CULTURE 2025.07.18

YU (I Don’t Like Mondays.) × LEO (ALI) が語る、音楽とカルチャーの今。 EYESCREAM NITE VOL.1 開催記念スペシャル対談

EYESCREAM編集部
Photography_Kenta Karima、Text_Mizuki Kanno

EYESCREAMが初主催するライブイベント「EYESCREAM NITE」の記念すべき第1回が、8月20日(水)に開催される。唯一無二の存在感を放つアーティストにフォーカスする本イベントで、I Don’t Like Mondays.ALIがそのステージを彩る一夜。長年の交流を経てついに実現するこの共演を前に、両バンドのフロントマンのYU(I Don’t Like Mondays.)・LEO(ALI)による特別対談を実施。互いの印象から、国内外のオーディエンスの違い、ステージへのこだわり、創作のルーツ、そしてファッション観まで。彼らの音楽とカルチャーを深く掘り下げた本音を聞く。

“EYESCREAM NITE” VOL.1

ライブを通じて生まれる、それぞれの国でのグルーヴ

——お二組の共演は今回が初めてだと思いますが、以前から交流はありましたか?

LEO(ALI): I Don’t Like Mondays.(アイドラ)が結成された10年ほど前から、彼らのことは知っていました。当時オレはALIの前のバンドをやっていて、周りからも「アイドラとは合うんじゃないかな」と対バンを勧められたりしていたんです。

YU(I Don’t Like Mondays.): LEOさんとフェスで出番が前後することはありましたが、本格的にご一緒するのは今回が初めてなので、ようやく実現できて嬉しいです。

——お互いのバンドにどのような印象をお持ちですか?

LEO: アイドラは彗星のごとく現れた、かっこいいやつらという印象です。シティポップな感じでノリも良いけど、しっかりかっこいい。新曲を聴くたびにどんどんクオリティが上がっていて、素晴らしいバンドです。YUのことは、バンドという枠を超えて、人として、家族として接するうちにどんどん好きになりました。

YU: LEOさんはカリスマですよね。最初からずっと。LEOさんの家にはたくさんのレコードがあって、僕もレコードが好きなので、いろんな音楽を教えてもらっています。LEOさんの素敵な人間性から何か盗めるところはないかと探してしまうくらい、本当に尊敬しています。

——プライベートでも交流のあるお二人が繰り広げるライブ、楽しみです。アイドラもALIも中国大陸でツアーを開催されるなど、アジアを中心に海外でも支持されていますが、国内外のオーディエンスで反応の違いなどを感じたりしますか?

LEO: 日本のオーディエンスを盛り上げるのは、おそらく世界で一番難しいかな。繊細な国民性なので。海外では「I love you」のように「あなたと私」という明確な主語があるのに対して、日本では普段の会話には主語があまり出てこないんですよね。これは、日本人の視点が「空間」にあるからだと思うんです。「空間」に相手がいることを理解しているから、主語がなくてもコミュニケーションが成立する。だからこそ、自分ごととして受け取ってくれる人が少ないんですよね。場の空気に同調しちゃう。それくらい日本人の感覚は特殊なので、日本で観客を沸かせられるようになれば、世界中どこへ行っても通用すると思う。だからこそ日本にいたいし、誇りにも思っています。

YU: 僕たち自身のパフォーマンスはどこに行っても変わりませんが、第二、第三言語の国だと、変な格好つけや、お客さんから「どう見られるか」といったことを考えなくてもいいのである意味、自由にライブができる。なので、少し気が楽になります。お客さんの反応で言うと、やっぱりヨーロッパに行くとお国柄的にノリが良いですが、意外と中国大陸や韓国、台北もノリは欧米っぽいんですよ。日本人はシャイで奥ゆかしさがある印象です。だからこそ、日本のライブでお客さんの笑顔や歓声を引き出せた時は、嬉しいですね。

——日本でのライブが一番難しいと言うのは意外でした。お二人がステージを作る上で、特に意識されていることや工夫はありますか?

LEO:汗をかくこと。それに尽きます。オレは歌が上手いタイプではないので、一生懸命やるしかないんです。それってお客さんにも伝わるので、みんなにも一生懸命盛り上がってもらいます。

YU: そうですよね、だからこそ僕も自分が楽しめるかどうかを大事にしています。自分が面白がっていれば、お客さんにもそれが伝わりますし、自分が100%楽しめたら、それが会場中に伝染していく。セットリストや流れを考える時も演者としてだけでなく、お客さんとしてワクワクできるのかどうかを大事にしていて、それが“僕たちらしさ”なのかなと思っています。

独自のスタイルを確立するバンドならではの創作

——制作のインスピレーションが沸くときはどんな瞬間ですか。

LEO: 最近は閃くまで放っておくんです。来週までに曲を作らないといけないのに、わざとやらない。でも脳内はフル稼働しているので、一日中ずっと曲のことを考えています。発狂するくらい考え続けた先の一瞬のオフにかけるんです。「美味しかった」とか「星が見えた」とか「サウナ気持ちよかった」とか「良い曲だったな」とか。脳がオフになった瞬間にアイデアのスペースが空いて、「ああ〜これじゃん」みたいな閃きがくる。最近はそういう作り方にハマっています。

YU: 僕も長い間、死にそうになりながら制作活動と付き合っていました。次の曲ができるかどうかも分からないのに、レコーディングのスケジュールだけが組まれていたりして、結構苦しかった。でも3年前くらいにそのやり方を変えて、制作と向き合う時間に制限を設けました。たとえ1行しかできてなくても、時間が来たらやめる。その時間以外でインスピレーションを吸収したり、熟成させたりするようにしたんです。でもLEOさんの話にも通じるのですが、やっぱり閃きは無意識からくるので、そこに委ねている部分は大きいです。

——そこはお二人とも共通しているんですね。

YU: 次の日の朝とかに、「なんでこんなことも思いつかなかったんだ」という新しい閃きがあったりして、不思議ですよね。

——お二人は音楽活動だけにとどまらず、独自のスタイルも幅広く支持を集めていますよね。それぞれのファッション観やカルチャーのルーツについて教えていただけますか?

LEO: 今もWACKO MARIAにお世話になっているのですが、23~24歳くらいの時に初めてクラブに行って、そこにいた男性全員がシャツにハットの出立で、DJもレコードのアナログスタイルで。「すごくかっこいいな、オレもこの中に入りたい」と思ったのがWACKO MARIAとの出会いでした。そこから憧れを抱き続け、さまざまな経験を経て、仲間に入れてもらいました。今はハイブランドの撮影にも参加させてもらう機会もありますが、自分のための撮影ではWACKO MARIAを着ていたいです。オレが憧れたロックスターは衣装なんて概念はなく、オンもオフもなく、いつものままステージに立っていたので、有名になろうが無名だろうが、自分も変わらないスタイルで居続けたい。

——LEOさんといえば、WACKO MARIAというイメージが定着していますよね。

LEO: アジアでライブをする理由も、WACKO MARIAが大きいんです。向こうではWACKO MARIAを通してオレらを知ってくれている人が多くて、何なら東京よりも声をかけられるんです。嬉しいですね。

YU: 僕は中高生のときに海外のバンドにハマっていて、特にコンセプティブなバンド、アメリカだったらガンズ・アンド・ローゼズとか、グランジ系だとニルヴァーナとかが好きで。いつか自分もバンドを作る時には、彼らのような独自のスタイルを持ったバンドにしたいなと思っていました。僕もLEOさんと共通するのは、基本的に全て私服なんです。自分の服でステージに立てるバンドでいたいと思っています。そことマッチしない音楽は選びません。でも、最近ライブのMCでも結構、素の自分のまま喋っていて、20代の頃は頑張ってカッコつけてたんですけどね(笑)。年齢とともに変わってきました。

——お二人とも、これまで様々なクリエイターとMVやジャケット制作などでご一緒されていますが、確立されたスタイルをお持ちだからこそ、どのようなやり取りをして作品の世界観を作り上げていますか?

LEO: 例えば、Margtの話でいくと、「SHOW TIME feat. AKLO」「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」の2曲で過去に一緒にやっていて。二人とはWACKO MARIAの撮影で出会って、仲良くなったんです。「SHOW TIME feat. AKLO」のときは、「シド・ヴィシャスがやりたい」というキーワードだけ伝えて、あとは好きにやっていいよ、と。自分自身、何が正解か分からないし、もし自分でMVの舵取りをするなら、もっと映像の勉強をしないと対等に意見は言えない。だからMargtの考えを信じて、制作して、その結果、めちゃくちゃ面白いものができたと思います。あのMVはやばいですよね(笑)。

YU: 初めのうちは自分で隅から隅までやりたいタイプだったんですけど、色々なクリエイターの方とご一緒する機会が増えるにつれて、「任せるところはお任せして、自由にやってもらう方が結局面白いものができる」ということに気づきました。自分で全てやってしまうと、掛け算にならないから、新しいものが生まれないんですよね。テーマだけディスカッションして、あとはもう思い切りやってもらうために環境を整える感じです。メンバー間でも考え方は違うので、グループ内の意見を統率するのも難しいんですけどね。みんなは「オレがワガママ言ってる」と思っているんですけど、実は僕がまとめていたり。チームでやろうよ、ということを伝えるようにしています。

——では、最後にEYESCREAM NITE VOL.1に遊びにくる読者にメッセージをお願いします。

LEO: Johnny Osbourneというレゲェアーティストの「Ice Cream Love」という超有名な曲があって、すごく良い曲で大好きなんです。だから伝えたいことは、アイスクリームって良いよねってこと。そんな感じ(笑)。IDLMs.とALIでしょ。念願のツーマンでしょ。Ice Cream派もEYESCREAM派も、全員に来てもらいたいな。オレはひたすら頑張ります。

YU: 本当に熱い夜になるだろうなという予感が今からしているので、思い切り楽しみたいと思います。

INFORMATION

EYESCREAM NITE VOL.1

日時:2025.8.20(wed) OPEN 18:15 / START 19:00
会場:代官山UNIT
LIVE ACT:I Don’t Like Mondays. / ALI
OPENING ACT:HALLEY
TICKET:¥6,800(税込・ドリンク代別途)
https://w.pia.jp/t/eyescream-nite/
For Customers Overseas
https://w.pia.jp/a/eyescream25eng/

主 催:EYESCREAM
企画制作:スペースシャワーエンタテインメントプロデューシング株式会社
制作協力:H.I.P.
お問い合わせ:H.I.P. 03-3475-9999

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