MUSIC 2022.03.01

Review: SixTONESの視点は世界へ
ー世界照準の「共鳴」「FASHION」MVー

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Text_Chie Kobayashi

デビュー3年目を迎えたSixTONESが、最初に発表するのはシングル「共鳴」。今回は表題曲「共鳴」と、初回盤B・通常盤に収録されるカップリング曲「FASHION」のミュージックビデオから、本シングルの魅力を探ってみたい。

表題曲「共鳴」はテレビアニメ『半妖の夜叉姫』弐の章1月クールオープニングテーマ。流れるようなピアノの旋律が印象的な、ジャジーでロックなナンバーだ。歌詞だけでなく、振り付けには「半妖の夜叉姫」で象徴的な矢を射る動きも取り入れられ、SixTONESらしくアニメに寄り添う。また、交流ではなく“共鳴”が、仲間との絆を強めていくトリガーになるというのは、人との距離を必要とするコロナ禍を生きるうえで、もっとも頼もしい発想でもある。配信ライブを行ったり、SNSを駆使したりと、ライブ会場に足を運ぶことのできないファンともつながる方法を模索してきたSixTONESは、共鳴することの大切さや強さをひしひしと実感しているはずだ。

そんな本作のMVの監督は、「うやむや」や「フィギュア」などのMVも手掛けた えむめろ。

「うやむや」ではSixTONES初の全編アニメーションで話題を集めたが、「共鳴」は、歌詞や画面がめまぐるしく変わるアニメーションに、グリーンバックで撮影をしたというSixTONESメンバーが映し出される、まさに、アニメーションと実写が“共鳴”した作品となっている。

仲間と共に“今”を生き抜く決意を綴った歌詞は、「半妖の夜叉姫」の世界と共鳴するような内容でありながら、現在のSixTONESの姿とも共鳴。<ギリギリに立ってんだって 分かってるのに/それでも選んでしまった 夢と誇り>というサビは、サイクルの早い芸能界、音楽業界で“夢と誇り”を胸にしのぎを削るSixTONESの胸の内と重なる。また、同じく えむめろが監督を手がけた「フィギュア」では、<ショーウィンドウに並ぶ僕ら/代替不可であれよ>と歌っていた彼らが、アニメーションと実写が“共鳴”した「共鳴」では<代わりなんていない 僕ら>と歌う。「グループ初の全編アニメーション」で話題を集めていた彼らもまた、“共鳴”することで進化し、前進しているのである。

それまで寒色で展開されていた映像が、暖色になる後半。映し出されるのは、<どんな苦悩だって 毅然としていられる/…孤独じゃないってだけで。>と歌いながら、6人が手を取り合うような振り付けだ。メンバーそれぞれがテレビやラジオ、舞台など個人で活躍する一方で、SixTONESの一員として “孤独じゃない”ことで、毅然としていられる部分はあるだろう。またファンの存在も、彼らを毅然とさせている大きな要因だ。そんな彼らは、「役者は揃ってる」と、その足取りを強くする。そして6人がカメラを追い越して前に進みゆくところで、MVは終わる。デビュー3年目を迎えた彼らが、まだまだ歩み続けることを示唆するように。

一方、終始シリアスな表情の「共鳴」から一転、「FASHION」のMVはメンバーの笑顔から始まる。タイトル通り、ファッショナブルな映像で、メンバーはさまざまなコーディネートで現れる。シックな色味で決めたジャケットスタイルや、今年の春夏コレクションでもランウェイを賑わせたようなカラフルで個性豊かなルックに着替えていく6人。どんな衣装も着こなしてしまえるのは、さすが、ファッション誌やグラビア誌を飾ってきた6人だ。歌詞の通り、SixTONESの6人が“Cover girl”でも、“Rap star”でも“Movie Star”でもあるからこそ。

楽曲は軽快なパーティチューンだが、これまでのSixTONESに多くみられたEDM調のものとは異なり、ポップで華やかなナンバーに。K-POPのビジュアルを思わせるようなミントグリーンの背景に、各々のメンバーカラーの“ランウェイ”。カラフルな画面から彼らのさまざまな姿、楽しげな表情が次々と飛び出す様は、まさに“今日のコーデ”を意味するハッシュタグ「#OOTD」をスクロールしていくよう。SNSで全世界の投稿が見られるのと同じように、文化の壁や言葉の壁を軽々と超えていくことのできるMVだ。また、部屋の中でオシャレを楽しむこのMVは、SixTONESなりの「うちで踊ろう」とも言えるだろうか。

疾走感あふれるピアノロックに乗せ日本語の歌詞が映し出されるという、ジャパニーズカルチャー全開の「共鳴」と、ボーダーを感じさせない「FASHION」。この2つのMVは彼らが、本格的に世界に照準をあわせていることを想像させる。「ジャニーズをデジタルに放つ新世代。」と、2018年にデビュー前のジャニーズJr.ながらミュージックビデオ(「JAPONICA STYLE」)をYouTubeにアップした当時から、彼らはブレずに世界を視野に入れているのだ。
さまざまなカルチャーと共鳴し、どんな音楽も着こなしていく彼らの足は、いよいよ世界へ。

INFORMATION

SixTONES 「共鳴」

2022年3月2日リリース

https://www.sixtones.jp/discography/d010/
https://www.sixtones.jp/

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