Dear Upcoming Actors #02 井之脇海

photography_Takao Iwasawa, styling_Koji Oyamada, hair&make_Kentaro Katsu, edit_Takuya Nakatani

Dear Upcoming Actors #02 井之脇海

photography_Takao Iwasawa, styling_Koji Oyamada, hair&make_Kentaro Katsu, edit_Takuya Nakatani

いま、若手俳優たちがおもしろい。きらり光っている。ってことで、これからのスクリーンを賑わせるアップカミングな役者を追った、というよりも彼らへのラブレター的に編んだシリーズ「Dear Upcoming Actors」。第二弾は、1995年生まれの井之脇海が届ける相手。「その役の人生に『責任』を持ちたい」という役者のこと、映画や音楽のこと、さまざまに会話し、撮影した。

「できない」という壁にぶち当たって、
おもしろいなと思った

ーさっそくですが、井之脇さんにとって“演じる”ことの魅力とは。

ひとりでは成り立たないものなので。台本を読んで机上で考えていたものが、いろんな人とセッションしたときに、変わる瞬間がある。あれは役者じゃなきゃ味わえない。それに、“こなす”ことができないというか。全部に真剣に向き合って、ちゃんとその役の人生に責任を持たなきゃいけない。そこは意識していますね。

ー役者として、ターニングポイントとなった出来事はありますか?

1回目は小学6年のときにあった『トウキョウソナタ』の撮影ですね。子どもの頃はわりと器用で、バスケ、野球、水泳、ピアノ、なんでもそれなりにはできていた。でも、『トウキョウソナタ』の現場で、役者としてできないことが多かった。「できない」という壁にぶち当たって、おもしろいな、もっと追求したいなと思ったんです。負けず嫌いだったので。今でもできないことのほうが多くて、これは死ぬまで追求し続けるんだろうなと思っています。

ー追求すればするほど奥深い、と。

はい。で、2回目のターニングポイントは、ドラマの現場で染谷将太くんと一緒になったとき。近い世代の人で、あれだけ映画を観ている人もいなかったし、作り手のことを考えて、映像として次どうなるのかとか、ちゃんとわかっている人に初めて会った。芝居にしても、“上手=うまさ”ではないというか。もっと滲み出るものなので。そのときは納得のいく芝居が出来なくて、悔しくて、日々考えていました。あの現場は大きかったですね。もっと映画のことを知りたいと思ったし、実際に大学在学中に映画を撮ったのも染谷くんの影響かもしれない。……僕がこういうふうに思っているのを、染谷くんは知らないんですけど(笑)。

映画を好きになったきっかけは『ポンヌフの恋人』

ーちなみに、好きな映画監督は?

(レオス・)カラックスですね。僕が映画を好きになったきっかけが『ポンヌフの恋人』だった。同時期にデヴィッド・フィンチャーの作品も観ていて、そういうなかで映画の幅広さを知っていった。それが中学三年くらいなんですけど、高校の頃は友達がほとんどいなくて(笑)。もちろん表面的に話はしますけど、放課後、一緒に遊ぶようなことはなかった。だからひとりで映画館に行ったり、映画をレンタルしたり。高校から大学二年くらいまでが一番観ていましたね。平均すると1日1本くらいのペースで。

ー映画以外の興味はどうですか? 音楽やファッション、アート、文学など。

音楽は、フィッシュマンズが大好きです。18歳くらいのときに、知り合いの監督さんに教えてもらって。言葉選びがかっこつけてなくて、背伸びしていないけど、やっぱり攻めてもいる。『空中』をずっと聴いていますね。あと、(パウロ・コエーリョの小説)『アルケミスト』は、高校一年のときに初めて読んで以来、何回も読み返していますね。ある種、聖書というか。

その役のために、責任を持つ

ー同世代の役者仲間についても聞かせてください。

役者仲間はほとんどいなかったんですけど、最近ついに出来ました。ドラマで共演した寛一郎。彼とは、今後どうしていきたいかとか、自分たちの芝居をいかにもっと良くするかとか話しますね。(共演した)作品を一緒に観て、ダメ出しをしてくれたり。それが嫌じゃなくて。なんでこんなに気が合うんだろう? と考えたときに、違うところはいっぱいあるけど、そのノイズの波形が心地良いんだなって。ノイズであることは間違いないんですけど、人といる時点で。それが心地良いって、不思議な感覚だなって。

ーでは最後に、「こういった役者になりたい」という将来像を聞かせてください。

僕の目標として、死ぬまでにひとつでも多くの作品に関わりたい、という思いがある。そのためには、演じ終わったあとに、観た人にどう説得力を持ってその役の人生を伝えられるか。そういった役者になる必要があるなと考えています。それは先ほども話した「責任」という部分にもなってくると思うんですけど。

ー役に対する「責任」っていい言葉ですね。

テーマでもあります。せっかくそこに生きている人なので、そこはちゃんと責任を持ってあげないといけない。「役を愛する」という言葉を使う人も多いと思うんですけど、そういったことですね。その役のために、作品のために、責任を持つ。自己犠牲というか。昔と比べると大きく考えは変わりましたね。

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