Amazon Original HEAT Vol.20 連載 HEATという音楽現象を追う:MEGUMI×JUMADIBA

『Amazon Original HEAT』(以下、HEAT)。各シーンで活躍する20人のキュレーターが、20組のアーティストをピックアップし、新たな楽曲とMVがAmazon Musicで公開されていくプロジェクトだ。
本連載では、キュレーターと選出されたアーティストとの対談を行い、HEATがどのような内容なのか、まだキュレーターがどのような思いでアーティストを選び、アーティストはそれにどう応じるのかをお届けする。
第20回目、いよいよファイナル。MEGUMIがピックアップしたのはHIPHOPシーンにおいて大いに話題を集めているJUMADIBA。対談当日が初対面となったのだが、先日行われたBjörkの来日公演で手に入れたというBjörk Tシャツがお揃いという、まさかの事態となった。
お互いのクリエイションについて、挨拶も兼ねての対談もどうぞ。

Curator_MEGUMI, Artist_JUMADIBA

新しくも懐かしい表現に惹かれましたーMEGUMI

昔の映像や音楽へのリスペクトが根底にありますーJUMADIBA

ーこの対談が初対面になりますね。改めてさんがMEGUMIさんがHEATでJUMADIBAさんをピックアップした理由を教えてください。

MEGUMI:知り合いからJUMADIBAさんのことを聞いてチェックさせていただいたんですけど、表現している音楽に何となく自分が通ってきた音楽のトーンが感じられるというか。90年代のTWIGYくんやBentheAceさんとか、あの頃に感じていた感情がフラッシュバックしたんですよ。レトロ感もありつつ現代ならではの新しさがあって、個人的にもすごく好みなんです。今日もBjörkのTシャツだし、Oasisも好きだって話をインタビューを読んで、なるほどなぁと。時代感がないのが今っぽいし、中でも私が色濃く影響を受けてきた音楽を聴いているんだろうなと感じたのでピックアップさせていただいたんです。

JUMADIBA:ありがとうございます。昔から親の影響でビートルズやOasisをめっちゃ聴いていたので、無意識のうちにそういうヴァイブスが出ていたのかなって。

MEGUMI:それにMVからも90年代っぽいムードが感じるんですよね。あえて荒々しいアナログな感じにしているのも、私からしたら懐かしさを感じるわけですよ。エモいっていうかね。ああいうトーンが好きなんですか?

JUMADIBA:そうですね。僕らが生まれ育ってきた時代ってツルツルで何もないから、音楽を始めたのも『この世界、なんか嫌だな』ってところから始まっているんで、逆行したいじゃないでけど、そういう気持ちもあって今の形になっているのかもしれないです。

MEGUMI:それは、今の音楽シーンが嫌だなってことですか?

JUMADIBA:いえ、全体的にですね、過去の作品へのリスペクトもあるし、影響も受けてきました。

MEGUMI:そこにJUMADIBAさんならではのこだわりを感じるんですよ。あと、音楽の道へ進む前にバベル(BABEL LABEL、東京拠点のコンテンツスタジオ。MEGUMIも参加している)にも入ろうとしていたんですよね? だから、きっと映像の世界がすごく好きなんじゃないかな? と思って。

JUMADIBA:はい。僕はMTVとかをぎりぎり観れた世代で小さい頃はヒットチャートから掘り下げていくような感じだったので、日常的にMVを観ていたんですよ。それで映像が好きになって、映像制作を学んでいたんです。映像をやっていれば、後から違うことをやりたくなっても応用できるし活かせるスキルだと思ったので。今、自分のMVを自分で作っているのも映像制作が好きだからで、今回の「Speed Mode」も友達を集めて自分たちで作ったんです。

MEGUMI:あれはデジタルで撮って加工しているんですか?

JUMADIBA:そうです! これまで作ってきたものよりパキッとした質感で仕上げていますね。

MEGUMI:そのパキッと感はすごく感じました。どんな理由でああいうタッチの映像にしたんですか?

JUMADIBA:今回、MEGUMIさんにキュレーションしてもらってHEATに参加することにしたとき、Amazonがやる企画で規模感も大きいからこそ、逆にパリッとパキッとさせたいと思ったんですよね。キレイめな質感でちょっとおふざけ的なヴァイブスもある感じですかね。

ーあえてチープ感を出してみたということですか?

JUMADIBA:というよりも、いつもならダラッとやってしまうことをしっかりやってみたかったんですよ。その余白として表現したいことができた感覚があります。いつもだったらもっと自分のやりたいことを突き詰めていって、という感じなんですけど、「Speed Mode」はリラックスしている雰囲気です。表現においてユニークさって大事じゃないですか。それができたのは、めっちゃ良かったなって。

MEGUMI:それがJUIMADIBAさんのスタイルなんでしょうね。変に自分を大きく見せようとするんじゃなくて、あえてライトに表現するっていうのは音楽性やリリックにも表れているし。熱があるんだけど青い炎って感じがする。自分の中にあるパッションを調節してライトにアウトプットしていく、そんなやり方にキャクター性を感じますね。同時に、今の人って感じもすごくするんだけど、JUMADIBAさん的には今感は意識しますか?

JUMADIBA:仰る通りです。今を生活して今作ってるということなので、MEGUMIさんからそう言ってもらえると嬉しいですね。上の世代に「今っぽいね」って言ってもらうことは、僕にとって褒め言葉なんです。

ー今回の「Speed Mode」ですが、聴いたときにどういうことを感じましたか?

MEGUMI:これまで通り、というのではなく、JUMADIBAさんが持っている世界観の延長線上にあるもので、新しい挑戦をHEATだからやってくれたのかなって気がしましたね。まったく新しいって意味ではなく、自分のスタイルの中で色々と試行錯誤してくれた感じがあって、それをHEATで一緒にやれたのは、私としても嬉しいし意味があることだと思ったんです。

JUMADIBA:たしかに今回の企画がなかったら「Speed Mode」をシングルとしてリリースすることはなかったと思いますね。自分の中のB面じゃないですけど、今までと全然違うものが出せたのかなと。それはHEATだからできたことだと思います。

ーこの楽曲は既存曲で、HEATにマッチすると思ったから改めて制作を進めたのだとか?

JUMADIBA:そうです。今はトラックもほとんど自作なんですけど、「Speed Mode」はHEAVENのRY0N4くんがトラックを作っているんですよ。この曲をセレクトしたのは、HEATの早い感じがRY0N4くんの早い感じのトラックとも合うかなと思ったかし、いろんな種類の音楽が上がってくる企画だったので。いつもよりかわいい感じで直感的に。

どうにかやりたいことや好きなことをやれるようにーJUMADIBA

それを掲げることがエンタメの役目の1つーMEGUMI

ーありがとうございます。では、今日が初対面ということで何かお互いに聞いてみたいことはありますか?

MEGUMI:これは聞きたいなと思っていたことがあって。音楽や映像を表現するにあたって、どういうところからインプットしているんですか?

JUMADIBA:最近は昔と考え方も変わって、身の回りの人に興味があるというか、近くにいる人が大切だとめっちゃ思うんです。友達や親との会話だとか、そういうところから新しい感覚をもらうことが多い気がしますね。めちゃめちゃ近いところに発見があるなって感じます。今はネットでのコミュニケーションもありますけど、やっぱり面と向かって話すってことが大事だと思うんです。

MEGUMI:素晴らしいですね! 私がJUMADIBAさんくらいの年代のときはなかなかそんな風に考えられなかったと思う(笑)。

JUMADIBA:MEGUMIさんは映像制作もされていますけど、何からインプットしているんですか?

MEGUMI:1日1映像みたいな感じで考えていて、映画館やネットを介して必ず観るようにしていますね。そこで一旦生活から離れてこういう世界があるんだなと陶酔していることがあったり。あとは外出するってことですね。ライブもそうだし、個展もそう。人の表現を直接目の当たりにして、その感性に触れようとしています。逆にSNSはあんまり見ないようにしていますね。とにかく熱量が込められたものを意図的に観るようにしています。

JUMADIBA:でも、すごく多忙じゃないですか。なかなか2、3時間とまとまった時間が取れないんじゃないかと思うんすけど、どうやって時間を作っているんですか?

MEGUMI:もうね、これはスケジュールをしっかりと管理して細かく刻んでいくしかんまいんですよ。

JUMADIBA:僕はスケジュールを立てるのが苦手で。

MEGUMI:うん、ミュージシャンはマイペースだからそれで良いんだと思いますよ。今までスケジュールをきっちり管理できるミュージシャンに出会ったことがないですもん。

一同:笑。

JUMADIBA:そう言っていただけるとありがたいです(笑)。

ーちなみにJUMADIBAさんがOasisを好きなのは、どういう理由があるんですか?

JUMADIBA:ラフさとそこら辺にいそうな感じ、フラットに嫌いなものは嫌いだし好きなものは好きみたいな。僕は音楽の入り口がロックだったので、そういうところも上の世代の方が共感してくれるところなのかもしれないです。実際に、今でもロックを聴くしロックが持つ姿勢が好きなんです。

MEGUMI:いいですね。ロックの人は本当に裏表なく生活しているというか。ずっとバンドを続けている人って自分の中にすごくロマンを感じてやっている人が多いから、それはそれで素敵な生き方だなと。近くにいると大変なんですけどね?

一同:笑。

JUMADIBA:HIPHOPの流れはスマホの普及とかもあると思うし、よりリアルなことが見えたり、現実もきつかったり情報が多いから夢は描きづらい。だけど負けずに好きなことをやってほしいです。

MEGUMI:うん、夢を描きづらい時代ですよね。だけど、JUMADIBAさんが言う通り、それをメッセージとして掲げて謳う人がいないといけないと私も思います。それこそがエンタメの役目の1つな気がしますけどね。

ー最後に。今日が初対面でHEATで初ジョイントワークとなったわけですが、今後お互いに一緒にやってみたいことはありますか?

JUMADIBA:とりあえずは、もっとお話して仲良くなっていきたいです。

MEGUMI:そうですよね、今度はもっとお話しましょう! 私は映像制作をけっこうやっているし、最近は映像と音楽の関係性に距離ができてしまっているから、映像と音楽がうまく融合できるようなプロジェクトを考えて、何か一緒に作品を作れるようになれたらなと思いますね。今後よろしくお願いします!

JUMADIBA:よろしくお願いします!!
 

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