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Verdy, Inagawa Jun
Verdy @verdy[ig]
Inagawa Jun @jun.inagawa[ig]
グラフィックデザイナー、ベルディがストリートの今をベースにクリエイターやアーティストと対談していく本企画。第2回目はブランド、VLONEともコラボし話題を集めているカリフォルニア在住のイラストレーター、Inagawa Jun。LAで開催されたGirls Don’t Cryのポップアップに際し、ベルディが19歳の気鋭アーティストをインタビューした内容を全編公開!
Verdy:こうやって話すのは初めてですね。今、何歳ですか?
Inagawa Jun(以下、Jun):去年、高校を卒業して今は19歳です。東京に住んでいた時期もあって今はサンディエゴに住んでいるんですよ。でも活動拠点はLAですね。
Verdy:うん、うん。LAのポップアップで僕の絵を描いてプレゼントしてくれたじゃないですか。どこで僕のことを知ってくれたんですか?
Jun:Verdyさんの友達と僕も知り合いで。それで教えてもらってフォローさせてもらったんです。
Verdy:そんな偶然が繋いでくれたんですね(笑)。JunくんはブランドVLONEとのコラボで日本でも話題になってましたよね。あれはどういう経緯で?
Jun:僕、インスタグラムに自分の絵をUPしているんですけど、Supremeのライダーやスケーターを絵をたくさん上げていたんですよね。ストリートスケートは絵にも共通する感覚があって、カルチャーとして好きで。それで、ある日VLONEのグラフィックデザイナーが連絡くれたんですよ。それでA$AP Bariに会いにいかないかって話になって。それで家に行ったらいきなりUNDERCOVERやBAPE®の本を見せられて『こういうことをやりたいだよね』ってことを言われて、そのまま『次のポップアップは任せた。日本人のパワーを見たい』って話になり、その場で決まったんですよ。
Verdy:へぇー! その場で決まるっていうのがヤバい(笑)。
Jun:そう、正直ちょっと焦っちゃって(笑)。かつ、ポップアップの3日前にウォールペインティングも決まったんですよ。
Verdy:3日前って……(笑)。もう描くしかないってなりますね。
Jun:開催したストアの一面の壁には描くべきものが決まっていて、もう一面は全部まかせたって感じだったので、2日くらい徹夜して仕上げたんですよ。それが大きな反響を呼んだんです。
Verdy:いいですね! 僕もJunくんのインスタはチェックしていたので、存在は知っていたんですけど。そんな夢のある話があったなんてすごく面白いと思います。
Jun:そうすね、アメリカンドリームってわけじゃないですけど。1年前までちゃんとお金を払って買っていたVLONEと仕事することになるとは思ってもいませんでした。
Verdy:むっちゃいい話! 日本にもちょくちょく帰ってきているんですか?
Jun:もともと漫画家になるのが夢で、去年の夏は一時期、日本に帰っていたんですよ。漫画をやるために。その時期に、とある出版社からスカウトの話がきて、それもあって。その話は結局折り合いがつかなくて実現しなかったんですけど。
Verdy:えっ、そうだったんですか? じゃあ将来的には漫画家をやりたいんですか?
Jun:そうですね。周りの人は驚くんですよ。このままアメリカにいれば、大きい仕事にもチャレンジできるかもしれないのに、って。日本のアニメーションって海外でも賞賛されているじゃないですか。その原作は大体が漫画ですからね。それがアニメ化されて玩具になったりするのが、すごく面白い話だと思っていて。でも、そういう有名な漫画を見ると悔しくなるんですよ。オレも描けるのに、オレも作りたい……って。
Verdy:うん、うん。チャレンジしたい漫画誌はあるんですか?
Jun:やっぱり少年ジャンプですね、1番なんで。ドラゴンボールも小さい頃から読んでいましたからね。
Verdy:他には描いているものはどんなのですか?
Jun:過去作ですけど高校の卒業時に友達全員、約120人を描いたりしました。全員の特徴をショートインタビューしたりして。
Verdy:えっ、すごい……。それ、どのくらいの期間で描くんですか?
Jun:全部で2週間くらいかかりましたね。あと、今はLAにあるヴィンテージショップ、Round Twoの漫画を描いているんですよ。お店のスタッフがスーパーヒーローになって敵と戦う、みたいな。
Verdy:めっちゃ、面白そう!
Jun:Round Twoの漫画の一部をA$AP Bariに見せたらヤバいって話になって。これをA$AP MOBでもやってほしいとか言われました(笑)。あとはショーン・パブロを登場させたメルローズを舞台にした短編漫画を描いたり。Lil Uzi Vertからオファーされた絵とか。あとは自分がリスペクトしているものを描いています。マーク・ゴンザレスやジェイソン・ディルとか。
Verdy:そういえば、インスタグラムにはA$AP Rockyと一緒に撮った写真も上がっていますよね。
Jun:そうですね。A$AP Rockyの専属カメラマンと友達になって。MVに使ってほしいって言って絵を自分から渡したりしました。Rockyも『いいね』って言ってくれて。将来的に何かつながればいいんですけど。
Verdy:へぇー、もともと音楽はHIPHOPが好きなんですか?
Jun:そうすね。A$APもそうですし、Kanye Westも好きです。例えば夢だとか社会風刺とかリリックが心に響くHIPHOPが好きなんです。
Verdy:はい。ところで絵にオレンジ色がよく使われているんですか、好きな色なんですか?
Jun:好きですね、オレンジ色か赤が好きなんですよ。赤と白と黒。この絵はVLONEのヤツですが、ブランドのカラーなので。
Verdy:あー、それで。ライブペイントもやったりするんですか? 僕はよくやるんですけど。
Jun:やりますね。VLONEのポップアップ中もやってたんですよ。
Verdy:紙と壁じゃ規模感も全然ちがうじゃないですか。Junくんはどう描くんですか?
Jun:最初は自分の描いた絵をプロジェクターに反映させて描いていたんですよ。でも途中からは、フリーハンドでバイブス重視で描いて。
Verdy:そうなんですね。ところで、日本のブランドやショップとはコラボはしていないんですか?
Jun:どうだったかな……。もしかしたら忘れているだけかもしれないんですけど、やっていないと思います。オファーはたくさん来ているんですけどね。
Verdy:やりたい相手とかはいるんですか?
Jun:僕、すごくNIGO®さんと高橋盾さんの活動に憧れがあるんですよね、UNDERCOVERは本当に大好きで。でもコラボをしたいというより、彼らと同じような動きをしたいと考えているんですよ。会社を立ち上げて、ブランドをやるっていうのもいいな、なんて友達と話しています。
Verdy:なるほど。でも、これだけ作品があるんであれば個展をやっても面白そうだと思いますね。
Jun:そうですね、個展もやってみたいことです。Round Twoのコミックを発売して、少し落ち着いたら日本に移住する予定です。1から漫画家を目指してやっていこうと思って。
Verdy:色々、今後が楽しみですね。
Jun:ありがとうございます。聞きたかったことがあるんですけど、ベルディさんは最初はどういうキッカケで服のブランドを始められたんですか?
Verdy:自分はもともとグラフィックデザイナーで作品を描いていたんですよね。それでオファーされたデザインを仕事としてやっていたんですけど、それだけじゃ、自分の表現したいメッセージや作品が作れないこともあるじゃないですか。そこで、自分の本当に描きたいこと、普段から考えている気持ちをグラフィックにしようと思ったんです。それにTシャツに自分のグラフィックを載せたら街にいる人も見てくれますし。それで、自分の気に入ったメッセージをシンプルに出し続けようと思ったんです。
Jun:なるほど。Girls Don’t CryもこうやってLAでポップアップを開催していますけど、海外とはどういう風にコネクションを構築していったんですか?
Verdy:もう本当に人の繋がりと流れですね。重要だったツールはインスタグラムです。最初はレジナルド・シルベスター Ⅱっていうアーティストと繋がって、その周辺から仲良くなり、彼らが日本でポップアップするときは一緒に遊んだりして。今回、LAでGirls Don’t Cryのポップアップをやったのは、国内でもプロジェクトが順調になってきて、海外でもやりたくなってきたので、初めてやったんです。
Jun:すごいなー……。Girls Don’t Cryの今後の目標は何ですか?
Verdy:そもそもGirls Don’t Cryはブランドとしてやっていこうと思って始めたプロジェクトではないので、最初に自分が思った決め事を守りつつ、ありがたいことに欲しいって言ってくれる人も増えているから、少しずつ広げていこう、という感じですね。明確にこうしていこう、というよりも今の流れに任せて、楽しみながらやっていこうと思っているんですよ。大事にしたいのは作品や自分の気持ち、メッセージ性だったりするので、大切にしたいという気持ちですね。
Jun:なるほど、オレも頑張ります。そして応援しています。東京に行ったらベルディさんの事務所に遊びに行ってもいいですか?
Verdy:ああ、ぜひ、ぜひ! 遊びに来てください! 共通の知り合いも多いと思います!
以下、Inagawa Junの作品の一部を特別にご紹介。
今後の活躍も非常に楽しみなイラストレーターInagawa Jun。今後も彼の動向に注目していきたい。
Verdy 対談連載 “Walk your talk.”
第1回目 小林資幸[PHINGERIN]
第2回目 Inagawa Jun