OTHER 2019.02.16

Walk your talk.05 -Verdy 対談連載 第5回- Verdy×Kosuke Kawamura

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph - Wataru Fukaya, Edit - Ryo Tajima

グラフィックデザイナー、ベルディがストリートの今をベースにクリエイターやアーティストと対談していく本企画。5回目は、EYESCREAMで河村康輔さんとの対談。ハードコアパンクのカルチャーを根底に持つ、作品を制作し続けてきた2人に聞く”表現における大切さ”。ウワサではコラボ作も制作しているという、そこのところも聞いちゃいましょう! 対談場所は2人が訪れていたパリコレの地。

“参加型。それがVerdyくんによる新しい作品の発表の仕方なのかな”
ー河村康輔

ー仲が良い印象があるんですが初めて会ったのはいつですか?

Verdy:1番最初は2013年のKatsuhiro Otomo x Kosuke Kawamura x A Bathing Ape® 2013 “Re:construct”のコレクションと展示がBAPEXCLUSIVE™ 青山で展開されていた日だったんです。

河村康輔(以下、河村):そうだったね! HIKARUさん(BOUNTY HUNTER)から「こいつ、Verdyだから!」って(笑)。そう言って紹介だけされたのは覚えてる。でも人が多すぎて話ができなかったんだよね。

Verdy:そうですよね。コバさん(PHINGERINディレクター、小林資幸さん)とか共通の知り合いがいつつ、ちゃんとお話できたのは先日の広島(※)でした。

※広島の件……2018年5月19、20日に渡ってThe Trunk Market 10にPHINGERINが出店。19日はGirls Don’t Cry、20日は河村康輔さんとコラボしたアイテムを限定で販売した

河村:あのイベントは本当に良かったなって今でも思っていて。あれに参加した経緯もVerdyくんとちゃんと遊びたいからだったんだよ(笑)。

Verdy:え! そうだったんですか!?

河村:そう、ある日、PHINGERINの事務所に行ったら「今、Verdyと打ち合わせしてて広島に一緒に行くんです」なんて言うからさ。それ、すごく面白そうだからオレも自腹で行く!って自分から名乗り出たんだよ。そしたらコバくんが「じゃあ、河村さんもなんかやってくださいよ」って話になり……。

Verdy:そこでコラボが決まったんですか?

河村:そうそう。最初はVerdyくんとコバくんに便乗して広島に一緒に遊びに行こうとしていただけなんだよ(笑)。絶対に楽しいだろうし、と思って。

Verdy:でも本当に良いタイミングでしたよね。Wasted Youth Skateboardのライダーも広島に来ていて、彼らも僕以外のアーティストとちゃんと会うのは初めての経験だったと思うし、ショップの人たちも良い人ですごく楽しく過ごせたのが記憶に残っています。

ーお2人は互いのアートのどんなところに惹かれますか?

Verdy:僕は知り合う前から河村さんのアートが好きでをずっと見ていたんですよ。カッコいいなぁと思って。コラージュをやっている人はいっぱいいるけど、良し悪しの判断は僕にはできないんですね。でも、河村さんのアートはカッコいい、それだけはしっかり思っていたんです。こうやって知り合って、以前『もともとカッコいいもので作らない、カッコよくないものをカッコよくする』って話を聞いて、だから僕は河村さんのアートに惹かれるんだなって再認識したんです。今では、より河村さんの思いも想像しながら作品を見るようになりました。そういうところが河村さんのスゴいところなのかなって個人的にですけど考えているんです。

河村:そう言ってもらえるとすごく嬉しい。もともとカッコいいものを極力排除して、それの集合体でコラージュアートを作っているから、確かにVerdyくんの言う通り、もともとは全然カッコよくないもので作品を作っているのかもしれない。Verdyくんに関しては、ハードコアパンクが好きだっていうことで根本が一緒だと思っているんだよね。表現のスタイルが異なっていたとしても出自が一緒というか。オレもずっとハードコアバンドのジャケットやTシャツのデザインをやったりしていたからね。その手段としてオレの場合は昔からあるコラージュという王道の手法でやっていて。Verdyくんがすごいのは、Girls Don’t Cryを生み出したことによってハードコアからポップアートに表現を進めたと感じるところ。しかもVerdyくんは色んなスタイルで絵が描けるし、自分の見せ方、マーケティングまで含めて表現している。そんな風に総合的に何でもできているアーティストってなかなかいないと思うんだよね。それができていたんじゃないかな、と個人的思っているのはアンディ・ウォーホル、ファクトリー(※)を作って制作活動をしていって、という。今のVerdyくんの動きって無意識かもしれないけど、それに近い部分があるんじゃないのかな。それに何をするにしても、ちゃんと周囲の人間を巻き込むじゃん。 Wasted Youthで言えばスケートクルーを集めたり。そしてストリートの若者だけじゃなくて、上の世代のハイエンドな人たちまで引っくるめて全部を1つにしている。まるで参加型みたいに。

※ファクトリー……アンディ・ウォーホルが1964年に構えたNYの伝説的スタジオ

“誰かと一緒に行く 他の人と発信する ということは意識的に考えています”
ーVerdy

Verdy:その部分に関しては僕も意識していて。どこかに行くにしても、みんなで行った方が良いと思っているんです。この間の広島の件にしてもそうです。多分、河村さんも若いスケーターとガッツリ飲むことって少ないと思いますし(笑)。けど、彼らにとってはすごく刺激じゃないですか。

河村:オレにとってもそうだね、刺激的で新鮮で。そうやって自分が生み出したグラフィックをプラットフォームとして捉えて、ちゃんと繋げられている。それがVerdyくんの作った新しい作品の発表の形なんじゃないのかな。

Verdy:そうかもしれないです。自分1人で発信するだけじゃなくて、彼らが発信してくれることで違う見え方がするでしょうし。Wasted Youth Skateboardのライダーをファッションシーンにいる人が見たら、それはそれですごく良いと感じてもらえるかな、とも思いますし。

河村:確かにそうだね。そうやって広がっていくし。

ーちなみに河村さんとVerdyさんがコラボ作品を制作していると聞いたのですが。

Verdy:そうですね、こうして仲良くさせていただいて、さらに広島でWasted Youth Skateboardの面々とも仲良くなってもらった流れでコラボ作を一緒に制作しています。僕にとってアーティスト同士のコラボレーションってお互いちゃんと確立されたものがあるうえでやるのが正解なんじゃないかな? と思っているんです。だから僕も出来上がったもの(グラフィックや作品)を河村さんに渡して、河村さんも、いつものスタイルで制作する。そうすることで作品が成立していくと思うんですよ。それこそがコラボレーションということなんじゃないかなって。

河村:本当にそう思う。Verdyくんから渡された素材で制作しながら最初はもっと手を加えた方が良いのかな? とも考えたんだけど、何パターンか作ってみて、最終的に面白いと思ったのが、いつもの自分のスタイルで作った作品で、これってVerdyくん的にはOKなのかな? とも思ったんだけど、それをOKしてくれたよね。そこで、やっぱりストレートなオレらしい表現で良かったんだって思った。

Verdy:いや、すげー良かったです。ハマったなって思います。

“1曲めでダイブしちゃったんです。そしたら「そんなことするんだね……」って(笑)”
ーVerdy

ー先ほども話題になりましたがハードコアパンクのカルチャーが根底にあるのが2人に共通している部分だと思うんですが。

Verdy:そうですね。僕、もともとDead Kennedys(※)が好きで、アートワークを担当していたWinston Smithも、もちろん好きだったんですよ。それで、河村さんとの展示「22 IDOLS」(※)を見に行ったんです。それで日本人でそんなアートを制作しているアーティストがいるんだって、河村さんの存在を知ったのを覚えています。

※Dead Kennedys……80年代のハードコアシーンを代表するアメリカのハードコアパンクバンドの1つ。

※22 IDOLS……2011年に刊行されたアートブックKosuke Kawamura x Winston Smith「22IDOLS」。それを記念し大阪のギャラリーで展示された

河村:2人ともベースが完全に同じだよね。共通言語がそこにあるから話も早いと思う。

Verdy:はい。やっぱりハードコアパンクのアートワークってカッコいいじゃないですか。今でこそHIPHOPも聴くし、ファッションカルチャーも大好きでカッコいいと思っていますけど、自分が好きだったルーツがハードコアパンクで良かったと感じることが今でも良くあります。

河村:やっぱり10代の若い頃、1番ピュアで多感な時期に、自ら見つけて入っていったカルチャーなわけじゃない。色々と知識が身につく前に聴いているからこそだよね。

Verdy:しかもハードコアパンクを聴いていた当時、別に世の中的にイケている存在でもなかったけど、これが自分にとっては最高にカッコよくて。ハードコアパンクは何よりも自分たちの気持ちや、やりたいことを大切にする文化があるじゃないですか。ビジネスのために信念を曲げるようなバンドはいなくて。

河村:そうだね、そもそも自分の気持ちを曲げて、ビジネスとして売れる音楽を作ろうという考えがない。VerdyくんもオレもハードコアパンクのTシャツやジャケットのアートワークを作ったりしていたから、きっと同じ気持ちのハズなんだけど、そのデザインをビジネスとして、やっていなかったと思うんだよね。逆にバンドからギャラをもらえたら「もらえるの???」 って驚いたぐらいで。

Verdy:そうですね、まったく同じです。自分たちの信念を貫き通しているバンドに対して、僕も同じような気持ちで接しています。お互いにリスペクトを持って、自分たちの力で、自分たちがカッコいいと納得できるものを作り上げていく、そのやり方がカッコいいですし、そのデザインで儲けようとは考えていなかったですね。

河村:うん。そこで稼ごう、ということすら思いつかないし、絶対にないことだよね。

Verdy:そうですよね。そこにアティチュードがあるから、お金云々ではないカッコ良さがある、と今でも思うんですよ。

河村:確かに。今やっていることを振り返ってみても、実は同じだったりするよね。お金が欲しかったらやってないし。それが自分の好きなものだし。変な話、お金をもらいたくてやっているわけじゃない部分もあるじゃん。今だに、だけど、ハードコアバンドのアートワークをやって、そのバンドから「ギャラはどうすればいいでしょう?」って聞かれると、ものすごく悪い気がしちゃうんだよね。もちろん、当たり前のことなんだろうけど違和感がある。ハードコアパンクのバンドマンたちは、自分たちが心血削って働いて得たお金でグッズのTシャツを生産して、それを安くお客さんに売っているわけだし。

Verdy:そう、すごいですよね。クオリティもデザインも良いし。だからライブハウスでグッズを買うのは今も好きです。普段はあんまり買い物をしないんですけど。ライブに行って、それがカッコ良ければ買いたいと思います。

河村:わかる! オレもね、ライブに行ったら買っちゃうんだよね、Tシャツ。そうなるよね。ハードコアで染み付いた感覚って忘れられないし、忘れたくないよね。

Verdy:そうですね。今はライブハウスに通う時間も減っちゃってますけど、行ったらやっぱりカッコいいなって思います。

“体が我慢できなくなるからしょうがない。怖いよなぁ、ハードコアパンク(笑)”
ー河村康輔

河村:オレもさ、年甲斐もなく3年前にLOS CRUDOS(※)が来日したときに、ステージからダイブしちゃったもんね。

※全世界のハードコアバンドに影響を与えたアメリカのレジェンドハードコアバンド、1991年結成。2015年、2016年と来日しライブを行なっている。ちなみに2016年はGAUZE主催の消毒GIGに出演した

Verdy:あはは!!

河村:もう周囲の人間もドン引きだよね(笑)。それで背中ケガしちゃってさ。だから一生モノなんだよね、結局。バンドマンの感覚と変わらないのかもしれない。

Verdy:本当にそうですね。この間、ハーレムのイベントにMEANINGっていう友達のバンドが出演したんですけど、僕も1曲めが始まった瞬間にダイブしちゃったんですよね(笑)。そしたら一緒に行った友達が「Verdyくん、そんなことするんだね……」って。

河村:みんなが「え?」ってなるよね(笑)。でも、好きな曲がかかると体が我慢できなくなっちゃうわけだからしょうがない(笑)。

Verdy:なりますよね、誰も求めてないんでしょうけど(笑)。

河村:ね(笑)。50歳になっても好きなバンドがライブやってたら最前列には行っちゃうだろうし。こればっかりはしょうがないことだよね。初期衝動のまんま年齢を重ねちゃってるから(笑)。

Verdy:Idol PunchRAZORS EDGE(※)のライブに60歳を超えているんじゃないかってお客さんが来るんですけど、その人、ダイブするんですよ。そしたら周りのオーディエンスがめっちゃ心配して全員でバッと支えに行くんですよ(笑)。

※Idol Punch、RAZORS EDGE……日本のパンクバンド。モッシュピットは激しく、高齢の方にはオススメできない

河村:すごいな(笑)。でも、もしかしたらVerdyくんもオレもそういう人になっていくかもしれないからね(笑)。怖いよなぁ、ハードコアパンク。

Verdy 対談連載 “Walk your talk.”
第1回目 小林資幸[PHINGERIN]
第2回目 Inagawa Jun
第3回目 谷中敦
第4回 KEI

INFORMATION

Verdy, Kosuke Kawamura

Verdy @verdy
Kosuke Kawamura @kosukekawamura

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