CULTURE 2020.04.09

[PORTRAITS of SKATEBOARDING]
004. Akira Mowatt

Photograph-Ryuta Hironaga, Interview / Translation / Coordination-Mimi Tamaoki, Edit-Ryo Tajima(DMRT)
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

来る東京オリンピックからスケートボードが正式競技に決定している今、改めてストリートにおけるスケートカルチャーがどんな姿をしていたのかを振り返りたい。本特集ではスケーターだけではなくスケートカルチャーに関係するクリエイターも含め、OGからユース、シーンの中核にいる人物まで、NYを中心として総勢24組を取材した。

EYESCREAM WEBでは、2020年2月1日に発売されたスケート特集号「PORTRAITS of SKATEBOARDING in 2020」より、特別にその一部をお伝えする。

PORTRAITS.004 / Akira Mowatt
「スケートもHIPHOPもアートフォームがピュアだった」

Akiraと言えば、ブランド、AMのディレクターとして知っている人も国内には多いだろう。彼は生粋のNYスケーターであり、Supremeスタッフとしてアイコン的存在だった1人。ハロルド・ハンターの盟友でもありストリートとスケートに対し独自の哲学を貫いている。

-過去のスケートライフを振り返って思い出されることは?

1997年にNYに移って、ある日イーストビレッジで犬の散歩をしていたときに、ハロルド・ハンターと偶然会ったんだよ。今はもうないけど、当時8丁目にあったスケボーショップ、SWISHにハロルドがいてオレの犬をみて「いい犬だな!」って具合に話しかけてきてさ。オレは確か13歳くらいでまだ若かったし、黒人のスケーターをあまり見たことがなかったからテンションあがりまくりだったんだ。それで「オレもスケーターなんだ! すぐ戻るから待ってて!」って話しかけて、そっこうで家にボードを取りに戻って。アスター・プレイス、ユニオン・スクエア、ワシントン・スクエアとかの色んなスポットを教えてもらいながら一緒に滑ったんだよ。それから自分でもストリートに出て、様々なスケーターに出会って友達もできたりしたんだけど、あるときオレ自身の問題で家出してさ。その頃からハロルドともっとハングアウトするようになっていき、彼の家に泊まらせてもらってた。13丁目とアベニューCのCamposっていうプロジェクト(低所得者用の公共団地)なんだけど。スケボーショップ、SWISHはAutumn Skateshopができる前のショップね。とにかくハロルドとはたくさんの思い出があるんだ。昔、Swishy Pants(太めのスポーティなナイロンパンツ)が流行ってた頃にハロルドの部屋にこっそり入ってパンツをパクって履いてたんだけど、ストリートで滑ってるときにバレてさ。「その場で脱げ!」とか言われたこともあった(笑)。ハロルドに会ったことで、オレのスケート人生が変わったんだよ。本当にいいヤツだったよ。Rest in Peace Harold Hunter。

それからZOO YORKのフロー、アマチュアになってツアーも行ったな。ジェフ・パンとかクリス・キーフも活躍してた時代。1999年くらいからはSupremeで働きはじめた。ブランドのことはもちろん知ってたけど仕事がゲットできたことの方が嬉しかったね。スポンサードもしてくれていたし。4年くらい働いたんだけど、1番若かったから雑用も多かった(笑)。でも、頑張ってやったよ。当時のSupremeはNYスケーターの溜まり場だったし、他の州から来るスケーターもみんなSupremeに集まってきていて、みんなの待ち合わせ場所でもあった。ブルックリンバンクス→サウス・ストリート・シーポート。それでSupremeに戻ってきて、アスタープレイス→ユニオンスクエア→ミッドタウンみたいなコースでクルージング。日によっては1人でこのコースで滑ったこともあるし、20人以上で一緒に滑ったこともあったな。

その後はVehicleのライダーになってスケートトリップにも行ったことがある。スケートビデオはWelcome To Hell、ZOO YORKのMixtape、Girl/Chocolateとかを観ていたかな。でも、ハロルドとか周りにたくさん上手いヤツらがいたから、いつも一緒に滑ってモチベーションが上がっていた。それで、Supremeを辞めてから少しの間は何も仕事をしなかった。次にやった仕事がaNYthingで4、5年。自分のブランド、AM (after midnight nyc) をスタートしてからはもう10年が経つね。

-改めてスケートとの出会いについて教えてください

オレは沖縄生まれなんだけど、周りの友達がスケートをやっていて興味を持ったんだ。パーツとかをもらって自分で組み立てして。7歳くらいのときに親父からボードを買ってもらってスケートをはじめたんだよ。地元のショッピング街で黒人の子がスケートしているのを見てさ。その子がすごい高いオーリーをしていて自分もやりたくなったんだ。

-90年代と今では、どんな風にスケートシーンが変わったと思いますか?

当時よりも今の方が大企業が関わってきてビジネスとして確立されていると思う。オレが滑っていた頃はアングラだったし、HIPHOPとスケートがタイトな関係だったね。当時のラップはストーリー性があってディープだったし。スケートもHIPHOPも新しいモノを生み出すために必要な土台作りをしていた時代だったから、みんなのハッスルメンタリティも似ていたし、どっちもアートフォームがピュアだった。それに昔はスケートのコミュニティが小さかったから、みんなが顔見知りで同じようなスポットで滑っていたけど、今はNYスケーターの数は2倍かそれ以上かもしれないよね。メインストリームになったからカルチャーの要素が若干薄れてきてトレンドの1つになってきているんじゃないかな。当時のスケーターは家に問題があるヤツらが多かったから、仲間とスケートするのが、ある意味メディテーション(心の療養)だったけど、今はスケートがアクセサリーみたいになってきてるような気がする。

[PORTRAITS of SKATEBOARDING] 001. Ari Marcopoulos

[PORTRAITS of SKATEBOARDING] 002. Steve Rodriguez

[PORTRAITS of SKATEBOARDING] 003. Adam Zhu

インタビュー本編はEYESCREAM No.174 “PORTRAITS of SKATEBOARDING in 2020″の誌面からどうぞ!

INFORMATION

EYESCREAM No.174

2月1日(土)発売
PORTRAITS of SKATEBOARDING in 2020
-スケートカルチャーの未来へ送る言葉-

出演者:Ari Marcopoulos, Steve Rodriguez, Adam Zhu, Akira Mowatt, Shredmaster Keith, Shawn Powers, Peter Sutherland, Beatrice Domond, Johnny Wilson, Caleb Barnett, Kader Sylla, James Rewolinski(Labor Skateboard Shop), Chrystie NYC, Duron Simons(Gang Corp), Jack Greer(IGGY NYC), Homies Network, Alex Corporan, Canal New York, Wasted Youth SKATEBOARD, Daiki Hoshino, Kento Yoshioka

Back Cover:HUF SPRING 2020 COLLECTION

お取り扱いは全国の書店、大型CDストア、Amazon等にて



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