらいで。そうやって振り返る時間が私は結構好きで、「今のこの瞬間も、あとになってこうして振り返ったらいろんな変化があるんだろうな」と考えると、アルバムはこれからも続けていきたいし、家族や人の写真も撮っていこうと思うようになりました。お休みの日は現像をしてアルバム整理で終わってしまうこともあります。

個性的じゃなくてもいいし
キャラ立ちし過ぎない役者でいたい

—今後、演じてみたい役はありますか。

人間ではない役をいつかやってみたいです。映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の、地獄に住む鬼のインパクトが忘れられません。

—将来的に目指す役者像を教えてください。

まだまだ現場に入るたびにいろいろな発見があるし、緊張して心臓の音が鎖骨から聞こえることがあります。環境に慣れたいわけではなく、慣れないように。この気持ちを忘れないようにという思いでやっています。
役としては、作品の中に形だけではなくしっかり溶け込めるようになりたいなあというのが今思う理想です。まだ演じていて、ふと素の自分が出ちゃう瞬間があって、それが一番気持ち悪いんです。私が役として溶け込めた作品に対して、自分の人生と重ね合わせて想像を膨らませるような見方をしてもらえたら嬉しい。そうやって観てもらえていたら、役を演じた私のことを意識していなかったとしても、ちゃんと記憶には残っていると思うんです。私もそうやって映画を観ているから。個性的じゃなくてもいいし、キャラ立ちし過ぎない役者を目指しているんだと思います。……あ、お休みの日にやっていること、もうひとつ思い出しました!!

—ぜひ教えてください!

たまに釣りに行きます! 釣ることよりもお魚を食べられることのほうが好きなんですけど(笑)、釣れたらやっぱり楽しいです。お仕事でトルコに行ったときも船釣りをして、日本で食べたことのないバルブンというお魚を釣ってその場で調理して食べました。あとは小さい頃に魚拓をやっていたので、記録としてまたやりたいです、魚拓。

wear credit
look 1 :
ガウン ¥160,000/ANOUKI、ドレス ¥98,000/BELIZE
look 2 :
ドレス ¥86,000/kiminori morishita、トップス ¥84,000/DAWEI
シューズ ¥107,000/MALONE SOULIERS
look 3 :
コート ¥129,000/DAWEI、シャツ ¥67,000/ANOUKI、
カットソー ¥11,000/kudos、サンダル ¥33,000/UNITED NUDE
look 4 :
カットソー ¥11,000/kudos
INFORMATION
THE WALL SHOWROOM tel_03-5774-4001
M tel_03-3498-6633
VIA BUS STOP MUSEUM tel_03-5459-1567
MATT. mail_INFO@THE-MATT.COM

INFORMATION

福地桃子
2019年1月に主演映画「あまのがわ」、2月に映画「あの日のオルガン」の公開がそれぞれ控える。2019年度前期 連続テレビ小説「なつぞら」への出演も決定している。

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